トヨタ新型「クラウン・スポーツ」誕生の理由とは 日本専用なら“アスリート”を名乗った!? 「クラウン」になぜスポーツSUVが必要なのか
テールランプなどに残る「クラウン・アスリート」の面影
さらに、クラウン・スポーツでうならされたのはその走りっぷり、特にフットワークのよさでした。

クラウン・クロスオーバーに比べて短いホイールベースのおかげで、素性はそもそもスポーティ。実際、キビキビと軽快なテイストが出ているのですが、一方で姿勢は常に落ち着いていて、軽快ではあるけれど決して軽薄にはなっていない。この辺りの味つけは、まさに絶妙です。
思えばクラウン・クロスオーバーは、車高が上がり、またFFプラットフォームからFRプラットフォームになってという大転換をおこないつつも、乗り味としては従来からの“クラウンファン”を裏切らないものに仕立てられていました。多少、上屋が上下するのをいとわずにサスペンションのゆったりとしたストローク感を重視し、また、後輪操舵をかなり積極的に、とはいえ違和感のないところで活用して、まるでFR車かのような旋回感覚を見せるといった味つけです。
それに対してクラウン・スポーツは、姿勢変化がもう少し抑えられ、結果として姿勢はさらにフラット感が増し、また元々のホイールベースの短さのおかげでコーナリングは軽快感が出るので、セッティングとしてはより正確性が強調されている……いってみれば、そんな感じでしょうか。
さらに、そこにPHEV(プラグインハイブリッド)ならではの“電気リッチ”な味つけが相まって、例えばコーナー立ち上がり時のアクセルオンの際の、リアモーターが積極的に姿勢づくりに加担してくるような感覚も味わうことができます。結果、その走りはしなやかでいて想像以上のスポーティさに仕上がっているのです。
あらためてデザインの詳細をチェックしているときに気づいたのは、クラウン・スポーツはつまり、かつてのクラウン・アスリートの血脈にあるクルマだということでした。最初は8代目の頃ですから1989年に特別仕様車として登場し、1999年登場の11代目からはカタログモデルとして設定されたクラウン・アスリートは、クラウンの走りをスポーティに鍛え上げたモデルで、後に販売の主流を占めることになりました。
そして今の時代、クルマにプレミアム感とスポーティ性を求めるユーザー、つまり、かつてならクラウン・アスリートを選んでいたような層が視野に入れているのは、現に輸入車マーケットがそうなっているように、おそらくスポーツSUVになる。開発陣はそう考えてこのクルマを仕立てた。そんな気がします。
どこに乗っていっても恥ずかしくない上質感、ブランド性があり、走りはスポーティで、ユーティリティ性にも優れる。そういうクルマとして世に出そうとしたとき、このクルマがほかでもないクラウンであることには、明確な理由があったわけです。これ以上、プレミアム性を主張できる車名、そうはないですからね。
もしも日本専用モデルなら、アスリートの名が与えられていたかもしれません。実際、そうだったらもっとよかったのに……と、思わないではないですが、テールランプなどにその面影が残されているのは、きっと魂の承継の意味なのでしょう。
とにかくクラウン・スポーツ、今の自分が求める世界にぴったりのクルマだなと、思い切りほれ込んでしまった次第です。欲をいえば、これでPHEVにソーラールーフパネルの設定があったら最高なんですけど……。
発表、発売は2023年秋頃とのこと。価格やラインナップなど、まだ明かされていない部分もたくさんあるので、楽しみに待ちたいと思います。
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