ほかに何を求める!? フォルクスワーゲン新型「ゴルフR」がGTIでは届かない“走りの完成度”を見せつけた理由とは
ニュルを安定してハイペースで走るために
大幅に進化した「ゴルフR」の実力を確かめるには、走りを試すにふさわしい場所が必要です。今回の試乗会の舞台は、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京。サーキット走行を含むさまざまな路面で、その実力をたしかめることができました。

ゴルフR最大の武器は「Rパフォーマンス トルクベクタリング」というメカニズムで、リアへ与えられる駆動トルク配分を左右で調整可能となっています。0から100%の間で調整可能となっていて、コーナリング時にリアのアウト側へのトルク配分を多くすることで、より高いコーナリング性能を実現していると事前の説明では解説されました。
ゴルフRは世界一過酷と言われているドイツ・ニュルブルクリンク北コースでテストを重ねているとのことですが、この機構だけで12秒ものラップタイム短縮に成功したそうです(エンジンパワーなどは改良前と同じテスト車)。また、事前説明ではニュルブルクリンクでのテストがより熱く開発陣から語られていました。250周、約5000kmもの耐久テストをニュルで行ったとのことです。オプションとなる軽量な新19インチホイール“Warmenau”(ヴァルメナウ)の影響もあり、パッドやローターといったブレーキパーツの寿命は18周から21周へと長寿命化し、ニュルブルクリンクでの3周連続アタックが可能となっているそうです。
ただ、「ライバルと比べて何秒速い」といったアピールはなく、ニュルブルクリンクで速く走るというよりは、ニュルブルクリンクをハイペースで安定して周回できるということに重きを置いていると感じました。
そのような説明を聞いた直後に試乗を開始しました。最初に走ったコースは、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京のハンドリングトラックです。アップダウンのある2.1kmのコースは、レーストラックよりもワインディングに近い印象ながら、高速コーナーもあるレイアウトで、クルマに対する信頼感がなければ攻め込んでいけないコースです。
●トルクベクタリングの恩恵を体感
ハンドリングトラックでは、FFの「ゴルフGTI」にも試乗しました。同じ条件でGTIとRを乗り比べると、“4モーション”と呼ばれるフルタイム4WDのRがいかに運転を楽にしてくれるかを実感できました。ゴルフRの方が、より高い速度でも緊張感なくコーナーをクリアすることが可能で、クルマはフロントだけでなく、4輪すべてのタイヤを使って曲がっていることを改めて痛感させられます。メーター内には各輪のトルク配分を示す表示もあり、Rパフォーマンス トルクベクタリングの恩恵を受けていることが視覚的にも分かります。
そしてアウト側のリアタイヤにしっかりとトラクションが与えられることで、パーシャルスロットルで駆け抜けていく高速コーナーでの安定感が高いことを体感できました。ゴルフGTIと同じ銘柄のタイヤ(ブリヂストン ポテンザS005)とは思えないほどのコーナリング性能を見せてくれました。

また、このハンドリングトラック名物であるカルーセルやコークスクリューなど、上下左右の3次元的な入力が車体に入るコーナーの立ち上がりでは、安心してGTIよりもワンテンポ早くアクセルを全開にすることができました。これもリアアウト側のタイヤにしっかりと仕事をさせられる「Rパフォーマンス トルクベクタリング」あっての感触です。
このシチュエーションで強く感じたのは、“ニュートラルステアにこだわりがある”ということです。新採用のメカニズムを考えると、より積極的に曲げていく4WDをイメージしていましたが、実際にはステアリング操作に対して正確に反応してコーナリングしていくようなフィーリングで、FR的な動きを見せる他のスポーツ4WDとは、少し異なる思想があると感じました。
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