“スポーツカーブランドのSUV”は何が違う? “ポルシェ製SUV”の最高峰「カイエンGTSクーペ」は官能性に満ちた走りが魅力です
細部にまで貫かれるスポーツカーらしさ
「カイエンGTSクーペ」のスポーツカーらしい点は、ハンドリングフィールだけではありません。

例えば、パドルシフトは操作感が重く、いかにも操っているといった感覚を味わわせてくれる設計となっています。軽い操作感なら「使いやすいね」という評価を得られるでしょうが、ポルシェは「重くて操作しづらい」といったクレームを受けることを恐れず、あえて重めの操作フィールに設定しているのです。
「カイエン」シリーズを普段から愛用している人なら気づかない些細なことでしょうが、こういった細部にもスポーツカーらしさが貫かれているのです。
また“加速”や“コーナリング”と並び、走行性能における重要な要素となる“減速”=ブレーキング時の安定感もたまらないものがあります。
ポルシェの本拠があるドイツには、速度無制限区間のある高速道路がありますが、そこを走っていると急に前方の車間距離が詰まり、150km/hを超える速度域からフルブレーキングを迫られることがあります。
そのようなシーンでも、「カイエンGTSクーペ」は前のめりの不安定な姿勢になることはなく、クルマ全体を深く沈めるように安定して減速していきます。この挙動はさすがのひと言。どんな場面でドライバーの期待を裏切らない辺りも、ポルシェらしい部分といえるでしょう。
●カミソリのような鋭いレスポンスとパンチ力が生む刺激
そんな「カイエンGTSクーペ」は、今となっては希有な大排気量のマルチシリンダーエンジンを搭載しています。
それは、最高出力500ps、最大トルク660Nmを誇る4リッターのV8ツインターボで、現行「カイエン」シリーズの“非ハイブリッドモデル”の中では最高のパフォーマンスを発揮します。

とはいえ、0-100km/h加速が4.4秒、最高速度が275km/といったスペックは、実はそれほど重要ではありません。筆者が高く評価したいのは、その豊かな官能性です。
アクセルペダルを深く踏み込めば、伸びやかなV8サウンドが耳に心地よく、さらに高回転域まで回すとカミソリのような鋭いレスポンスとパンチ力による刺激を味わわせてくれます。
実はこの非ハイブリッド系V8エンジン、現行「カイエン」シリーズに搭載されるのが最後となるのでは? というウワサもあります。それが事実か否かは次世代モデルの登場まで分かりませんが、社会情勢を考えると、そうなっても決しておかしくはありません。
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「カイエンGTSクーペ」は、ドライビングに楽しみを見出すクルマ好きにとっては唯一無二の存在といえるでしょう。SUVとはいえ、スポーツカーブランドが手がけるモデルはやっぱり他とは違うのです。
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