1.6リッターV6ターボ+4モーターで1063馬力 F1エンジンを搭載した“世界最速市販車”がオークション登場 走行507キロのAMG「ワン」の価値は
ニュルブルクリンク北コースで6分29秒090という市販車最速タイム
スーパーカーの世界には、「F1の技術をフィードバックした」というモデルは数多く存在します。しかし、F1マシンのパワーユニットそのものをベースに、ほぼ究極ともいえるレベルで公道走行可能なハイパーカーへ仕立て上げたクルマは、そう多くありません。
その代表格がメルセデスAMG「ONE(ワン)」です。
2026年9月26日に開催されるRMサザビーズの「ザ・チューリッヒオークション」では、2024年式のAMG ワンが出品されます。落札予想価格は230万~250万スイスフラン、米ドル換算で285万~310万ドル。日本円にすれば、おおよそ4億円台後半から5億円前後という、とんでもない価格帯です。
しかも、この個体は新車からワンオーナーで、走行距離はわずか507km。
AMGワンが特別なのは、その心臓部です。搭載されるのは1.6リッターV型6気筒ターボ+4基のモーターによるプラグインハイブリッドシステムで、システム最高出力は1063馬力。エンジンは、ルイス・ハミルトン選手選手とニコ・ロズベルグが2016年のF1世界選手権で使用した「W07」のパワーユニットをルーツとしています。

もちろん、F1エンジンをそのまま公道車に載せればいい、という簡単な話ではありません。
レース用エンジンはメカニックのサポートを前提としていますが、AMG ONEでは一般車として始動でき、排出ガス規制にも対応させる必要があります。その開発には長い時間がかかり、2017年にコンセプトが発表されながら、市販車の完成は2022年まで待つことになりました。
まさに「F1エンジンを公道へ」という無謀とも思える挑戦を、メルセデスAMGが本当に実現したクルマなのです。
さらに、F1由来なのはエンジンだけではありません。7速Xtrac製トランスミッション、4WD、アクティブエアロダイナミクス、そしてF1のDRSを思わせる可変リアウイングなど、随所にレーシングテクノロジーが投入されています。
その性能も桁違いです。0-100km/h加速は2.9秒、最高速度は352km/h。ニュルブルクリンク北コースでは「ストラット2」と呼ばれるもっともアグレッシブなモードを使い、6分29秒090という市販車最速級のラップタイムを記録しています。
そして生産台数はわずか275台。今回の個体はブラックのボディにシルバーのスリーポインテッドスター、ペトロナスグリーンのアクセントを組み合わせたF1を彷彿とさせる仕様です。
AMGワンは、単なる「速いメルセデス」ではありません。F1で培われた技術を、採算や開発期間といった現実的な制約をある意味で度外視して市販車に落とし込んだ、メルセデスAMGの技術力を象徴する一台です。
実際、別の2024年式AMGワンは、2026年のRMサザビーズ主催のモナコオークションで281万7500ユーロ(約2億円台後半)で落札されています。
今回の個体も予想価格からすれば非常に高額ですが、275台限定、F1由来のパワーユニット、そしてわずか507kmという条件を考えれば、この価格にも納得できる部分があります。
将来的には「F1エンジンを積んだ最後の公道車」として、さらにコレクターから注目される可能性もありそうです。
VAGUEからのオススメ
前作超え感じさせる“ロケット級”の飛び実現へ! 新スリクソン「ZXi RKT」ドライバー4モデルの実力を試してみた【PR】