ニュル北コースを最初に“7分切り”したPHEVスポーツ! 10年前のポルシェ「918スパイダー」がオークション登場 “21世紀のスーパーカー像”を大きく変えた1台とは
0-100km/h加速は2.6秒、最高速度は345km/h
ポルシェの歴史を振り返ると、後世に大きな意味を持つモデルがいくつかあります。
そのなかでも、とりわけ重要な1台が「918スパイダー」です。
2013年に登場した918スパイダーは、4.6リッターV8エンジンに2基のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッドです。
システム最高出力は887馬力、0-100km/h加速はわずか2.6秒、最高速度は345km/hに達しました。生産台数は、モデル名そのままの918台です。
しかも、このクルマの凄さは単純な最高出力だけではありません。前後のモーターを使った4WD、後輪操舵、カーボン製モノコックなどを組み合わせ、当時としては極めて先進的なハイブリッドシステムをスーパーカーの運動性能に結びつけました。
象徴的なのがニュルブルクリンク北コースでの記録です。2013年、ヴァイザッハ・パッケージ仕様の918スパイダーは6分57秒を記録。市販車として初めて7分を切るラップタイムを記録しました。
当時、918スパイダーのライバルとして注目されたのが、フェラーリ「ラ・フェラーリ」とマクラーレン「P1」です。いずれも2013年に登場したハイブリッド・ハイパーカーで、3台は現在でも「ハイパーカー三強」として語られます。
それぞれが異なる方法でエンジンと電動化を組み合わせ、21世紀のスーパーカー像を大きく変えました。

そして今回、ブロードアロー・オークションの「ザウテ・コンクールオークション」に出品されるのが、その918スパイダーのなかでも特別な1台です。
最大のポイントは「ヴァイザッハ・パッケージ」です。
これは単なる特別カラーや内装パッケージではなく、マグネシウムホイール、チタン製ボルト、軽量化された装備、カーボン製エアロパーツなどを採用し、車重を標準仕様から約35~40kg軽量化。カーボン製ルーフやリアウイング、ミラーなども特徴です。
つまりヴァイザッハとは、「918をもっと速く、もっとレーシングカーに近づける」という明確な目的を持った仕様なのです。
今回の個体はさらに、ペイント・トゥ・サンプルによる「スポーツクラシック・グレー」を採用。インテリアもエスプレッソのレザー・トゥ・サンプルとされ、世界でこの組み合わせを持つ唯一の918スパイダーとされています。
走行距離は約1万8000km。単に「918だから高い」のではなく、仕様そのものがコレクターにとって重要な個体です。
その落札予想価格は260万~300万ユーロ。日本円にすると約4億6500万~5億3700万円という金額です。
しかし、918スパイダーの現在の価値を考えると、この数字にも理由があります。
2025年にはRMサザビーズ主催のオークションで、ヴァイザッハ仕様が270万ドルで落札されており、現在では100万ドル台前半のスーパーカーというより、200万~300万ドル級のコレクターズカーとして評価される例も出ています。
登場から10年以上が経過したいま、918スパイダーは単なる「速いポルシェ」ではありません。電動化が進む前夜に生まれた、エンジンとモーターを極限まで融合させたポルシェの技術的到達点。そのなかでもヴァイザッハ・パッケージ、さらに希少なオリジナル仕様を持つ今回の1台が、オークションでどこまで評価されるのか注目されます。
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