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BMWの高性能モデル「M3」などのMモデルをつくる“M社”ってどんな会社? その歴史とは

世界各国でドライバートレーニングも開催している

 3つ目の柱は、1978年から始まったBMWドライバー・トレーニングで、今はBMWドライビング・エクスペリエンスと名称を変えている。

 1970年代のドイツでは交通事故が多く、BMWはカーメーカーの立場から、安全なクルマの扱い方を広めるために開催した。

  • 1972年当時のBMW M社。当時は「BMW モータースポーツ社」という名前だった

 警察や軍隊などもこのトレーニングを採用し、保険会社もその効果を認め、受講者には保険料を割り引くなどの特典を設けた。半日コース、若者向けコース、ニュルブルクリンクのノルドシュライフェなどのレーストラックコース、スウェーデンやオーストリアのウインターコース、アフリカの砂漠を走破するコースなど、バラエティに富んだメニューを用意している。

 またインストラクターのための高度なトレーニングも用意している。ちなみに日本では1987年11月と1988年3月にラウノ・アルトーネン氏が来日して試験開校し、1988年5月に筆者はインストラクター研修のために2週間ドイツに行った。1989年から一般のドライバーが参加できる正式開校したから、すでに30年以上の歴史がある。このように各国のBMWのインポーターが自国でBMWドライビング・エクスペリエンスを開催している。

 4つ目の柱は1991年から始めたBMW Individual(BMWインディビデュアル)である。

 オプションパーツでは対応しきれない、ユーザーの難しいオーダーを一手に引き受けてくれるのがインディビジュアルである。スペシャルオーダーのボディカラーを塗装してくれるのはもちろん、シートも革の種類や色、ステッチのカラー、刺繍も施すことができる。納車する国のレギュレーションに違反しない限りは対応してくれる。

 ただし、オーダーにより半年から1年くらい待つ覚悟は必要になってくる。

 5つ目の柱は、あまり知られていないが特殊車両の製作だ。

 テロに巻き込まれても中の人が安全にいられるようにするためのセキュリティカーなどがその一例だ。分厚い窓ガラス、床下で爆弾が爆発しても耐えられるようにした丈夫なフロア板を張り、ボタンひとつで外部からの攻撃に耐えられるようにするスイッチもつく。ランフラットタイヤよりも強力な、パンクしないタイヤを履いている。「7シリーズ」が4トン車ほどの重量になるという。

  • 新型「M3」と「M4」

* * *

 こうしてM社の事業を見てみると、単にスポーティなクルマ、サーキットを走ることが得意なクルマだけを作っているだけではないということがわかる。

 M社と立場が似ているのが、アウディのクワトロ社やメルセデス・ベンツのメルセデスAMG社である。クワトロ社はアウディ「RS」モデルや「R8」などを開発、AMG社はメルセデスAMGの各モデルを開発しているから、BMWのM社と同じ位置にいるようにみえる。ただしMモデルは、専用エンジンをつくるなどMモデル専用パーツを多数採用し、ノーマルモデルとはかけ離れた尖ったポジションにいるところが特徴になっている。

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こもだきよし
こもだきよし
モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長(2016年〜) 1950年 神奈川県川崎市生まれ 自動車レース、タイヤテストドライバーの経験を経て、1984年から新型車にいち早く試乗して記事を書くフリーランスのモータージャーナリストになる。クルマが好きというより運転することが好きでこの仕事をしている。 世界一の難所と云われるドイツのニュルブルクリンクの北コース(ノルドシュライフェ)を1984年5月に初めて走ってから40年間通い、BMW M社主催のBMW ドライビングエクスペリエンスで、インストラクターとしてドイツ人インストラクターとともに日本人参加者向けにニュルの走り方を伝えている。

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