“スポーツカーブランドのSUV”は何が違う? “ポルシェ製SUV”の最高峰「カイエンGTSクーペ」は官能性に満ちた走りが魅力です
初代「カイエンGTS」で感じた雷に打たれたかのような衝撃
2000万円ほどの予算で選ぶ場合、どのSUVがいいか? ある人はメルセデス・ベンツ「Gクラス」と答えるかもしれませんし、「レンジローバー」と答える人もいるでしょう。なかには、レクサス「LX」と答える人もいるかもしれません。

しかし、スポーツカー好きの答えは、一択ではないでしょうか。そう、ポルシェ「カイエン」です。何しろ、世界有数のスポーツカーブランドが手がけるフラッグシップSUVですからね。
“オンロードでスポーツカーに匹敵するほどのドライビングフィールを味わえるSUV”というのは今でこそ珍しくありませんが、初代「カイエン」が登場した2000年代初頭では、非常に貴重な存在でした。
それまでのSUVは、オフロードを重視したいわゆる“本格派”が主流で、オンロードでの快適性や操縦性を重視したタイプは“都会派SUV”なんて呼ばれていました。
しかしそれらであっても“運転感覚はセダンに近いもの”止まりであり“スポーツカーに匹敵するほどの走り”といった領域にまでは踏み込めていませんでした。
そんな状況をまず打破したのはBMW。SUVブームの兆しが見え始めた2000年に、悪路走破性とスポーティなドライビングフィールを兼備した同社初のSUV(BMWはスポーツ アクティビティ ヴィークルを意味する“SAV”と呼ぶ)初代「X5」をリリースします。
この「X5」のヒットは、「悪路走破性はほどほどでOKだけどスポーティな走りも楽しめるSUVが欲しい」というニーズが、想像以上に大きいことを露わにしました。
同様のニーズをつかんでいたのがポルシェです。2002年に、それまで背の低いスポーツカーしか手がけていなかったスポーツカーブランドのポルシェが、突如SUVの「カイエン」をリリースしたのです。
デビューと同時に瞬く間に世界中でスマッシュヒットを記録した「カイエン」は、年を追うごとにバリエーションを拡大。2019年には3代目「カイエン」の派生モデルとして「カイエンクーペ」という名のクーペモデルも追加しています。
そんな「カイエンクーペ」の中で最もピュアなハンドリングフィールを味わえるグレードが、今回フォーカスする「カイエンGTSクーペ」です。
初代「カイエン」にラインナップされた「カイエンGTS」を初めてドライブしたときの感動は、筆者(工藤貴宏)にとっては鮮烈すぎて今も忘れることができません。走り始めて最初の交差点を曲がっただけで、雷に打たれたかというくらいの衝撃を受けました。
ステアリングを切ると、車体の重さや重心の高さを一切感じさせることなくクイックに向きを変え、そのまま路面に吸いついているかのごとく曲がっていく……。それまでのSUVでは決して体験したことのない、まるでスポーツカーのようなドライビングフィールだったのです。
●コーナリング性能は一級品、コンフォート性能も極上
そんな筆者にとって特別な思い出のある「カイエンGTS」の最新モデル「カイエンGTSクーペ」。試乗してみて感じたのは「走りは相変わらず一級品だな」という思いでした。
率直にいうと、初代の「カイエンGTS」のように、とことんハンドリングを極めているといったピュアな印象は少しマイルドになった気もしますが、「やはりスポーツカーブランドのつくるSUVはひと味違うな」という気持ちにさせてくれます。

なかでも、大きく重い車体をしっかりとコントロールするサスペンションの調律はお見事。アクセルペダルを踏み込みながらコーナーを駆け抜けていく際の爽快感は、「スポーツカーを運転しているのでは?」と錯覚するほどです。
スタンダードな「カイエンクーペ」や「カイエンSクーペ」と比べて24mm低い車高や、「カイエン」シリーズで最も大きいネガティブキャンバー(タイヤの傾き)は決して伊達ではありません。
そんな一級品のコーナリング性能だけでなく、乗り心地などのコンフォート性能も極上なのが「カイエンGTSクーペ」のもうひとつの魅力。「こういう乗り味は他社のSUVでは味わえないよね」と改めて実感させられます。
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