「デ・トマソ」といってもパンテーラじゃない! 21台しか作られなかった幻のスーパーカーを発見 BMWのV8エンジンをミッドに搭載した「グアラ」とは
マセラティのレース車両をベースにした公道仕様スーパーカー
「デ・トマソ」と聞けば、多くの人が思い浮かべるのは「パンテーラ」でしょう。
アメリカンV8エンジンをミッドシップに搭載し、イタリアンデザインと組み合わせたスーパーカーです。
しかし、そのパンテーラの後継を担うべく登場した「グアラ(Guara)」となると、知っている人はかなり少ないのではないでしょうか。

グアラが初めて公開されたのは1993年のジュネーブ・モーターショーです。
デザインを手がけたのは、イタリアのデザイン会社シンセシス・デザインを率いるカルロ・ガイノ。実はこのクルマ、1991年に開発されたマセラティのワンメイクレース用車両「バルケッタ」の公道仕様プロトタイプをベースにしています。
マセラティとデ・トマソの関係が深かった時代の計画を引き継ぎ、ロードカーとして仕立て直したモデルなのです。
ボディはケブラーやカーボン複合材、グラスファイバーなどを組み合わせた軽量な構造で、シャシにはアルミ製ハニカム構造を採用したバックボーンフレームを使用します。
サスペンションの開発には、F1やインディカーにも携わったアルゼンチン出身のエンジニア、エンリケ・スカラブローニが参加。プッシュロッドを介して車体中央にダンパーを配置する方式は、レーシングカーを思わせるものです。ブレーキにはブレンボ製を採用し、軽量化と運動性能を重視した設計となっていました。
エンジンも興味深いところです。初期型に搭載されたのは、BMW製の4リッターV型8気筒自然吸気エンジン。6速MTを組み合わせ、後輪を駆動します。
その後、1998年ごろからフォード製4.6リッターV8へと変更されました。つまり、デ・トマソ伝統のアメリカンV8ではなく、BMWのV8を搭載した初期型は、グアラのなかでも特別な存在といえます。
ボディタイプはクーペのほか、スパイダーやバルケッタも用意されました。生産台数は資料によって数え方に違いがありますが、今回の出品車が属するクーペは約21台とされています。
パンテーラのように広く知られることはありませんでしたが、デ・トマソらしい異なる国の技術を組み合わせた一台だったのです。

今回出品される個体は、ポルシェ・ブルーメタリックのボディにグレーのレザーインテリアという組み合わせ。1997年9月に工場から出荷され、1999年にロンドンで初登録されました。
走行距離は約2万5211kmで、オリジナルのビルドドキュメントも付属します。
オークションは2026年11月7日に開催される「チューリッヒオークション」。予想落札価格は7万〜11万スイスフラン、日本円で約1350万〜2130万円です(1スイスフラン=約193円で換算)。
パンテーラの陰に隠れがちな、デ・トマソ最後の時代を象徴する希少なスポーツカーです。
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