電制ダンパーで速さも乗り心地も格上の「モデナ」

　続いて試乗したのは、「GT」の上位グレードに当たる「モデナ」。こちらのパワートレインは「GT」と基本的に共通ながら、制御系の変更でパワーが330psに引き上げられています。

　加えて「モデナ」には、「GT」ではオプションとなる電子制御式ダンパーも備わっています。さらに、ダッシュパネルがレザーで覆われるなど、「GT」に対してアップグレードされている部分が多く、価格は1114万円とされています。

　ちなみに、「GT」にオプションを加えていって「モデナ」並みの装備内容にしようとすると、逆に割高になってしまうとのこと。シリーズ中、最もコストパフォーマンスのいいのは「モデナ」かもしれません。

　そんな「モデナ」を走らせてみたのですが、正直なところ、プラス30psの恩恵はあまり感じられません。0-100km／h加速は5.3秒と「モデナ」の方が0.3秒優っているのですが、受ける印象としては、「もしかしたら『GT』よりわずかに速いかも」くらいのものです。

　ただし、標準装備となる電子制御ダンパーの方はそのメリットが分かりやすく、これだけでも「『モデナ』を選んでよかった」と感じられる部分でしょう。

　例えば、走行モードを「スポーツ」に切り替えると、ロールも上下動もグッと少ないスポーツドライビング向きのセッティングとなります。それがどれくらいコーナーでの速さにつながっているかを公道で確かめるには無理がありますが、車体の動きがしっかり抑制されている印象があり、その分だけもう少しコーナーの奥へと踏み込んでいけるのでしょう。

　一方、電子制御ダンパーの恩恵をより明確に感じられるのは乗り心地で、「コンフォート」モードでは「まろやか」といっていいほどのフィーリングを伝えてくれます。今回の試乗車が履いていたのは、20インチではなく21インチのタイヤでしたが、それでも路面の継ぎ目や段差などでの「コツン」と来る感触はだいぶ少なく、総じて快適といえるレベルにあります。

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　2リッター4気筒ターボエンジンを搭載する2台のグレカーレ。どちらを選ぶか？　となると悩ましいのですが、その答えは「GT」と「モデナ」の価格差をどう考えるか次第でしょう。余裕がある方には「モデナ」がおすすめですが、個人的には「『GT』で十分」という思いが根強くあります。“グレカーレ選び”は本当に悩ましいところです。

●Maserati Grecale GT
　マセラティ グレカーレ GT
・車両価格（消費税込）：922万円
・全長：4845mm
・全幅：1950mm
・全高：1670mm
・ホイールベース：2900mm
・車両重量：1890kg
・エンジン形式：直列4気筒SOHCターボ＋モーター
・排気量：1995cc
・変速機：8速AT
・エンジン最高出力：300ps／5750rpm
・エンジン最大トルク：450Nm／2000rpm
・モーター最高出力：13.6ps（10kW）/3000rpm
・モーター最大トルク：54Nm
・サスペンション：（前）ダブルウイッシュボーン式、（後）マルチリンク式
・ブレーキ：（前）ベンチレーテッドディスク、（後）ベンチレーテッドディスク
・タイヤ：（前）255／45R20、（後）255／45R20

●Maserati Grecale Modena
　マセラティ グレカーレ モデナ
・車両価格（消費税込）：1114万円
・全長：4845mm
・全幅：1980mm
・全高：1670mm
・ホイールベース：2900mm
・車両重量：1920kg
・エンジン形式：直列4気筒SOHCターボ＋モーター
・排気量：1995cc
・変速機：8速AT
・エンジン最高出力：330ps／5750rpm
・エンジン最大トルク：450Nm／2250rpm
・モーター最高出力：13.6ps（10kW）/3000rpm
・モーター最大トルク：54Nm
・サスペンション：（前）ダブルウイッシュボーン式、（後）マルチリンク式
・ブレーキ：（前）ベンチレーテッドディスク、（後）ベンチレーテッドディスク
・タイヤ：（前）255／45R20、（後）295／45R20