アンミカ名言「白は200色、黒は300色あんねん」を体感できる。パナソニック「Mini LED 4K液晶ビエラW97C」で見えた“暗闇と光の情報量”
吉野監督が驚いた『沈黙の艦隊』の暗闇
今回の体験セッションには、映画監督の吉野耕平氏が登壇しました。吉野氏は、Prime Original『沈黙の艦隊』シリーズの監督を務め、『水曜日が消えた』『ハケンアニメ!』などでも知られる映像作家です。

『沈黙の艦隊』は、テレビの画質を語るうえで非常にわかりやすい作品です。なぜなら、舞台の多くが夜、深海、潜水艦の艦内といった暗い空間だからです。
吉野監督自身も、全体の多くが暗いシーンで構成されていることに触れ、暗闇の中に何があるかのバランスを取る作品だったと語っていました。
たとえば、暗い室内にわずかな光があり、壁がぎりぎり見える。人物の表情にわずかに肌の色が残る。海中では奥は見えないが、マリンスノーが漂い、見えるような見えないような情報が存在する。
こうした表現は、明るさだけでは成立しません。むしろ、黒の中にどれだけ階調を残せるかが重要になります。
吉野監督は、映画は基本的に暗いスクリーンで見ることを前提に作っていると話します。家庭のテレビで見るときには、「ここまでは出ないだろう」「情報量の6割ぐらい出ればいいかな」と、ある種の諦めもあったというのです。
ところが、W97Cで見たとき、その暗部の情報が想像以上に出ていた。だからこそ「ここまで出てしまうのか」という、作り手ならではの驚きにつながったのでしょう。
この言葉は、家電メーカーが自ら語るスペック以上に説得力があります。作った本人が、家庭用テレビでここまで見えてしまうことに少し身構える。これは、W97Cの黒表現に対する非常に強い証言です。
Mini LEDで、暗闇の“見えるか見えないか”を描く
W97Cのポイントは、Mini LEDの高輝度性能を生かしながら、暗部の制御にも踏み込んでいることです。
パナソニックはW97Cに、新パネル「Bright Black Panel Ultra」を搭載しました。従来モデルと比べてピーク輝度を高め、バックライト分割数も強化。さらに量子ドットシートや高輝度・広視野角シートを組み合わせることで、明るさ、色の鮮やかさ、視野角、パネル制御のすべてを底上げしています。
ただし、本当に面白いのはそこからです。
今回の発表でパナソニックが強調していたのが、暗部の発光を緻密に制御する「ミニマムルミナンスコントロール」です。
一般的なバックライト制御では、暗い部分から少し明るい部分への変化が粗くなり、黒がつぶれたり、逆に浮いたりすることがあります。W97Cでは、その超低輝度領域をより細かく制御し、暗闇の中のグラデーションや素材感を描き分けようとしています。

第2部のデモでも、暗い映像の中にある人物の顔、目の光、背景の素材感、ランプのフィラメント、岩肌の凹凸などが紹介されました。
黒く沈ませるだけでは、そうした情報は失われます。かといって無理に明るくすれば、作品の緊張感は壊れてしまう。
暗いのに見える。見えるのに明るすぎない。この微妙なバランスこそ、W97Cが狙っている映像表現なのです。
オーロラの光、人の肌、粉雪まで見えるか
吉野監督が特に苦労したシーンとして挙げたのが、北極海で潜水艦が浮上し、オーロラの下で演説する場面です。光源はオーロラだけ。
明るくしすぎれば嘘っぽくなり、暗くしすぎれば人物の表情や場面の意味が伝わらない。オーロラの色、人の肌、空気中に漂う粉雪。そのすべてを、暗闇の中でどこまで成立させるかが問われるシーンです。
吉野監督は、W97Cでその場面を見たとき、オーロラの鮮やかさ、人間の顔に残る肌の色、そして見えるか見えないかの粉雪まで出ていたと語りました。
ここで重要なのは、黒をただ沈めるだけではないということです。暗部の階調と同時に、白やハイライトの階調を飛ばさずに残すこと。そこまで描けて初めて、暗い場面は“ただ暗い映像”ではなく、空気や温度まで感じられるシーンになります。

この話は、Mini LEDテレビにとって非常に象徴的です。
Mini LEDは明るさが強みです。しかし、明るい部分をただ強く出せばいいわけではありません。オーロラの鮮やかさ、肌の明るさ、粉雪の白を出しながら、暗闇の黒を浮かせない。黒と白、暗部とハイライト、その両方を制御して初めて、映像の奥行きは生まれます。
アンミカさんの「白は200色、黒は300色あんねん」という言葉を借りるなら、W97Cが挑んでいるのは、その白と黒の間にある膨大な情報を、Mini LEDでどう描くかということなのです。
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