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ポルシェ「959」に王族特注モデルがあった! 世界に1台の豪華仕様の内容とは

王族のための特注ポルシェ「959」の装備とは

 今回RMサザビーズ「St.Moritz」オークションに出品されたポルシェ959は、内装を豪奢に仕立てた「コンフォート(Komfort)」仕様の1台である。

 さらにこの個体は、カタール王室のメンバーが特注したもので、自動車愛好家として知られていた彼は、ポルシェAGの「エクスクルーシブ」部門に、この959コンフォートを含めた7台の959を注文したといわれている。

 これは、当時からきわめて重要な顧客であったカタールの「シェイク(長老・首長のこと)」に敬意を示すため、ポルシェ・エクスクルーシブ部門が当時の取引ではほとんどおこなれていなかった裁量に基づくものだった。

  • 特別なボディカラーをまとったポルシェ「959」は、落札価格も異例の高額であった(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●中東カタールの“シェイク”が、7台同時にオーダーした959のひとつ

 カタールのシェイクは、それぞれユニークなカラースキームで7台の959を注文したといわれている。その中には金色にペイントされた個体もあったそうだが、今回の出品車のワインレッドを含めて、外装とコーディネートしたレザーインテリアが組み合わされていた。従って、目を引くワインレッドメタリックのボディに、バーガンディのインテリアで仕立てられたこの959コンフォートは、今なお独特のリバリーを保持している。

 このポルシェ959コンフォートは1988年型とされるが、スペシャルオーダーの艤装に時間を要したため、完成したのは1989年11月だったとのことである。

 発注時のビルドシートによると、当時のポルシェが純正指定していた盗難防止装置や、運転席/助手席シートにはシートヒーターも装備する。

 そして、ボディカラーと同じくこの個体の大きな特徴であるキャビンは、959の象徴的特徴のひとつであるグラデーション仕立ての本革シートの基調色が、ボディカラーのテーマを反映した濃いバーガンディとされ、それはレザーを使用するドアのインナーパネルやダッシュボード、シフトブーツ、ステアリングホイール、そしてカーペットにも引用されている。

 このダッシュパネルには、純正オプションのブラウプンクト社製「ブレーメンSQR 46」カセットステレオが装備されるほか、驚くべきことに天然ウッドのグロス仕上げキャッピングまで施されている。

 ところが、これほどの特別オーダーによって製作されたにもかかわらず、カタール王族の初代オーナーが30年以上におよぶ所有期間に刻んだマイレージは、わずか961km。つまり、ほぼ新車状態のまま維持されてきていることになる。

 しかも2018年から翌2019年の間に、スイスの首都におけるポルシェの公式ワークショップである「ポルシェ・センター・ジュネーブ(Centre Porsche Genève)」にて、13万スイスフラン(約1600万円)を投入して大掛かりなメインテナンスを受けたことが、オークション出品に際して添付されたドキュメントでも明示されていたという。

 このとき、ワークショップでの1年以上にわたるサービスを通じて、ポルシェ公認のエンジニアがエンジンのオーバーホールを実施。また燃料インジェクターを洗浄したほか、重要なウォーターシール、燃料ホース、ベルト、フィルター、スパークプラグ、イグニッション部品などの交換をおこなった。

 この作業では、さらに特定のサスペンションコンポーネンツの交換が含まれ、新品タイヤが取り付けられており、ポルシェ・センター・ジュネーブによるサービスレポートの完全なコピーも、添付ドキュメントに含まれている。

 デビュー当時ライバルと目されたフェラーリ「F40」や、のちのポルシェ製ハイパーカー「カレラGT」、「918スパイダー」と比べても生産台数が明らかに少ない割には、現代における959の相場価格は、比較的穏当に推移しているかに見える。

 現在の国際マーケットを見回しても、おおむね1億2000万円から1億8000万円くらいの売り物が多いなか、今回のオークションに出品されたワインレッドの959コンフォートは197万3750スイスフラン、日本円に換算すれば約2億4410万円での落札となった。

 このプライスは、現状でのポルシェ959としては、おそらくハイエンドに属するものだろう。このクルマ固有の特別な仕立てやヒストリーが、当日のオークションにおける入札を活性化させたとみて、間違いはないだろう。

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