予想価格は31億円超え!? 世界で5台のみ作られるゴードン・マレーの最新作「S1 LM」の1号車がオークションに登場 令和版「マクラーレンF1」の気になるスペックとは
奇才ゴードン・マレー氏の新たなスーパーカー
2025年11月21日に米国ラスベガスで開催されるRMサザビーズ主催のオークションで、ゴードン・マレーグループ(GMG)が立ち上げた新たなブランド「ゴードン・マレー スペシャルビークルズ(GMSV)」が開発した世界限定5台のスーパーカー「S1 LM」の第1号車が出品されることになりました。
どんなクルマなのでしょうか。

現代の高性能車の世界において、マクラーレンF1の誕生はきわめて興味深い伝説として語り継がれています。
1988年から1990年にかけてF1コンストラクターズおよびドライバーズタイトルを3年連続で制した名門マクラーレンは、その栄光を支えたデザイナー、ゴードン・マレー氏に「ロードカーを作ってほしい」という異例の依頼を行いました。
チーム代表ロン・デニス氏やアラン・プロスト選手、アイルトン・セナ選手らとともに黄金期を築いた男にとって、この挑戦は新たな舞台の幕開けだったといえます。
1991年、マレー氏はF1チームからマクラーレン・カーズへと移り、ロードカー開発に専任することになりました。こうして誕生したのが、後に自動車史における絶対的存在と評価される「マクラーレンF1」でした。
このモデルは、市販車として初めてカーボンモノコックを採用し、3座シートレイアウトやディへドラルドアなど、先進性と機能性を極限まで高めた設計を備えていました。
BMW製V12エンジンは627馬力を発揮し、軽量な車体と組み合わせることで最高速度243mph(約391km/h)という当時の世界記録を樹立します。
しかし、マレー氏は記録を破るためにこのクルマを作ったのではなく、「最高のロードカーを作る」という純粋な思想を貫いただけだったと語っています。こうした理念は、彼の設計哲学として後に「運転の完璧性」「軽量化」「エンジニアリングの芸術性」「ブランド性」「美への回帰」「エクスクルーシビティ」「顧客体験」という七つの原則にまとめられました。
やがてF1はレース界からの強い要望を受け、わずかな改良で「F1 GTR」としてル・マン24時間に挑戦します。1995年の本戦では、市販仕様を基にしたGTカーでありながら総合優勝を果たし、さらに3位、4位、5位、13位と上位を独占しました。
マレー氏の47歳の誕生日に起きたこの快挙は、まさに自動車の神の祝福と呼ぶべき瞬間でした。この勝利を記念し、「F1 LM」が5台のみ製作され、現在では最も希少で価値あるF1の進化形とみなされています。
2007年、マレー氏は自身のデザイン会社を設立し、2017年には正式な自動車メーカー「ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)」へと発展させました。「T.50」や「T.33」など、彼の設計哲学を体現した軽量・高回転・高応答のスーパーカーを送り出し、限定生産ながら大きな評価を得ています。
さらに2024年には、「ゴードン・マレー・スペシャル・ビークルズ(GMSV)」を立ち上げ、究極の一点モノに近い特別車を手がける体制を整えました。
そして2025年の今年、モントレーカーウィークの「ザ・クエイル」でGMSV初の特別プロジェクトとして披露されたのが、S1 LMでした。
これはマクラーレンF1 LMの精神を現代に昇華したモデルであり、依頼者との共同作業から生まれた唯一無二の存在です。
カーボン外装はより緊張感のある造形へと磨かれ、低く絞り込まれたシルエットと力強いフェンダーが新たな美を描き出します。象徴的な「S1 LM」バッジには、GMSVの「Special」と、このブランドから生まれる最初の特別車という意味が込められています。
シャシはT.50を基にしながらも、まったく異なる設計へと再構築され、ルーフラインを低くするために中央スパイン構造を取り除く大胆な刷新が施されました。
心臓部にはコスワースが新たに開発した4.3リッターV12が搭載され、1万2100rpmで700馬力超を発生します。
軽量ピストンやチタン製コンロッドなどモータースポーツ由来のパーツが惜しみなく投入され、自然吸気エンジンとして史上最高レベルの比出力とレスポンスを実現しています。
軽量化は徹底され、カーボンパネルはわずか0.6mm厚、鍛造ホイールやステアリング、センターコンソールまで専用の軽量設計が行われています。
外装はGMA/GMSVとして初めて伝統的なクレイモデル工程を採用し、手作業で曲線を磨き上げることで彫刻のような存在感を獲得しました。空力性能はCFD解析から始まり、風洞実験に至るまで徹底検証され、オーナーはその工程を直接体験する機会も得られるとされています。
インテリアでは、操る楽しさを重視して6速マニュアルのみを設定し、ショートストロークの節度あるシフトフィールを実現しています。
シフトノブには希少な水晶が嵌め込まれ、その内部には数百万年前に閉じ込められたオイルが揺らめき、車の純度と使命を象徴しています。
S1 LMは、マレー氏自身ががん治療中に取り組んだ特別な作品でもあり、彼はこのプロジェクトが困難な時期を支える力になったと述べています。つまりS1 LMは、単なるスーパーカーではなく、創造者の精神そのものが宿った存在だといえます。
このたび提供されるのは、5台のうち最初の1台であり、落札者はマレー氏や開発チームと直接向き合いながら、車を仕上げていくという唯一無二の体験を得られます。
開発走行への参加やフィードバックの反映、詳細なモノグラフの授与など、購入を超えた旅が始まります。かつてF1プログラムに参加する夢を抱いていた愛好家にとって、これは最も近くでゴードン・マレーとともに車を創り上げる、再現不能の機会になるはずです。
S1 LMは、マレー氏の哲学を極限まで高めた存在であり、走りの完璧性、美、軽さ、工芸性、そしてエクスクルーシビティを凝縮した、まさに夢を具現化した一台です。
このゴードン・マレー・スペシャル・ビークルズ「S1 LM」の第1号車、落札予想価格は2000万ドル超(1USドル=157円換算で、日本円で約31億4215万円超え!)とされています。
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