登場わずか4年で経営破綻 90年代に世界最速を目指して作られた「悲運のスーパーカー」を発見 希少な「銀のブガッティ」の価値とは
走行3万kmの個体の予想価格は2億円超え
1990年代初頭、フェラーリやランボルギーニといったスーパーカーブランドがしのぎを削るなか、ひときわ異彩を放つモデルが登場しました。
それが、ブガッティ「EB110 GT」です。

ブガッティといえば、戦前の自動車史に名を刻んだフランスの名門ブランド。しかし、1960年代以降は自動車の生産から遠ざかっていました。
そのブガッティを復活させたのが、イタリアの実業家ロマーノ・アルティオーリです。1987年にブランドの商標権を取得し、イタリアのモデナ近郊カンポガリアーノに近代的な工場を建設。新生ブガッティの象徴として開発されたのがEB110でした。
1991年9月15日、創業者エットーレ・ブガッティの生誕110周年にあたる日に発表されたEB110は、その名前にも記念の意味が込められています。
技術面でも、当時の常識を超えるものでした。車体には航空宇宙企業エアロスパシアルが開発に携わったカーボンモノコックを採用。ミッドシップに搭載される3.5リッターV型12気筒エンジンには、なんと4基のターボチャージャーを組み合わせています。
さらに駆動方式は4WD、トランスミッションは6速MT。最高出力は560psに達し、最高速度は351km/hを誇りました。
EB110には、グランツーリスモを意味する「GT」と、より軽量で高出力な「SS(スーパースポーツ)」が設定されました。GTは快適性も考慮したロードカーとしての性格を持ち、SSはさらなるパフォーマンスを追求したモデルです。どちらも4基のターボを備えたV12エンジンを搭載しますが、SSの最高出力はおよそ610psまで引き上げられています。
しかし、これほど意欲的なスーパーカーを生み出したブガッティを待っていたのは、厳しい現実でした。
1990年代前半には世界的な景気後退が進み、高額なスーパーカー市場も急速に冷え込んでいきます。
アルティオーリは英国のロータスを傘下に収めるなど事業を拡大しましたが、経営負担は増大。先進技術を惜しみなく投入したEB110は、販売面で苦戦を強いられました。
そして1995年、ブガッティ・アウトモビリは経営破綻。カンポガリアーノの工場も閉鎖され、ブランド復活の夢はわずか数年で途絶えてしまったのです。
EB110は、生産台数の少なさでも特別な存在です。生産数については集計によって差がありますが、GTは約84〜96台、SSは約32〜40台とされ、全体でもおおむね130台前後にとどまります。
なかでもGTは、現代のブガッティにつながる技術的な挑戦を味わえる希少なモデルです。

今回、米国ラスベガスのオークションに出品されるのは、1994年式のEB110 GT。車台番号はZA9AB01E0RCD39092で、マニュアルトランスミッションを備えた左ハンドル車です。
走行距離は約3万km(約1万8000マイル)とされています。
ブガッティの復活を象徴しながら、時代の波に押し流されるように生産を終えたEB110。その悲運の物語もまた、このクルマを特別な存在にしています。
今回のオークションでの予想落札価格は、150万〜200万ドル(約2億3000万〜3億円)と見込まれます。
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