ポルシェ「911」に「ヒラメ顔」があった! 「カエル顔」ではない公認「911ターボS」の市場価値は2倍に高騰!!
ヒラメ顔の「911ターボ」についた驚愕の落札価格とは
ポルシェAG純正「X85」オプションパッケージも込みで正規オーダーされた、アメリカ市場向けの964ターボS「フラッハバウ」は、同時代の964ターボのアメリカにおけるベース価格が9万9000ドルだったのに対して、さらに6万ドルのエクストラコストを要求したという。

これらのスペシャル車両はポルシェ「928」から「968」に継承された、アメリカでは「Flounder(ヒラメ)」スタイルと呼ばれるヘッドライトが、ルックスにおける最大の特徴といえるだろう。
1978年にコーチビルダー「b b」社が初めて製作したフラットノーズ911では、928用のヘッドライト・ユニットを移植したとされるが、X84/85は同時代の968用ユニットをコンバートしたようだ。
またスタンダードの964ターボに施されたボディワークに加えて、「959」スタイルで特設されたリアクォーターパネルの非対称エアインテークや専用のフロントエアスプリッター、大型のインタークーラーに4本出しのエンドマフラー、そして18インチのスピードライン社製専用アロイホイール「Speedline for Porsche」にセットした前225/40-18、後265/35-18の高性能タイヤなどを外観上の特徴とする
RMサザビーズ「ARIZONA」オークションに出品されたポルシェ911ターボ「フラッハバウ」は、先般オークションレビューをお届けした959や「カレラGT」と同じく、近・現代ドイツの素晴らしい所蔵車両で知られる「テネンバウム・コレクション(The Tenenbaum Collection)」から出品されたものである。
●たった4年で、マーケット価値は2倍にアップ?
この個体のヒストリーは1994年7月に、ミズーリ州スプリングフィールドの「モーターカーズ・インターナショナル(Motorcars International)」社を介して、オクラホマシティ在住の初代オーナーに新車として納車されたことからスタートする。ランバーサポートとシートヒーター付きのナッパレザーシート、電動サンルーフ、リモートCDチェンジャーなどの特別装備がふんだんに盛り込まれていたのは、新車として生産されたときからのことという。
オークションカタログ作成時の走行距離は、約3700マイル(約6000km)という28年の車齢を考えれば相当なローマイレージ。しかも、出品時にも添付されるファイルに残されたサービス請求書は、このポルシェが過去数十年にわたって受けてきたメンテナンスレベルの高さを示している。
また定期的な油脂類の交換に加えて、メカニズム系には必要に応じてメンテナンスや修理が施され、傷みやすいゴム部品や化粧品にも細心の注意が払われてきた。2002年~2018年の請求書を含むサービスファイルに加えて、このフラッハバウにはウィンドウステッカーやポルシェの公式認証、オーナーズマニュアル、および純正ツールキットなども完備している。
テネンバウム・コレクションから提供されたこのX85フラッハバウは、「ポルシェ911ターボ」というアイコニックなモデルの歴史の中でも特別な存在といえるだろう。
964ターボに続く993ターボは4輪駆動に進化を遂げるとともに、930以来の大径シングルターボチャージャーは、小径のツインターボへと取り換えられることになった。たしかにパフォーマンスの面では993ターボに軍配が上がることは否めないものの、いっぽうでシングルターボ+後輪駆動の究極形を体現したX88パッケージは、古典的「ポルシェ・ターボ」の頂点を求めるエンスージアストにとっては、何ものにも代えがたい。
しかも、米国仕様X85パッケージの希少性と一緒に、この走行距離とコンディションまで兼ね備えた911ターボS「フラッハバウ」について、出品者とRMサザビーズ北米本社は自信たっぷりな80万~100万ドル(邦貨換算約9200万〜約1億1500万円)のエスティメートを設定した。
この自己評価はあまりにも高いのではなどと思っていたのは筆者だけだったようで、競売ではあっという間に入札が伸び、終わってみればエスティメート上限の3割増しの132万5000ドル、つまり邦貨換算約1億5300万円でハンマーが落とされることになったのだ。
ちなみに、同じRMサザビーズが2018年3月に開いた「アメリア・アイランド」オークションでは、比較的条件の近い964ターボSフラッハバウX85が出品され、65万4000ドルで落札された。この4年間で、多くの空冷ポルシェ911が少しずつながら相場価格を落としているかたわら、964ターボSフラッハバウはおよそ2倍にも高騰したことになる。
国際クラシックカー市場におけるポルシェ911の相場は落ち着いたかにも見えていたのだが、やはり常に動くのがマーケットというものなのだろう。
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