“スーパーカー世代”にはたまらない 45年前なのに走行わずか851キロ! ビッカビカのフェラーリ「512BB」を発見 気になる予想価格とは
「走っていないこと」そのものが価値になっている
スーパーカー世代なら、フェラーリ「512BB」と聞いて、当時の憧れを思い出す人も多いのではないでしょうか。
512BBは、1970年代後半から1980年代にかけて、ランボルギーニ「カウンタック」や「ミウラ」などとともに少年たちの心をつかんだスーパーカーの代表格です。
池沢さとし氏の漫画「サーキットの狼」などを通じて、フェラーリやランボルギーニといった存在が一気に身近になった時代、そのなかでも512BBは忘れられない1台でしょう。
そんな512BBのなかでも、今回オークションに登場する個体は特別です。
1981年式で、なんと新車時からの走行距離はわずか851km(529マイル)。世界でもっとも走行距離が少ない512BBの一台といわれている、驚くほど走っていない個体なのです。
512BBは、1976年に登場したフェラーリのミッドシップ・ベルリネッタです。
1971年の「365GT4 BB」から始まった「BB(ベルリネッタ・ボクサー)」シリーズを発展させたモデルで、最大の特徴はリアミッドに搭載された4.9リッター水平対向12気筒エンジンです。
4基のウェーバー製3バレルキャブレターを備え、最高出力は340馬力。最高速度は302km/hに達しました。当時のフェラーリにとって、まさにフラッグシップ級のスーパーカーだったわけです。
しかも512BBの生産台数はわずか929台。現在のフェラーリのような量産モデルとは違い、1970年代後半という時代に、フェラーリが持てる技術とデザインを凝縮して作り上げたモデルです。
今回の個体はシャシナンバー「35409」。1981年1月に完成した最終期のキャブレター仕様で、エンジンやトランスミッションも確認されています。さらにマッチングナンバーが確認されていることも、コレクターにとっては重要なポイントです。

そして何より驚かされるのが、851kmという走行距離です。過去のオークション記録では、このシャシーナンバーの512BBは2020年にわずか820kmで出品された実績があります。その後もほとんど走行していないことから、このクルマが長年にわたって大切に保存されてきたことがわかります。
現在のスーパーカーでは考えられないような装備も魅力です。巨大な4.9リッター水平対向12気筒エンジンにキャブレターを組み合わせ、ドライバーの手元にはゲート式のシフトレバーが備わります。アクセルを踏めば12気筒のパワーが炸裂する一方、運転する側にも相応の技量を求める、まさに「スーパーカー」です。
しかもこの個体には、新車時に装着されていたオリジナルのミシュランXWXタイヤが残されているとされます。インテリアもデイトナタイプのシートやナルディ製ステアリングなど、当時の雰囲気を色濃く残しています。40年以上の時間が流れているにもかかわらず、まるで1981年からタイムスリップしてきたような状態なのです。
512BBは、その後、燃料噴射仕様の512BBiへと進化します。つまり今回の個体は、キャブレター式の512BBとしては最終期にあたるモデルです。現在のフェラーリでは味わえない、キャブレターと12気筒エンジン、そしてピニンファリーナによる低くワイドなボディという組み合わせは、まさにスーパーカー黄金時代の象徴といえるでしょう。
今回の予想落札価格は35万~40万ユーロ。日本円では6000万円台前半から7000万円前後がひとつの目安になります。
もちろん、512BBは本来、ガレージに飾って眺めるだけのクルマではありません。しかし、この個体に限っていえば、「走っていないこと」そのものが価値になっています。
851kmという走行距離は、単なる数字ではありません。スーパーカーがまだ少年たちの夢だった時代のフェラーリが、その姿をほぼそのまま残しているということです。
「サーキットの狼」を読んでフェラーリに憧れた世代にとっては、単なる希少車ではなく、あの時代の記憶まで呼び起こしてくれる一台となっています。
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