当時の少年はみんな憧れたスーパーカー 47年前なのに走行1803キロ “世界で最も保存状態が良い”「カウンタックLP400S」がオークション登場 いくらで落札された?
237万ドル(約3億5000万円)と突出した落札額
2026年8月に米国カリフォルニア州モントレーで開催されたRMサザビーズの「モントレー・オークション2026」で、1979年式ランボルギーニ「カウンタックLP400S シリーズI」が237万米ドル、日本円にして約3億5000万円で落札されました。
カウンタックといえば誰もが知っている、世界を代表するスーパーカーのひとつですが、今回の落札価格は同じオークションに出品されたほかのカウンタック、たとえば1990年式「カウンタック25周年記念」の79万7000ドル、1985年式「カウンタックLP5000QV」の132万5000ドルと比較しても突出したものです。
一般的な後期型や、走行距離を重ねた個体とは明らかに異なる評価を受けた理由は、単純な希少性だけではありません。
最大のポイントとなったのは、この個体が「タイムカプセルから出てきたカウンタック」ともいえるほど、驚異的なオリジナル状態を保っていたことです。
カウンタックは1971年のジュネーブモーターショーで発表され、1974年から市販モデルのLP400が登場しました。
ベルトーネに在籍していたマルチェロ・ガンディーニ氏がデザインしたウェッジシェイプのボディ、ミッド/リアに搭載されたV型12気筒エンジン、そしてシザードアを組み合わせたスタイルは、その後のスーパーカー像を決定づけたといっても過言ではありません。
1978年に登場したLP400Sは、基本的なメカニズムをLP400から引き継ぎながら、大きく張り出したフェンダーやワイドなタイヤ&ホイールを採用。より攻撃的で、現在多くの人がイメージする「カウンタックらしい姿」へと進化しました。
今回落札されたLP400S シリーズIは、LP400S全238台のうち、わずか50台しか生産されなかった最初期型です。45mm径ウェーバーキャブレター、小型のスチュワート・ワーナー製メーター、特徴的なカンパニョーロ製「ブラボー」ホイールなど、シリーズIならではの仕様を備えています。
しかし、237万ドルという価格を生んだ最大の理由は、その保存状態でしょう。シャシナンバー1121086は、走行距離わずか1803km。しかも新車時のボディ塗装、ネロのインテリア、さらには当時のピレリP7タイヤまで残されています。半世紀近く前のスーパーカーで、ここまでオリジナルの状態を維持した個体は極めて珍しいといえます。
RMサザビーズでは、シリーズIのなかでも「世界でもっとも保存状態の良い個体のひとつ」と評価しています。

さらに重要なのが、米国へ輸出された際の改造が最小限だったことです。
当時の米国法規に対応するための作業は行われましたが、大がかりなボディ改造は避けられ、欧州仕様らしいオリジナルのバンパー形状も維持されました。つまり、単に「低走行車」なのではなく、ガンディーニが描いたカウンタック本来の姿を高いレベルで残していたのです。
同じモントレーのオークションでは、カウンタックの別個体も取引されましたが、このLP400S シリーズIはそれらを大きく上回る評価となりました。その理由は、モデル名や年式だけで価格が決まるクラシックカー市場ではなくなっていることを示しています。
現在のコレクター市場では、「どのモデルか」と同じくらい、「どれだけオリジナルなのか」「どのような履歴を持つのか」が重要です。レストアによって美しく仕上げられた個体にも価値はありますが、新車時の塗装や内装、タイヤまで残る個体は二度と作ることができません。
今回の237万ドルという超高額落札は、カウンタックそのものの人気に加え、「50台のみのシリーズI」「1803kmという低走行」「極めて高いオリジナル度」「ほぼ市場に出てこなかった個体」という条件が重なった結果と考えられます。
まさに、カウンタックという名車を買ったのではなく、1979年当時の姿をそのまま保存した「時間そのもの」を手に入れるための237万ドルだったのかもしれません。
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