“オーバーフェンダー”が高性能車の証! メルセデスAMGのド迫力クーペ「CLE53」はサーキットも視野に入れた「生まれながらの武闘派」
BEVとは対極にあるエンジンありきの高性能車
メルセデス・ベンツといえば、「EQ」シリーズのラインナップ拡充など、今や全社を挙げてBEV(電気自動車)へまっしぐらのブランド……に見えるのですが、そのすべてがBEVに向いているかといえば、実はそうでもないようです。

ちょっと前には「2030年にすべての新車をBEVにしようと思っていたけれど、世の中のニーズがそうじゃないみたいだから止めた!(意訳)」と宣言。
また、新たなエンジン開発をおこなっていることが明らかになったほか、辞める予定だったV8エンジン搭載車の生産も続けることに。ガソリンの匂いが好きなカーマニアから歓迎されているというのが、直近のメルセデス・ベンツの状況でもあるのです。
本記事でフォーカスするメルセデスAMG「CLE53 4マチック+クーペ」も、そんな“エンジン大好き”な人たちに歓迎されるであろう1台。申し訳なさそうに“マイルドハイブリッド”ではあるものの、BEVとは対極にあるガソリンエンジンありきのハイパフォーマンスカーです。
搭載されるエンジンは、3リッターの直列6気筒ターボ。最高出力449psというとんでもないモンスターです。フツーの「CLEクーペ」が日産「スカイライン」だとしたら、この「CLE53クーペ」は「スカイラインGT-R」だと思えばいいでしょう。ベース車両と車体の基本設計は同じで見た目も似ているけれど、心臓部とそれに伴う運動性能はまるで別物……そんな超高性能車なのです。
念のためおさらいしておくと、AMGはメルセデス・ベンツのモータースポーツ活動やハイパフォーマンスカー開発を担う組織。そのバッジがつくだけで、生まれながらの武闘派を意味しているというわけです。
それにしても、「CLE53クーペ」はまずたたずまいからして漂うオーラが違います。その理由は、“パナメリカーナグリル”と呼ばれるAMGモデル専用の縦桟グリルが装着されているということもありますが、それだけじゃありません。何しろフェンダーの張り出し具合がフツーの「CLEクーペ」とは違うのです。

その証拠に、全幅が通常の「CLEクーペ」に対して75mmも拡大されています。すなわち、フェンダーが片側35mm以上も張り出している、ということ。「スカイラインGT-R」がそうであったように、張り出したフェンダーは幅の広いタイヤを収めつつ、トレッドを広げて旋回性能を高める“高性能車の証”というわけです。
タイヤが車体の外側に寄せられ、しっかり踏ん張っている雰囲気がたまりません。「CLE53クーペ」の実車を前にすると、このフェンダーの張り出しだけでひと目ぼれしてしまいそうです。
しかしそれは、「CLE53クーペ」の魅力の、ほんのひと握りに過ぎません。真骨頂ははなんといってもエンジンです。
とはいえ、449psという最高出力や、停止状態から100km/hまでの加速タイムがわずか4.2秒(本国仕様)といったスペック的なものだけではありません(もちろん、それらも十分スゴいのですが)。
心奪われるのは、エンジンのフィーリング。わき出るようにトルクがあふれる感じと、高回転域での炸裂感や刺激、そして耳に響いてくる(まるでV8エンジンのような)音が本当に素晴らしい!
別に飛ばす必要はありません。アクセル操作に対するダイレクトな反応だけで、このモデルがいかに、クルマ好きによってつくられたのかを理解できます。クルマ好きなら陶酔せずにはいられない、実に官能的なパワーユニットなのです。
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