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フェラーリの歴史で“最後”のマニュアル車! 13年前に登場した「599GTBフィオラノ」を発見 当時のフェラーリ会長が工場でシャンパンを手渡し納車されたという特別な1台とは

日本でも所有されていた個体

 室内にはカーボンファイバーのオプションがふんだんに使われ、ダッシュボードやドアパネル、ステアリング、ドアシルにまで軽量素材が採用されています。クオイオの内装と対照的に、カーペットやステアリングホイール、ダッシュボード上部にはチャコールレザーが施され、ルーフとパーセルシェルフはキルティング仕上げのアルカンターラで包まれています。

オークションに登場した2012年式フェラーリ「599GTBフィオラノ」Alex Penfold(c)2025 Courtesy of RM Sotheby's
オークションに登場した2012年式フェラーリ「599GTBフィオラノ」Alex Penfold(c)2025 Courtesy of RM Sotheby's

 さらにこのクルマには「HGTE(Handling Gran Turismo Evoluzione)」パッケージが装着されており、車高は約1.2センチ低く、スプリングとスタビライザーが強化されています。加えて、排気系やホイール、ギアボックスも改良され、シフトタイムは驚異の85ミリ秒。599GTBと、よりハードな「599XX」や「599GTO」の間をつなぐ完成度を誇っています。

 納車後、この車は香港からオーナーの自宅がある日本へ運ばれました。

 オーナーはこの599GTBを、所有する他の貴重なフェラーリたちとともに大切に楽しみました。2016年には京都を起点に日本各地を巡るフェラーリ公式イベント「カヴァルケード・インターナショナル」にも参加し、3日間にわたって日本の名道を走破しました。

 2025年4月、この車は初代オーナーから現オーナーの手に渡り、イギリスに輸入されました。同年10月にはロンドン南部の正規ディーラー「H.R. Owen」で年次点検が実施され、経年でベタつきが出やすい内装スイッチ類も修復されています。現在の走行距離はわずか6600km未満で、次なるオーナーのもとでも再び“走る芸術品”として命を吹き返す準備が整っています。

 この599GTBが完成してからわずか13年。しかし今日、マニュアル仕様の599GTBは21世紀を代表する“アナログの宝石”として世界中のコレクターから熱い視線を集めています。

 その価値上昇は10年前から始まり、今やランボルギーニ「ムルシエラゴ」や「ガヤルド」、アストンマーティン「DBS」といった同時代のマニュアル車の人気にも火をつけました。

 さらに近年では、ポルシェ「911 GT3ツーリング」や「S/T」、パガーニ「ユートピア」、ケーニグセグ「CC850」など、新型モデルでも再びマニュアルが復活する流れが見られます。電子制御と自動化が進むなか、人々は「自らの手で操る感覚」を再び求め始めているのです。

 フェラーリが技術革新の最前線を走る一方で、過去への敬意を忘れずにきたように、この599GTBもまた両者の境界に立つ存在でした。21世紀のフェラーリのなかでも、ここまで象徴的な意味を持つモデルはほとんどありません。

 “最後のマニュアル”という称号は、単なる終焉ではなく、フェラーリの魂が確かに息づいていた証として、これからも世界中のコレクターの記憶に残り続けることでしょう。

 この2012年式フェラーリ599GTBフィオラノ、落札予想価格は75万ポンドから85万ポンド(1GBポンド=205円換算で日本円で約1億5300万円から約1億7340万円)とされています。

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