じつはF1®だけじゃない! WRCもフォーミュラEも ワンメイクタイヤで戦う世界のレースの見どころとは?
昔もいまもモータースポーツは「走る実験室」
F1やWRCにタイヤを供給しているピレリにワンメイクの状況を聞いてみました。
WRCの最終戦「WRCジャパン」が2022年11月、愛知県豊田市をベースに開催されました。当然ピレリチームもイタリアからタイヤサポートに来ています。テレンツィオ・テストーニ氏はピレリ・ラリー・アクティビティ・マネージャーです。彼に聞けば何でも答えてくれるということで取材しました。

ワンメイクだからといって1年中同じスペックのタイヤを供給しているわけではないといいます。
トレッドコンパウンド(接地面のゴム)も進化していて、タイヤのサイドウォールを見ると「RA7+B」という表示がありました。最初はRAから始まり、RA7まで進化したとき、それをベースに小変更は+を付けたり、さらに進化したらBに表示を変えていくそうです。
ピレリチームはWRCを開催する場所にサポートチームに帯同していきます。そこでの路面状況や気温、タイヤの摩耗などをチェックして次回のさらに良い走りに反映させます。
研究開発はイタリアで行われますが、F1用タイヤはルーマニア工場で、GTとWRC用のタイヤはトルコ工場で製造されます。そこからレースやラリーの開催日に合わせて出荷されます。今回のタイヤは7月に生産し、2ヶ月かけて船で運んできました。
WRCジャパン用に供給されたタイヤが、サポートチームが作業するテントの横の簡易倉庫で渦高く積まれていました。そこにドライバーの名前が入った看板が立っていて、その一山が今回そのドライバーが使う分です。
製造ロットによる性能のバラツキは小さいですが、公平性を保つために抽選で決めるそうです。それにより決められたタイヤの山の前に名前が入るわけです。
供給されるタイヤは無料でもらえるわけではないのです。FIAが価格を決めて、それをチームが払うことになっています。タイヤメーカーがスポンサーになってチームに供給するGTレースなどでは、タイヤメーカーはお金を取ることができないのでワンメイクは利益は出なくても出費は少ないかもしれません。
ラリーの場合には一般道を閉鎖して走るので、舗装が荒れているとタイヤにダメージを与えます。今回のタイヤの構造を聞くと、3枚のカーカス、2枚のスチールベルト、一番上には1枚のケブラーが巻かれて強固になっています。サイドウォール部分も厚く剛性も高そうです。
ラリー車は競技中にパンクしてもそのまま走り続けることも多いですが、そんな中からパンクしても走れるランフラットタイヤの技術ノウハウが得られているそうです。
そうした技術はピレリの新車装着タイヤや市販タイヤにフィードバックされています。こういう話を聞くと「モータースポーツは走る実験室だ!」という50年前の定説が、今もなお生きていることを実感しました。
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