VAGUE(ヴァーグ)

「80年代コラボがエモい!」アストンとザガートのボクシースタイルに再注目です

攻めたデザインはオープンの方だった!?

 現代の限定生産スーパーカービジネスでは定番と化しているビジネススタイルとして、オリジナルたるクーペ版の生産が終わったのち、そのオープン版を製作する、というものがある。

 ザガートはこの手法を確立したコンストラクターのひとつ。アストンマーティンV8でも、52台の「V8ヴァンテージ・ザガート」の生産を終えたのち、さらに37台の「V8ヴォランテ・ザガート」を製作した。

クーペに比べるとより個性的なフロントマスクのデザインが与えられた(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
クーペに比べるとより個性的なフロントマスクのデザインが与えられた(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

●1988 Aston Martin V8 Volante Zagato

 V8ヴァンテージ・ザガートを特徴づけていたルーフが取り外された分、ヴォランテ独自の個性を強調するためだろうか、フロントグリルはカバーされたほか、角型4灯のヘッドライトにもグリルに連なる意匠のカバーが設けられた。またキャブレターではなくインジェクション仕様となったため、ボンネットのパワーバルジ(こぶ)も廃され、もともとジュゼッペ・ミッティーノが描いたデザインスケッチに近い、未来的なアピアランスとなった。

 一方、5340ccのエンジンは「Xパック」ではないスタンダード仕様とされ、出力などのスペックは新車当時未公表とされたものの、305psをマークしたといわれている。

 また大方の車両には、米クライスラー製トルクフライト3速ATが組み合わせられたが、少数ながらマニュアル仕様車も製作されたとのことである。

 今回「LONDON」オークションに出品された個体は、V8ザガート・ヴォランテとして生産された25台の右ハンドル車の1台。トランスミッションは標準の3速ATである。

 ボディカラーは「ソールズベリ・ブルー」。対照をなす「マグノリア(黄みを帯びたクリーム色)」のレザーインテリアという古典的なカラーコンビネーションで、「#30024」のシャシNo.とともに1988年にニューポート・パグネル工場から送り出された。

 この個体はエアコンやリミテッドスリップデフ、16インチのスピードライン社製アロイホイール、電動の「エバーフレックス」フードなどのオプションを満載。1989年8月1日にロンドン・ケンジントンの「アストンマーティン・セールス」を経由して、最初のオーナーに販売されたという。

ステアリングホイールはクーペと同じだがセンターコンソールのスイッチなどが新しくなっている(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
ステアリングホイールはクーペと同じだがセンターコンソールのスイッチなどが新しくなっている(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's

 そののち、12年間にわたって所蔵する2代目オーナーを含めて、4人の所有者のもとを渡り歩くものの、2001年6月16日に「アストンマーティン・ワークス」でおこなわれた5回目のサービスの時点でも、走行距離はわずか500マイル(約800km)に過ぎなかったことが、付属のサービスマニュアルに示されている。

 2001年8月に6代目オーナーに譲渡されたのちも、「#30024」はアストンマーティン・ワークスによる潔癖的なメンテナンスが施されたうえに、1万4000ポンドを投じてオイルクーラーとトランスミッションの冷却システムをV8ヴァンテージ仕様にコンバート。また、走行距離1328マイルおよび4685マイルの段階で、定期検査を受けている。

 さらに、2014年後半に現オーナーが入手する以前には、ふたりのオーナーのもとで保有。その際にフロントサスペンションのオーバーホール、ブレーキ、パワーステアリングと空調システムの整備がおこなわれた。

 これらの作業は、アストンマーティン専門店として世界に知られる「H.R.オーウェン」および「ニコラス・ミー&カンパニー」に委託し、8900ポンドが支払われたという。

 そして新車としてラインオフして以来、現状に至るまでの走行距離はわずか6742マイル(約1万850km)。美しく保存され、細心の注意を払って維持されてきたこのV8ヴォランテ・ザガートに対して、RMサザビーズ社は20万−25万ポンドのエスティメートを設定した。

 この推定落札価格は、もとよりV8ヴァンテージ・ザガートよりは低めの市場価格で推移しているV8ヴォランテ・ザガートとしては、きわめて順当。見方によってはリーズナブルなものとも考えられるのだが、同じオークションに出品されたV8ヴァンテージ・ザガートと同様に、落札には至ることなく終わってしまった。

 2010年代中盤、クラシックカー/コレクターズカーの相場価格がもっとも高騰した時期には、クーペ版のV8ヴァンテージ・ザガートならば、6000万−8000万円。オープンのV8ヴォランテ・ザガートでも5000万円前後のプライスが設定されることもあったが、ここ数年で比較的落ち着いた感もあるようだ。

 このV8ヴォランテ・ザガートについて、RMサザビーズ英国本社の営業部門は22万ポンド、つまり約3310万円の価格を設定して、現在でも継続販売としている。

Gallery 【画像】80年代のアストンとザガートのコラボモデルが超エモい!(35枚)
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