BMWの3シリーズをベースとする「B3」とは別物“旗艦モデルに匹敵”するアルピナ「B4グランクーペ」の完成度
テイストは“筋肉みっちり”なアスリート
果たして、B4グランクーペは期待どおりの仕上がりだったのか? 実はそのファーストインプレッションはというと「大いなる戸惑い」でした。

端的にいって、B4グランクーペは“筋肉みっちり”なアスリートという印象。スポーツカーテイストが強いのです。B3のあの“ミニ・ロールス”感が少なくとも街中では感じられません。
当惑しながらもアルピナの立場になって考えてみました。4ドアとはいえ4シリーズです。そもそものベースモデルも3シリーズとは異なる乗り味です。それに紳士協定でもあるのか、現在のところアルピナは、2ドアの「4シリーズクーペ」や「6シリーズクーペ」をプロデュースしていません。思い切っていえば、4ドアで2ドアの世界観を表現するほかないのです。それに、B3というお手本のような4ドアサルーンがすでに存在する以上、同じようなテイストのモデルをつくっても仕方ありません。
かくしてB4グランクーペは、非常にユニークなドライビングテイストの持ち主となったのだと思います。スタイルもそしてドライブフィールも、まさに小さなB8グランクーペなのです。
B4グランクーペは乗り始めこそ、ガッチリとしたフロントアクスルの存在に驚かされます。前輪の存在感が異様に大きいのです。これは前脚まわりに独自のチューニングを加えた結果です。それゆえライドフィールは、多少硬く感じます。最新のフェラーリやアストンマーティンの後輪駆動モデルのように節々が効いている感覚。それはB8グランクーペも同じです。
一方、パワートレインの反応は“打てばキレイに響く”印象。扱いづらいと思わせるほど鋭くはなく、かといってかったるさなど微塵もありません。力強いが御しやすい。ハンドリングにしろ、高速走行にしろ、あくまでもドライバーが中心という哲学を持つアルピナならではのセッティングというべきでしょう。
街中でも、速度を上げていくと次第に“まろやか”になっていきます。熱が入れば筋肉が解ける感覚とでもいいましょうか。この点こそがアスリートと評した所以です。
一方、高速道路に入れば、B8グランクーペと同様に極上のグランドツーリングカーであることをアピールします。全輪の転がり方はスムーズを超えて心地よく、まるで滑空するかのよう。空転させれば永遠に回ってくれそうななめらかさがありました。
100km/hを超えると前輪の強い存在感から硬さが除かれて、やわらかく、しかし意のままに動くという高速走行に絶妙なステアフィールが残されていきます。これはアルピナ独特の感覚といえます。
高速クルージング時のB4グランクーペは、まさに極楽でした。高速域では確かにB3とよく似ていますが、車線変更時のステア感覚などはどちらかといえばB8に近い印象です。次第に「これなら8シリーズは要らないかな」とまで思えるようになりました。
長距離ドライブを楽しんだ後、自問自答します。B4グランクーペがいいかB3リムジンがいいか。いずれも同じDセグメントの最高峰。いま望むべき頂点に立つ4ドアモデルです。さて、どっち? 悩んだ末、マイナーチェンジ後の3シリーズをベースにしたB3を試してから答えを出そうと結論は先送りにしました。楽しい時間は長い方がいいですから。
●ALPINA B4 GRAN COUPE
アルピナ B4 グランクーペ
・車両価格(消費税込):1450万円
・全長:4790mm
・全幅:1850mm
・全高:1440mm
・ホイールベース:2855mm
・車両重量:1910kg
・エンジン形式:直列6気筒DOHCターボ
・排気量:2992cc
・変速機:8速AT
・最高出力:495ps/5500〜7000rpm
・最大トルク:730Nm/2500〜4500rpm
・駆動方式:4WD
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッドディスク、(後)ベンチレーテッドディスク
・タイヤ:(前)255/35R20、(後)285/30R20
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