まさに“世界初のスーパーカー”! 多くの著名人をトリコにした72年前のメルセデスがオークションに出品 当時世界最速の市販車だった「300SL」とは
予想落札価格は140万ドルから180万ドル
2026年3月に米国フロリダ州アメリア島で開催されるブロードアロー主催のオークションに、1954年式メルセデス・ベンツ「300SL」ガルウイング・クーペが出品される予定です。
どんなクルマなのでしょうか。
モータースポーツで培われた技術力をベースに誕生したメルセデス・ベンツ300SLガルウイング・クーペは、戦後ドイツ工業技術を象徴する存在となりました。
その始まりは1952年、メルセデス・ベンツがW194クーペでレースシーンにおいて大きな成功を収めたことにあります。
この成果に着目した米国総代理店のホフマンは、高性能なロードゴーイング・スポーツカーを求めるアメリカ市場の潜在的需要を見抜き、経営陣を説得しました。こうして誕生した300SLは、1954年2月、ニューヨーク国際モータースポーツショーで華々しく公開され、瞬く間にアイコンとなったのです。
300SL最大の特徴であるガルウイングドアは、単なるデザイン上の演出ではありません。
レース由来のチューブラー・スペースフレームは、わずか110ポンド(約50kg)という軽さで高い剛性を誇る一方、通常のドア開口部を設ける余地がありませんでした。
その結果として採用された上方開閉式ドアは、機能的必然から生まれた造形であり、同時に300SLを象徴する視覚的アイコンともなっています。

エンジンは、世界で初めて量産車に採用されたボッシュ製機械式燃料直接噴射を備える3リッター直列6気筒DOHが収まります。キャブレター調整の煩雑さを排し、出力と信頼性を同時に高めたこの技術は、当時としては画期的なものでした。
さらに低く流麗なノーズラインを実現するため、エンジンは左に50度傾けて搭載され、ドライサンプ潤滑方式が採用されています。
車両重量は約2855ポンド(約1295kg)に抑えられ、最終減速比の違いによっては最高速度160mph(約257km/h)近くに達し、300SLは当時「世界最速の量産車」と称されました。
高剛性スペースフレームとレース直系のサスペンションにより、高速域での安定性も卓越しており、見た目の美しさだけでなく走行性能においても時代を凌駕する存在でした。1954年から1957年までに生産された台数はわずか1400台。その完成度の高さは、GTカーの新たな基準を打ち立てたと言えるでしょう。
ここで紹介する個体は、1954年11月2日に完成した初期生産車で、ボディカラーはミディアムレッド、内装はベージュブラウンレザーという特別な組み合わせです。
300SL研究家クリス・クレイマー氏の調査によれば、この特注色は同年生産167台中、わずか4台にのみ採用された極めて希少な仕様でした。アンダーダッシュに装着されたベッカー・ル・マン・ラジオをはじめ、英語表記メーターやバンパーオーバーライダーなどを備え、1954年11月22日にロサンゼルスへ出荷されています。
その後ワシントン州で大切に受け継がれ、2001年にフロリダへ移動。現在はシルバーのボディにレッドレザー内装という人気の高い仕様で、走行距離は5万3782マイル(約8万6553km)に留まっています。
工具やスペア類も揃い、初期型300 SLの魅力を今に伝える一台です。
この1954年式メルセデス・ベンツ「300SL」ガルウイング・クーペ、予想落札価格は140万ドルから180万ドル(1USドル=157.8円換算で、約2億2100万円から約2億8415万円)とされています。
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