「80年代コラボがエモい!」アストンとザガートのボクシースタイルに再注目です
攻めたデザインはオープンの方だった!?
現代の限定生産スーパーカービジネスでは定番と化しているビジネススタイルとして、オリジナルたるクーペ版の生産が終わったのち、そのオープン版を製作する、というものがある。
ザガートはこの手法を確立したコンストラクターのひとつ。アストンマーティンV8でも、52台の「V8ヴァンテージ・ザガート」の生産を終えたのち、さらに37台の「V8ヴォランテ・ザガート」を製作した。

●1988 Aston Martin V8 Volante Zagato
V8ヴァンテージ・ザガートを特徴づけていたルーフが取り外された分、ヴォランテ独自の個性を強調するためだろうか、フロントグリルはカバーされたほか、角型4灯のヘッドライトにもグリルに連なる意匠のカバーが設けられた。またキャブレターではなくインジェクション仕様となったため、ボンネットのパワーバルジ(こぶ)も廃され、もともとジュゼッペ・ミッティーノが描いたデザインスケッチに近い、未来的なアピアランスとなった。
一方、5340ccのエンジンは「Xパック」ではないスタンダード仕様とされ、出力などのスペックは新車当時未公表とされたものの、305psをマークしたといわれている。
また大方の車両には、米クライスラー製トルクフライト3速ATが組み合わせられたが、少数ながらマニュアル仕様車も製作されたとのことである。
今回「LONDON」オークションに出品された個体は、V8ザガート・ヴォランテとして生産された25台の右ハンドル車の1台。トランスミッションは標準の3速ATである。
ボディカラーは「ソールズベリ・ブルー」。対照をなす「マグノリア(黄みを帯びたクリーム色)」のレザーインテリアという古典的なカラーコンビネーションで、「#30024」のシャシNo.とともに1988年にニューポート・パグネル工場から送り出された。
この個体はエアコンやリミテッドスリップデフ、16インチのスピードライン社製アロイホイール、電動の「エバーフレックス」フードなどのオプションを満載。1989年8月1日にロンドン・ケンジントンの「アストンマーティン・セールス」を経由して、最初のオーナーに販売されたという。

そののち、12年間にわたって所蔵する2代目オーナーを含めて、4人の所有者のもとを渡り歩くものの、2001年6月16日に「アストンマーティン・ワークス」でおこなわれた5回目のサービスの時点でも、走行距離はわずか500マイル(約800km)に過ぎなかったことが、付属のサービスマニュアルに示されている。
2001年8月に6代目オーナーに譲渡されたのちも、「#30024」はアストンマーティン・ワークスによる潔癖的なメンテナンスが施されたうえに、1万4000ポンドを投じてオイルクーラーとトランスミッションの冷却システムをV8ヴァンテージ仕様にコンバート。また、走行距離1328マイルおよび4685マイルの段階で、定期検査を受けている。
さらに、2014年後半に現オーナーが入手する以前には、ふたりのオーナーのもとで保有。その際にフロントサスペンションのオーバーホール、ブレーキ、パワーステアリングと空調システムの整備がおこなわれた。
これらの作業は、アストンマーティン専門店として世界に知られる「H.R.オーウェン」および「ニコラス・ミー&カンパニー」に委託し、8900ポンドが支払われたという。
そして新車としてラインオフして以来、現状に至るまでの走行距離はわずか6742マイル(約1万850km)。美しく保存され、細心の注意を払って維持されてきたこのV8ヴォランテ・ザガートに対して、RMサザビーズ社は20万−25万ポンドのエスティメートを設定した。
この推定落札価格は、もとよりV8ヴァンテージ・ザガートよりは低めの市場価格で推移しているV8ヴォランテ・ザガートとしては、きわめて順当。見方によってはリーズナブルなものとも考えられるのだが、同じオークションに出品されたV8ヴァンテージ・ザガートと同様に、落札には至ることなく終わってしまった。
2010年代中盤、クラシックカー/コレクターズカーの相場価格がもっとも高騰した時期には、クーペ版のV8ヴァンテージ・ザガートならば、6000万−8000万円。オープンのV8ヴォランテ・ザガートでも5000万円前後のプライスが設定されることもあったが、ここ数年で比較的落ち着いた感もあるようだ。
このV8ヴォランテ・ザガートについて、RMサザビーズ英国本社の営業部門は22万ポンド、つまり約3310万円の価格を設定して、現在でも継続販売としている。
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