「ポルシェの人気SUV」どう進化した? 新型「マカン」は電動化されても“ポルシェらしい走り”が健在! 先進的なインテリアも魅力的
新型「マカン」は走りのよさをアピールするポルシェの最新BEV
新しいポルシェ「マカン」は、従来モデルと同様に魅力的なのか? 上陸したばかりの新型で注目すべきは、この一点に尽きるでしょう。
なぜなら、フルモデルチェンジを遂げた新しい「マカン」は、エンジンを捨てて全モデルがBEV(電気自動車)になったからです。

新型「マカン」はなぜ全モデルがBEVになったのか? それは、多くの人が想像できるように、世の中が急速にBEVへと舵を切ろうとしていたため。
ポルシェも積極的にBEVを展開しようとしていたブランドのひとつで、2019年にはポルシェ初のBEV専用車「タイカン」を発表。新型「マカン」も全車BEVとなったほか、少し前には「718ボクスター」や「718ケイマン」といったミッドシップのスポーツカーも次期型はBEV専用モデルになるというウワサが流れていたほどです。
正確にいえば、ポルシェは「2030年までに新車販売の80%以上をBEV化する」という目業を掲げ、「911」などのエンジン車とBEVとを棲み分けた、“メリハリ”あるラインナップの構築をねらっていたようです。
日本以外のマーケットではBEV化への流れが粛々と進んでおり、今後も販売台数は増えていくと見られていますが、ここへきて一時の勢いに陰りが見え“踊り場”を迎えているのが実情です。
とはいえ、数年かけておこなわれる新車開発を急に方向転換するのは難しく、結局、新型「マカン」は全モデルがBEVになったのでした(しばらくはエンジン車である従来モデルも併売)。
筆者(工藤貴宏)がポルシェのBEVで面白いなと感じるのは、そのアピール方法です。
BEVといえば、一般的には“走行中に二酸化炭素を排出せず、地球温暖化を防ぐ”という環境面のメリットをアピールしたいところですが、ポルシェのプレスリリースにはそんなことなどひと言も書かれていません。
例えば、ポルシェ初のBEVとなった「タイカン」は“ポルシェ史上最速の加速”を強く主張していましたし、新型「マカン」のプレスリリースにも“当社の目標はフル電動化された「マカン」によって、このセグメントで最もスポーティなモデルを提供すること”だとか、“数値面でトップクラスのEパフォーマンス”など、走行性能を声高に主張しているのです。
現時点で、新型「マカン」の最速グレードである「マカン ターボ」の最高出力は639psで、停止状態から100km/hまでの加速に要するタイム(0-100km/h加速)はわずか3.3秒。驚くほどのパワーと速さであり、確かにエンジン車である従来の「マカン」とは比較にならないくらいの高性能を誇ります。
日本で展開される新型は、現時点でベースグレードの「マカン」、「マカン4」、「マカン4S」、そして「マカン ターボ」の4タイプ。駆動方式は「マカン」のみ後輪駆動で、「マカン4」以上は4輪駆動となります。
最高出力と価格(消費税込)はそれぞれ、360ps/998万円、408ps/1045万円、516ps/1196万円、639ps/1525万円となっています。さらに今後は、「マカンGTS」などの新グレードも追加されることでしょう。
いずれもバッテリーは100kWhと大容量で、航続距離もそれぞれ600km前後と十分。なかでも最長の航続距離を誇る「マカン」は641kmをマークします。東京を起点に考えれば、名古屋までの移動や軽井沢までの往復ドライブを楽にこなしてくれるのです。
ちなみに、ハイエンドモデルである「マカン ターボ」は、実際にはターボチャージャーを搭載していませんが、「ポルシェの高性能仕様といえば“ターボ”」という伝統がネーミングに貫かれていると考えれば、そのキャラクターを理解しやすいでしょう。

そんな新型「マカン」のスタイリングは、「911」のフルモデルチェンジとは対照的に、多くの人にとって従来モデルとの違いを容易に判別できるものとなっています。
よりクーペっぽくなった傾斜のキツいリアピラーや58mm伸びた全長、86mm延長されたホイールベースなどにより、プロポーションはより低く、軽快な印象を強めています。また、ヘッドライトの形状がシャープになったのも印象的ですね。
一方のインテリアは、最新のポルシェの流儀にのっとった内容。12.6インチと大型で、しかも湾曲した液晶メーターや、10.9インチのセンターディスプレイを採用しています。また、助手席の前方にもオプションで10.9インチのディスプレイをインストールできる辺りは先進性を感じさせます。
それでいて、“スポーツクロノパッケージ”装着車にはダッシュボード上にアナログのストップウォッチが組み込まれる辺りは、クルマ好きの心をくすぐるところです。
シートは前後ともフロアに対する着座位置が低く、スポーティなドライビングポジションをとることができます。
傾斜の強いリアピラーゆえリアシートの居住性が気になるところですが、確かに抜群の開放感とはいえないものの、狭苦しい印象は皆無です。
キャビン後方のラゲッジスペースは、通常で540リットルと十分な容量を確保。加えて、エンジンを搭載しない新型「マカン」は、その恩恵としてボンネットフード下にも84リットルの荷室が用意されています。これだけのラゲッジスペースがあれば、レジャードライブのアシとしても活躍してくれそうです。
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