ほかに何を求める!? フォルクスワーゲン新型「ゴルフR」がGTIでは届かない“走りの完成度”を見せつけた理由とは
「GTI」の楽しさはそのままに「R」で見つけた新しい走りの魅力
事前説明でも「ニュートラルステア」というワードが積極的に使われていましたが、この駆動フィーリングには、ニュルブルクリンクをハイペースで安定して走らせるという開発思想が表れているように思います。

ウエットの低μ路であるドリフトサークルでは、ドリフト状態での定常円旋回を実施しました。4WDのゴルフRではドリフト状態をキープすることが難しいのですが、そうしたシチュエーションでは、従来モデルより13馬力アップした最高出力333馬力・最大トルク420Nmを誇る2リッター直列4気筒ターボエンジンの完成度の高さが、より際立って感じられました。
ドリフト状態をキープするためには、細かくスロットル操作をする必要があります。中回転域を中心にエンジン回転数が上下するのですが、ターボラグという言葉を一切感じることなく、欲しいときにタイヤを空転させるトルクをリニアに発生させてくれます。低負荷時にタービンの回転数を一定にキープするプリロードチャージャや、オーバーラン時のスロットルバルブ開放などの恩恵をこのシチュエーションでは強く感じることができました。
●走りの楽しさを常に感じたいならGTIもオススメ
その高性能を体感できた今回の試乗では、走りの面で不満はほとんどありませんでしたが、普通に乗って楽しい、そしてクルマとの対話を楽しみやすいのはゴルフGTIだとも感じました。ドライバー自身が荷重を丁寧に作っている感触が分かりやすく、街乗りからワインディングなどでドライビングを楽しむことを目的とするならば、ゴルフGTIの方がオススメ度は高いです。

ゴルフRの高性能を100%感じるにはクローズドトラックでなければ難しいですし、その4WDシステムや特性を理解して使いこなさなければ、ゴルフRが提供する楽しさを十分に享受するのは難しいでしょう。高速域でのスタビリティが高いゴルフRは、高い車速でも安心してアクセルを踏み込んでいける楽しさがあり、リラックスしたままハイペースをキープできます。タイムを狙うよりも、このクルマをベースにしたマシンで耐久レースに出てみたいと思えるフィーリングでした。
また、実用面で惜しいと感じた点がひとつあります。それはステアリングスイッチが物理ボタンではないことです。今回のゴルフの大幅改良では物理ボタンへと戻ったことが嬉しいトピックでしたが、ゴルフRのステアリングは以前と同じままでした。この点は改良を求めたい部分です。
ファントゥドライブなゴルフGTIと、ハイスピード長距離ランナーなゴルフRは、明確にキャラクター分けされていることを実感できた時間でした。
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