「うわっ、映画の世界に迷い込んだみたい」レトロな雰囲気を楽しめるってだけじゃない! 泉質も魅力的な昔懐かしい“共同浴場”3選
続いては東京都と大分県に位置する共同浴場
●東京都「小杉湯」
次に紹介するのは、東京都杉並区高円寺にある「小杉湯(こすぎゆ)」です。
高円寺駅近くの商店街から細い路地を一歩入った場所に佇んでおり、1933年の創業当時から残る、堂々とした木造の宮造り建築が魅力です。

正面玄関には、曲線が美しい「唐破風(からはふ)」の屋根が構えられ、その上には三角形をした「千鳥破風(ちどりはふ)」の大屋根がそびえ立ちます。
関東大震災の後に流行した「東京型銭湯」の典型的なスタイルを今に伝えており、国の登録有形文化財にも指定されました。
暖簾をくぐると開放的な脱衣所が広がり、見上げると当時の職人が屋久杉で仕上げた見事な格天井(ごうてんじょう)が出迎えてくれます。
さらに浴室へ進むと高い天井が心地よく、奥の壁には職人の手による鮮やかな富士山のペンキ絵が堂々と描かれています。
小杉湯の代名詞といえば、なんといっても名物の「ミルク風呂」です。優しく甘い香りと白く柔らかなお湯が特徴で、このミルク風呂と44度前後の「あつ湯」、そして冷たい「水風呂」を交互に浸かる温冷浴が、多くの人に愛されています。
歴史ある建物を大切に守りながらも、アート展の開催や企業とのコラボなど、常に新しい試みを発信し続けて小杉湯は、古き良き昭和のレトロさと現代のカルチャーが心地よく共存した東京を代表する人気銭湯です。
●大分県「竹瓦温泉」
最後に紹介するのは、大分県別府市にある「竹瓦(たけがわら)温泉」です。
1879年の創設当初は竹葺きの屋根だったことからその名が付き、現在の建物は1938年に建てられた歴史ある木造建築です。

正面玄関には重厚な「唐破風(からはふ)」造りの大屋根が構えられており、まるで歴史ある寺院のような圧倒的な風格を漂わせています。
その建築美と温泉文化としての価値が高く評価され、国の登録有形文化財や近代化産業遺産にも指定されています。
一歩足を踏み入れると昭和初期にタイムスリップしたようなノスタルジックなロビーが広がり、浴場は階段を下りた半地下構造の湯船という、古き良き湯治場のスタイルを残しています。
また、もうひとつの名物が温泉で温められた黒い砂を全身にかけてもらう「砂湯」で、浴衣を着て横たわると、じわじわと体の芯から心地よい汗が吹き出します。
竹瓦温泉の泉質は、普通浴場がナトリウム・カルシウム・マグネシウムー塩化物・炭酸水素塩泉、砂湯がナトリウムー塩化物物質泉です。
普通浴場のお湯は43度を超えることが多くかなり熱めの設定ですが、源泉かけ流しの濃厚な名湯を昔ながらの風情とともに格安で堪能することができます。
さらに、別府温泉の中心部に位置しているため、湯上がりには周辺のレトロな路地裏を散策したり、近くに点在する他の歴史ある共同浴場との「湯巡り」を楽しんだりするのもおすすめです。
※ ※ ※
今回取り上げた歴史的な建築物を持つ共同浴場は、いずれも建築から長い年月が経過していますが、適切な保存修理や維持管理によってその姿が守られています。
いずれの施設も、単に入浴するだけでなく、その空間が持つ歴史や建築様式を体感できる点に特徴があり、当時の建築美を直接肌で感じることが可能です。
昔ながらの息吹が残るこれらの湯屋を巡ることは、日本の温泉文化の深さを再認識する貴重な機会となるはずです。
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