ヨットにヘリまで!? なぜレクサスは“クルマ以外”にも本気なのか? 「陸・海・空」をつなぐ“360度モビリティ”の戦略とは
ヨットに専用ヘリ! 陸だけでなく海と空へと広がるレクサスの世界
レクサスは2026年9月25日、新しいラグジュアリーヨット「LY680」の海外販売をスタートすると発表しました。2026年3月に実船が世界初公開され、日本でも販売されていたモデルで、10月28日から米国フロリダ州で開かれる「フォートローダーデール国際ボートショー」にも出展されます。
「LY680」は、レクサス初のラグジュアリーヨット「LY650」をもとに、フライブリッジを約1400mm、スイミングプラットフォームを700mm延長した改良モデルです。全長は20.63m(約68フィート)で3つの客室を備え、最大15人が乗船できます。
さらにレクサスは、空のモビリティにも活動の場を広げています。エアロトヨタは2026年7月、専用機である「レクサス ヘリコプター」による旅客輸送サービス「レクサス フライト」を8月24日にスタート。機体はイタリア・レオナルド社製の「AW169」で、都市とリゾートを結ぶ空の移動を担っています。
クルマ、ヨット、ヘリコプター……レクサスはなぜ、ここまで“クルマ以外”の領域に力を入れるのでしょうか。
●目指すのは“ラグジュアリーライフスタイルブランド”
その答えは、レクサスが自らをどのようなブランドとして位置づけているかにあります。
2019年に「LY650」が世界初披露された際、トヨタ自動車の豊田章男社長(当時)は、「LY650」を「ラグジュアリーライフスタイルブランドを目指すレクサスの、クルマに留まらない挑戦の象徴です」と表現しています。つまりレクサスが目指しているのは、クルマをつくって売るだけのブランドではなく、オーナーが過ごす時間そのものに関わるブランドなのです。

そして、2025年10月の「ジャパンモビリティショー2025」において、サイモン・ハンフリーズCBO(チーフ・ブランディング・オフィサー)は「次なる舞台は、海と空です。いい換えれば“360度のモビリティ”です」と語っています。「LY680」の海外展開と「レクサス フライト」は、その言葉を形にしたものといえるでしょう。
では、レクサスが提供しようとしている体験とは、どんなものなのでしょうか。「レクサス フライト」の発表時、その具体的な姿が描かれています。
レクサスの各車両で出発地からヘリポートへ向かい、「レクサス ヘリコプター」で都市からリゾートへ。さらに「LY680」で海の上のひとときを過ごす……目的地に着くまでの道のりは、これまで「所要時間」として消費されがちでした。しかしレクサスは、その行程そのものを「オーナーだけの特別な時間」に変えようとしています。
「LY680」のテーマである「DISCOVER ESCAPISM」も、同じ方向を向いています。信号も渋滞も他人の視線もない海の上で、本物を知る人が素の自分に戻れる空間を提供するというのが、その狙いです。
●10年近く前から始まっていた「海と空」への挑戦
実はレクサスの海への挑戦は、最近、始まったものではありません。
2017年1月には、トヨタマリンとレクサスがコンセプトモデル「レクサス スポーツ ヨット コンセプト」を発表。2019年には「LY650」が登場し、2024年3月には「LY680」の受注が日本で始まっています。
トヨタが「クルマ屋」から「モビリティカンパニー」への変革を進める中で、レクサスは10年近くを費やして少しずつ事業を広げてきたのです。
そして、各モデルのつくり方には、トヨタらしさが息づいています。「LY680」を建造するのは、大型ヨットの建造に強みを持つ台湾のホライゾングループ。レクサスがデザインと体験価値の設計を担い、ホライゾングループの「造る力」にTPS(トヨタ生産方式)を応用したヨットの生産手法を組み合わせています。すべてを自社でつくるのではなく、得意なパートナーとタッグを組むやり方です。
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