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アストンのボンドカー復活! 「自動車の傑作」と呼ばれた「V12ヴァンキッシュ」とは

すべてがチャレンジだった「V12ヴァンキッシュ」の最新技術とは?

 リアシートを手荷物スペースと割り切った「2+0」シーターがデフォルト、あるいは、オプションのリアシートを選べば「2+2」レイアウトを選択できることも念頭に置いたボディのデザインをアストンマーティンから委ねられたのは、「トム・ウォーキンショー・レーシング」のデザイン部門「TWRデザイン」社である。

  • 「DB7」のデザインを担当したイアン・カラムが、「V12ヴァンテージ」のスタイリングを担当

●イアン・カラムによるデザイン

 主導したスタイリストはTWRデザインの元代表で、フォード在籍時にはグループBラリーカー「RS200」を手掛けたほか、同じアストンマーティンでは「DB7」の創造主としても知られる現代イギリスを代表する自動車デザイナー、イアン・カラム氏だった。

 後に長らくジャガーのデザイン責任者を務め、クラシックカーにも造詣の深いカラム氏が全精力を傾けたボディスタイリングは、アグレッシヴながらエレガントで古典的。アストンマーティンの血統や遺産、伝統を反映するように形づくられていた。

 また、大胆でダイナミックなアピアランスの一方で、エクステリアとインテリア双方のために、ディテールの随所に至るまで機能を追求していた。

 すべての外部ボディパネルはアルミニウムで構成されるかたわら、フロアと前後バルクヘッドを含むシャシ構造は、カーボンファイバー製のセンタートンネルを中核にボンド接着された押し出しアルミ材のセクションから形成。また、カーボン製のAピラーもセンターセクションに接着され、高強度なセーフティセルを形成した。

 ドライバーとコックピットの直前、フロント側のバルクヘッドに直接ボルト固定されたスチール/アルミニウム/カーボンファイバー混成のサブフレームには、エンジン/トランスミッション、およびフロントサスペンションが据え付けられている。

 そしてルーフにボンネット、トランクリッド、前後フェンダー、ドアを含むすべての外部パネルは、超塑性成型およびプレス成型のアルミニウムから製造。それぞれのボディパネルは、完璧なフィット感と仕上げを確保するために、ニューポート・パグネルにあった旧工場において手作業でセンターセクションに接着されたという。

 ただ、当時のアストンマーティンは古き良きハンドメイドのクルマ作りの技術しか持ち得てなかったことから、これらの新素材で車両を製作するためには北米カリフォルニア州シリコンバレーや、英国ノッティンガム大学の力を借りる必要があったとのことである。

 もともとはフォードV6「デュラテック」エンジンを2基連結したものから始まった、総軽合金製4カムシャフト48バルブV12エンジンは、総排気量5935cc。6500rpmで460psの最高出力と、5000rpmで556Nmの最大トルクを発生させることができ、V12ヴァンキッシュに190mph(約305km/h)の最高速度をもたらしていた。

 同時代の「DB7ヴァンテージ」に搭載されたV12ユニットに対して、新デザインの吸気マニホールドにカムシャフト、バルブギア、クランクシャフト、そして排気系も見直されたことで、約7%のパワーアップに成功したことになる。

 そして組み合わされたトランスミッションは、ステアリングコラムに取り付けられたツインパドルを介して作動する6速シーケンシャルで、ドライブ・バイ・ワイヤ式スロットルにリンクされる仕組みとなっていた。

  • フロアと前後バルクヘッドを含むシャシ構造は、カーボンファイバー製のセンタートンネルを中核にボンド接着された押し出しアルミ材のセクションから形成

 V12ヴァンキッシュの技術革新はシャシでも展開され、前後とも鍛造アルミ製ウイッシュボーンと鋳造アルミ製アップライトを組み合わせて独立懸架としたサスペンションに、フロント355mm/リア330mmのABSつきブレンボ社製ディスクブレーキを装備。リアアクスルにはコンベンショナルなリミテッド・スリップ・デフと併せて、トラクションコントロールも採用された。

 そしてタイヤは、日本の横浜ゴムと共同で開発された専用品。フロントは255/40ZR19でリアは285/40ZR19とされ、フロント9J-19/リヤ10J-19のアロイホイールが組み合わされる。

 こうして「プロジェクト・ヴァンテージ」から、晴れて生産モデルとなったV12ヴァンキッシュは、1台の生産に約8週間を要するとされた。当時のアストンマーティンおよび親会社だったフォードでは、毎年約300台ペースで数年のシリーズ生産を予期していたという。

 ところが、ふたを開けてみるとV12ヴァンキッシュを求める需要は急増。ウェイティングリストが数年分にも達するにつれて、もっとも多い時期には年間500台に近い生産数を記録するようになる。しかも、のちに登場する「ヴァンキッシュS」など、すべてのバージョンを含めると生産期間は6年間に達し、結果として合計2589台がニューポート・パグネル旧工場をあとにすることになったのだ。

アストンマーティン・ヴァンキッシュ のカタログ情報を見る

Gallery 【画像】ボンドカー復活のきっかけとなった「V12ヴァンキッシュ」(29枚)
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