じつはボルボ車の中で一番ユーザー年齢が若い!? 改良されたフラッグシップSUV「XC90」はどう変わった? PHEVの“上質さ”とは

「XC90史上、最高の完成度」
パワートレインはプラグインハイブリッドとマイルドハイブリッドの2種類。ベースとなるエンジンはどちらも4気筒2リッターのガソリン・ターボですが、今回はマイルドハイブリッドシステムと組み合わされるエンジンをミラーサイクル化することで効率を改善した模様。
なお、プラグインハイブリッドモデルは、標準装備となるエアサスペンションを含め、ハードウェアは従来型からキャリーオーバーされたといいます。
それでも、プラグインハイブリッドシステムを搭載したXC90ウルトラ T8 AWD プラグインハイブリッドに試乗すると、従来型を上回る質感と静粛性の高さが感じられたのだから不思議なものです。
運転席に腰掛けていると、エンジン音も風切り音もロードノイズもとにかく静かで、心穏やかな気分に浸れます。
これは、プラグインハイブリッドモデルに標準装備されることになったラミネーテッドウィンドウ、そしてエンジンルームとキャビンの間に吸音材を追加した効果と見て間違いないでしょう。
乗り心地も、私の記憶のなかにある従来型よりもしなやかで快適でした。
デビュー当時のXC90は、足回りが突っ張っているように感じられたり、ゴツゴツとした感触がつきまとっていたので、隔世の感があります。
エンジン単体で317psと400Nmを生み出すパワートレインもスムーズで静か。車両重量が2.3トンにもなる関係で、走りがとりたててパワフルということはありませんが、ボルボのフラッグシップSUVに相応しい仕上がりといえます。
総じて、デビュー当時にはまだ荒削りな部分が残っていたXC90が、10年近い歳月をかけて熟成され、いまや円熟の極みというべき味わいを手に入れたように感じました。「XC90史上、最高の完成度」といっていいでしょう。
※ ※ ※
ただし、ボルボの今後については、若干の不安も残ります。
昨年9月、ボルボは2030年までに全モデルをBEV(電気自動車)にするという従来の計画を見直し、2030年までに販売台数の90%以上をBEVとプラグインハイブリッドで構成するとともに、2040年までには全数をBEVにするとの目標を発表しました。つまり、プラグインハイブリッド・モデルが最長で2040年まで生産される可能性が浮上したのです。
それまでおよそ15年間が残されていますが、ボルボがBEVを主力に据える長期計画には変わりがないので、いまさらXC90をフルモデルチェンジするとは考えにくいように思えます。
では、今回のようなマイナーチェンジをこれから何回行い、パワートレインをどのように見直していくかは、現時点では見通しが立っていない模様。なにしろ、新しい電動化戦略は2024年9月に公表されたばかりなので、それも当然でしょう。
BEVとエンジン車/ハイブリッド車の需要を予測するのが極めて困難な昨今、ボルボもまた、難しいかじ取りを強いられているといえそうです。

VOLVO XC90 ULTRA T8 AWD Plug-in hybrid
ボルボXC90 ウルトラ T8 AWD プラグインハイブリッド
・車両本体価格(消費税込):1294万円
・オプション込試乗車価格(消費税込):1358万3600円
・全長:4955mm
・全幅:1960mm
・全高:1775mm
・ホイールベース:2985mm
・車両重量:2300kg
・エンジン:1968cc直列4気筒DOHCターボ
・エンジン最高出力:317ps(233kW)/6000rpm
・エンジン最大トルク:400Nm/3000−5400rpm
・モーター最高出力:52kW(前)・107kW(後)
・最大トルク:165Nm(前)・309Nm(後)
・総電力量:18.8kWh
・EV走行可能距離:73km
・燃料消費率(WLTC):13.3km/L
・駆動方式:4WD
・乗車定員:7名
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