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レクサスの高級コンパクトSUV「UX」が劇的進化! パワートレインだけでなく足回りもしっかり刷新! だからこそ「気になる部分」とは?

新型「UX」のハイライトは刷新されたパワートレイン

 レクサスで最小にして最強モデルとなったコンパクトSUV「LBX」に注目が集まっていますが、その兄貴分たる「UX」が2023年末に大幅改良を実施しました。

 その量産モデルに限りなく近いプロトタイプを、市販車開発の聖地といわれるニュルブルクリンクを模したレイアウトを持つトヨタ下山テストコース・第3周回路で試乗してきました。

パワートレインをハイブリッドとEVに集約したレクサス新型「UX」は、ボディやサスペンションなどの強化もあって走り味が劇的に良化
パワートレインをハイブリッドとEVに集約したレクサス新型「UX」は、ボディやサスペンションなどの強化もあって走り味が劇的に良化

 今回の商品改良における最大のポイントは、パワートレインの進化です。

 ハイブリッド車は、2リッター自然吸気エンジン+THSII(トヨタ ハイブリッド システム II)という基本構成こそ不変ながら、第5世代と呼ばれる新世代ユニットへと刷新されています。

 その結果、エンジン出力アップ(最高出力146ps→152ps/最大トルク188Nm→188Nm)、モーター高出力化(最高出力109ps→113ps/最大トルク202Nm→206Nm)、リチウムイオンバッテリー化(従来はニッケル水素バッテリー)などがおこなわれ、システム出力は従来モデル比でプラス15psの199psとなりました。これに伴い、車名が「UX250h」から「UX300h」へと変更されています。

 加えて4WD(E-FOUR)車は、リアに高出力モーター(最高出力7ps→41ps/最大トルク55Nm→84Nm)を採用。従来モデルは低μ路での発進アシストが主でしたが、新型は全車速域でのアシストに加え、コーナリング時の駆動力制御もおこなっています。

 一方、EV(電気自動車)の「UX300e」は、2023年3月にバッテリーの容量アップ(54.4kWh→72.8kWh)が図られていますが、今回の改良ではバッテリー温度のコントロールによる急速充電の受け入れ性能アップ(従来比25%短縮)と、実際に使う際の利便性向上がメインとなっています。なお航続距離は512kmと変更はありません。

 シャシー回りの変更はハイブリッド、EV共通です。車体は骨格にまで手が入っており、ラジエターサポートへのブレース追加、リアロアバックパネル下端のガセット追加、サスペンション締付トルク強化などがおこなわれています。

 これに合わせて、サスペンションのセットアップ見直しや制御系のアップデート(ライントレース制御/フラットボディ制御)も実施されています。

●アクセルで曲がる感覚を味わえるハイブリッドAWD

 まずはハイブリッド車のUX300hから試乗します。試乗車はFF車が上級の「バージョンL」、AWDがスポーティな「Fスポーツ」です。

 進化したパワートレインは、走り始めから従来モデルより力強さを感じさせますが、それ以上に“電動車感”……モーターアシストをより実感させるフィーリングになっています。

 具体的にいうと、エンジンが苦手な領域をモーターが常に先回りしてアシストするので、エンジンの回転数を上げずにトルクを活かした加速が可能に。個人的には、FF車よりAWDの方がそうした特性をより実感しやすいと思いました。

 アクセルペダルをグッと踏み込むとエンジン音はそれなりに聞こえてきますが、従来モデルほどノイジーに感じません。その理由は、ダッシュパネルに追加された制振材や高減衰タイプに変更されたルーフライヤー吸音材により、音の伝わり方や聞こえ方が変わっているからでしょう。

 ちなみにFスポーツには、スポーティな疑似音を実際のエンジン音や排気音などと協調させ、ドライバーが加速感やエンジンの状態をより実感しやすくするASC(アクティブサウンドコントロール)という機能が装着されていますが、従来モデルと変わらずリアルなエンジン音との協調がイマイチだったのは残念なところです。

 ハンドリングの進化具合はどうでしょう? 従来モデルは奇をねらわない“普通”の走りが特徴でしたが、新型はそれに加えて、キレと骨太さがプラスされています。

 具体的には、ステアリングの切り始めからのクルマの動きがよくなり、従来よりも前輪への依存が少ない旋回姿勢で曲がる安心感や、ドッシリと構えるリアの安定性、そしてフラットライドをより感じられる良好なバネ下の追従性を実感しました。

 走りの精度が高まったことで、従来モデルよりも「スポーティになった」と感じる人もいるでしょうが、乗り心地は不変です。

 4WDは上級モデルに搭載される“DIRECT4”ほどではありませんが、後輪の駆動力を活かした旋回でFF車以上にアンダーステア知らずの走り。ステアリング操作に加えてアクセルで曲がる感覚は、EVである「RZ」のそれに近いと感じました。

 実は今回の試乗時、豪雨のため路面はかなりスリッピーでしたが、そんな状況でも手に汗握ることなくハイスピードドライブを楽しめたコントロール性の高さは、UXの新たな魅力だと思いました。

 従来モデルの場合、Fスポーツを選ぶなら動きの軽快なFF車を推していましたが、新型は断然AWDです。

 続いて、ピュアEVのUX300eはどうでしょう? 結論からいうと、パワートレインは従来モデルと変わりませんが、フットワークは進化を実感させてくれました。

 従来モデルはハイブリッド車に比べて、よくいえば重厚、悪くいえばUXのキャラクターに対して“ダルな印象”のフットワークでしたが、新型は「車重が軽くなった?」と錯覚してしまうくらい、クルマの動きがシャキッとしています。そういう意味では、UXのキャラクターに合った走りになったかな、と思います。

Next走りが大幅に進化したからこそ気になる部分も
Gallery 【画像】「えっ!…」ハイブリッドAWDがかなり上出来! レクサス新型「UX」を写真で見る(35枚)

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