アバルトの“新世代ホットハッチ”新型「500e」初対面! エンジン版の「695」とは何が違う? 気になる日本導入時期は?
“電動ホットハッチ”のキャラが明確なアバルト「500e」
先日、イタリアのトリノとミラノの中間辺り、バロッコという村にあるステランティス・グループのテストコースにおいて、念願だったアバルト新型「500e」との初対面が叶いました。

アバルトと聞けば多くの人が、勇ましいサウンドとともに弾けるように走り抜けていく丸っこい姿を連想するのではないでしょうか。見た目と走りの大きなギャップ。それはもはや名機と呼ぶべき1368ccの4気筒ターボエンジンによる賜物といえるでしょう。
けれど“電動化”という荒波がアバルトにも押し寄せてきました。それは抗うことの許されない大きな波。当然、アバルトを傘下に置くステランティス・グループもカーボンニュートラルを推進しており、アバルトもその方針に沿ってブランド初となる電動モデルを開発してきました。
そして2022年11月、新しいアバルト「500e」が発表されたとき、熱心なアバルトファンの心の中には期待と懐疑の念が渦巻いたことでしょう。アバルトはこれまでファンの期待を裏切るようなクルマづくりをしてきたことはないけれど、「EV(電気自動車)でアバルトらしさって、本当に表現できるの?」と。
正直に白状するなら、筆者も内心、「きっと渋々、EVをつくったんだろうなぁ……」と考えていました。けれど、それはとんでもない思い違いだったのです。アバルト500eの実車に触れてエンジニアたちの話を聞いたら、かなり気合いの入ったモデルだということを体と心の双方で実感したのです。開発のプロセスも実にアバルトらしいアプローチだし、出来上がったクルマもアバルトらしい仕上がり。それは、EVの世界に新たな波を起こす可能性さえも感じさせてくれたのです。
それは、なぜか? アバルト500eほど明確に“電動ホットハッチ”や“カッ飛び系EV”と呼べるキャラクターを与えられたEVはこれまで存在せず、この先、多くのフォロワーを生んでいくだろうと予想できるから。新しいカテゴリーが誕生するかもしれない……そんな予感がするのです。
アバルト500eは、2020年にデビューしたフィアット「500e」をベースに開発されました。アバルトには──レーシングカーは別ですが──昔から素材とするクルマの持ち味を活かしつつ、さまざまなチューニングを施して速いストリートカーを生み出してきた歴史があり、ブランド初のEVでも同様の手法が踏襲されています。
つまり、基本的なストラクチャーはフィアット500eと共通。パワートレインにも大きく変わったところはなく、サスペンション回りもほぼ共通。御覧のとおり、ルックスもフィアット500eの面影を残していますし、インテリアに関しても大筋いっしょ、という感じです。
それでも間違いなく“アバルト”であると分かるのは、エンジニアやデザイナーたちが微に入り細をうがつような、効果的なチューニングやアレンジの手を加えて来たからにほかなりません。
まずはエクステリアから見ていきましょう。パッと見で分かりやすいのは、その顔つき。フィアット版では“500”という数字が記されていたノーズ先端には、代わりに“ABARTH”の文字が刻まれ、その上にお馴染みのサソリのエンブレムが配されます。
バンパー下部のインテークはより大きく深いものとなり、センターには白いロアスポイラーを装備。ドアミラーカバーはチタニウムグレーにカラーリングされています。
ボディサイドに視線を移すと、フィアット版にはなかった立体的なサイドスカートが。リア回りではディフューザーが目を惹きます。ちなみにアバルト500eのボディサイズは、全長3673mm、全幅1683mm、全高1518mm(いずれも参考値)というもの。これはフィアット版より41mm長く、9mm低い数値ですが、全長の違いは専用デザインとなるバンパーやディフューザーによるものでしょう。
全体的にそれほど大胆なモディファイがおこわれているようには見えないけれど、スポーティなイメージはしっかり構築されています。フィアット版ではヘッドライトの“上まぶた”に当たる部分がデイライトとして機能していましたが、アバルト版ではそこがブラックアウトされていて、ちょっとニラみの効いた“ワルっぽさ”が強くなっています。
それでも威圧感はゼロに等しく、微笑ましい気持ちにさせられます。このあたりは、「やっぱり新型もチンクエチェント・ファミリーの一員なんだ!」と、うれしい気持ちにさせられます。
なお、ボディカラーは5色をラインナップ。そのうち、アシッドグリーン(Acid Green=幻覚作用のある麻薬のグリーンorどぎついグリーン)、ポイゾンブルー(Poison Blu=毒薬の青)、ベノムブラック(Venom Black=サソリの毒の黒)という3色の名称に“毒”の意味が込められているあたりは、アバルトっぽい遊び心を感じさせます。
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