フェラーリにイタリア限定があった! 名前に数字の付かない「GTBターボ」とはどんな跳ね馬?
予想以上に高額になった落札価格とは
2022年2月のRMサザビーズ「PARIS」オークションに出品されたフェラーリGTBターボは、1960−70年代にかけて、レーシングドライバーとしてサーキットレースやヒルクライムで大活躍し、現役引退後は珠玉のスポーツカー/スーパーカーの数々を蒐集したフランス人コレクター、マルセル・プティジャン氏の膨大なコレクションのひとつである。

●博物館に収めるために収集されたGTBターボ
新車としてマラネッロの工場を出た時から「ロッソ・コルサ(Rosso Corsa:レーシングレッド)」のボディに「ネロ(Nero:黒)」の英コノリー社製レザーという、いかにもこの時代のフェラーリらしい内外装カラーが維持されているこの個体は、1986年から30年にわたってイタリア国内のさるファミリーによって所有されたのち、2016年に現オーナーであるプティジャン氏のもとに譲渡されたとのことである。
ただし、いきさつや時期は不明ながらV8ターボエンジンはどこかの段階で換装されたようで、シャシとエンジンのナンバーはマッチしてはいないとのこと。そのかたわら、トランスミッションについてはフェラーリ本社に照合した結果、もとの証明書のシリアルナンバーと一致していることが確認されているようだ。
もともとプティジャン氏は、自身のミュージアムを建設するために数多くのスーパーカーを蒐集していたそうで、このGTBターボも展示用として長らく不動状態のまま所蔵されていたとみられている。従ってフェラーリに相応しい走りのコンディションを取り戻すためには、とくにエンジンや燃料系、潤滑系に電気系などあらゆる部位で大幅なリニューアルを必要としているのは間違いない。
それでもこのフェラーリGTBターボは、コアなファン好みのレアモデルを探しているフェラーリ愛好家のもとで最高のコンディションに戻される、大いなる可能性を秘めているともいえよう。
今回の出品について、RMサザビーズ欧州本社では「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」でおこなうことを決定。エスティメート(推定落札価格)は3万5000~5万ユーロ(邦貨換算約470万〜680万円)に設定した。この「リザーヴなし」という出品スタイルは、安値でも落札されてしまうリスクもあるものの、金額の多寡を問わず確実に落札されることから、ビッド(入札)が進むというメリットもある。
実際の競売ではそのメリットが充分に生かされたようで、予想以上にビッド(入札)が進み、終わってみればエスティメート上限をも大きく上回る6万9000ユーロ、日本円に換算すれば約930万円で落札に至った。
現時点では事実上の不動車であること、あるいはエンジンがマッチングナンバーでないことなど、通常のオークションでは大幅な価格下落を及ぼす要素が重なっていることを考慮するなら、このハンマープライスは望外ともいうべき高額なものとも思われる。
* * *
ところで、308シリーズの派出型に相当する「208GTBターボ/208GTSターボ」、そして328シリーズに相当する「GTBターボ/GTSターボ」ともに事実上のイタリア国内専用モデルだったことから、現在のクラシックカー・マーケットにおける流通は、ほとんどEU圏内のみ。日本国内での流通は、並行輸入で上陸したごく少数のGTBターボ/GTSターボが、時おり専門ショップで売りに出ているのを見かける程度である。
そして現況におけるGTBターボ/GTSターボの市場価格は、比較的近いコンディションの328GTB/328GTSと大差ないとされる。しかし、もともとの生産数が少ない上に、マーケットでのレア度でもターボがひと回り上であることから、いずれは国際オークションなどでも328シリーズより大幅に高額で取り引きされる可能性も、決して低いものとはいえないとも考えるのである。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ
前作大ヒットのスリクソンアイアンがさらに進化! 「ZXi」シリーズはアマチュアの武器になる【PR】