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ミーレの大容量ビルトインオーブンで日常の炊飯も串カツも! 真夏のキッチンを変える「ワンボックス調理」の実力を体験

高価で大きいからこそ、日常では使いにくい?

 日本の家庭でオーブンといえば、クリスマスのローストチキンや週末のパン作りなど、少し特別な料理を連想しがちです。ましてや大型のビルトインオーブンは価格も設置のハードルも高く、「使いこなしが難しそう」「失敗したくない」「正しいレシピと厳密な温度管理が必要だ」と身構えた結果、年に数回しか使わなくなることもあります。

 しかし、6月17日に開かれたミーレのメディア向け体験会で示されたのは、その反対の使い方でした。ミーレはオーブンを、焼く、煮る、炊く、揚げる、解凍、低温調理、発酵、乾燥まで担う「1台8役」の調理機器と位置づけています。そこで提案されたのが、特別な料理ではなく、毎日の夕食づくりに活用する新しいオーブン習慣なのです。

 実際に使ってみると、高性能で大容量だからこそ、むしろラフに使えることが分かります。冷蔵庫にある食材を見て、空いた場所へ加える。焼けたものから取り出し、足りなければ少し戻す。繊細な菓子作りは別として、日常のおかずまで緊張して扱う必要はありません。

 家電の価値は、特別な日に最高性能を発揮することだけでなく、何も考えたくない平日の夕方に自然と手が伸びるかどうかで決まります。

ミーレのビルトインオーブンが並ぶ直営店のキッチン。大容量オーブンというと特別な料理のための設備に見えるが、今回の体験で見えてきたのは、毎日の食事づくりを支える“調理インフラ”としての可能性だった
ミーレのビルトインオーブンが並ぶ直営店のキッチン。大容量オーブンというと特別な料理のための設備に見えるが、今回の体験で見えてきたのは、毎日の食事づくりを支える“調理インフラ”としての可能性だった

「ワンパン」の次は、主菜もご飯も副菜も入れる「ワンボックス」

 近年、ひとつのフライパンで料理を完成させる「ワンパン調理」が人気です。洗い物が少なく手順もシンプルですが、作れる量や品数には限界があります。そこでミーレが提案するのが、オーブンという箱全体を使う「ワンボックス調理」です。大容量の庫内と多段調理、均一な熱循環を生かし、主菜、ご飯、副菜を一度に進めます。

 今回のメニューは、串カツ、冷や汁、夏野菜のグリルサラダ。下段には米と水を入れたふた付き鍋と、豚肉と玉ねぎの串カツを置き、上段にはアジの干物、アルミホイルに広げた味噌、なすとピーマンを入れました。炊飯器、揚げ鍋、魚焼きグリル、フライパンを使い分けそうな5つの加熱が、一台のオーブンに収まります。

下段にはご飯を炊く鍋と串カツ、上段にはアジの干物、焼き味噌、夏野菜をセット。炊飯、ノンフライ調理、焼き魚、グリル野菜までを一台のオーブンにまとめる「ワンボックス調理」を実演した
下段にはご飯を炊く鍋と串カツ、上段にはアジの干物、焼き味噌、夏野菜をセット。炊飯、ノンフライ調理、焼き魚、グリル野菜までを一台のオーブンにまとめる「ワンボックス調理」を実演した

 基本設定は「熱風加熱プラス」220℃。ご飯は45分、串カツは35~40分、アジは35分、野菜は30~35分、味噌は15分が目安です。

 長くかかるものから入れ、短時間で仕上がるものを後から加える。あるいは最初にまとめて入れ、焼けたものから取り出す。すべてを同時に完成させようとせず、温度をそろえて時間をずらすだけで、異なる料理が並行して仕上がります。

「熱風加熱プラス」は、ファンで熱風を庫内全体へ循環させるため、上段、中段、下段の温度差を抑えやすく、トレイの位置を頻繁に入れ替える必要もありません。

 オーブンが料理を完全自動で完成させるわけではなく、人は食材を切り、味をつけ、最後に盛りつけます。その代わり、最も暑く、時間を取られ、目を離しにくい“加熱”を大きな箱へまとめて任せられるのです。

 鍋、耐熱ガラス容器、金属トレイ、アルミホイルを同時に使い、途中で扉を開けて焼き具合を確認してもいい。焼き色が足りなければ追加し、残り物があれば空いた場所で温め直す。調理を担当したMieleカリナリー・エキスパートの宮本郁子さんが話していたように、難しく考えず気軽に使うことが、ワンボックス調理の本質なのです。

冷や汁に使うアジの干物と味噌、夏野菜のグリルを同じトレイへ。調理ごとに家電を使い分けるのではなく、同じ温度帯で加熱できる食材をオーブン内に組み合わせていくのがポイントだ
冷や汁に使うアジの干物と味噌、夏野菜のグリルを同じトレイへ。調理ごとに家電を使い分けるのではなく、同じ温度帯で加熱できる食材をオーブン内に組み合わせていくのがポイントだ

真夏のキッチンで「火の前に立たなくていい」という価値

 今回の提案が興味深いのは、調理の効率だけでなく、ビルトインオーブンが猛暑時代のキッチン環境まで視野に入れている点です。熱中症は屋外だけの問題ではありません。

 消防庁がまとめた2025年5~9月の確定値では、救急搬送の発生場所は「住居」が38.1%と最も多く、ガスコンロを複数口使い、鍋から蒸気が上がるキッチンで火の前に立ち続けることも、体への負担になります。

 ミーレがガスコンロとオーブンで同じ3品を作り比べた検証では、ガス調理は3品目の時点で室温が4℃、調理者の体温が2℃上昇した一方、オーブン調理では調理後も変化が見られなかったといいます。限定された条件での比較ではありますが、熱源を断熱された庫内に収め、人が火元に張りつかなくてよいことの差は分かりやすいでしょう。

 実演中の庫内は220℃でしたが、扉中央部に触れても危険な熱さは感じませんでした。資料では庫内200℃時でも扉表面は約30℃。上部の排気口付近からは温かい空気が出るものの、小さな子どもやペットがいる家庭にも安心材料となります。

 加熱中はキッチンタイマーに任せ、その場を離れることもできます。ハイエンド機種では、庫内カメラが1分ごとに撮影した画像をアプリで確認し、温度や時間を変更可能。

「TasteControl」搭載機なら、調理終了後に扉を少し開けて庫内を急速冷却し、余熱による焼きすぎを抑えます。Mieleのオーブン調理の価値は、料理をすべて機械任せにすることではなく、「加熱中にそこにいなくていい」時間を生み出すことにもあります。

基本設定は「熱風加熱プラス」220℃。時間の長いものから入れ、短時間で仕上がるものを後から加えることで、複数の料理を同時進行できる。タイマーを使えば、火の前に立ち続ける必要もない
基本設定は「熱風加熱プラス」220℃。時間の長いものから入れ、短時間で仕上がるものを後から加えることで、複数の料理を同時進行できる。タイマーを使えば、火の前に立ち続ける必要もない

串カツもご飯も、オーブンで作るとどうなる?

 串カツは、生パン粉に大さじ1杯の油、パプリカパウダー、少量のカレーパウダーを混ぜ、豚肉と玉ねぎにつけて焼きました。たっぷりの油で揚げたものとは食感が異なりますが、衣は香ばしく、豚肉の脂も加わって十分な満足感があります。

 揚げ鍋を用意せず、油の温度を見張らず、使用後の油を処理しなくてよいことを考えれば、平日の料理としての完成度は高いと感じました。

 夏野菜は、なすとピーマンを大きめに切り、オイルと塩をかけただけ。焼いた野菜を生のトマトや葉野菜と合わせ、ナンプラー、生姜、ごま油のドレッシングで仕上げます。なすは中までやわらかく、ピーマンには香ばしい焼き目がつき、フレッシュな野菜との食感差も楽しめました。

オーブン対応のふた付き鍋で炊き上げたご飯。浸水させた米と水を入れて加熱するだけで、つやのある炊き上がりに。オーブンは“焼く”だけでなく、“炊く”家電にもなる
オーブン対応のふた付き鍋で炊き上げたご飯。浸水させた米と水を入れて加熱するだけで、つやのある炊き上がりに。オーブンは“焼く”だけでなく、“炊く”家電にもなる

 最も意外だったのはご飯です。浸水させた米と水をふた付き鍋に入れて加熱すると、つやがあり、粒の立ったご飯に炊き上がりました。同じ庫内で焼いたアジの干物と味噌を、だし汁、豆腐、きゅうり、薬味と合わせれば冷や汁が完成します。

 一台のオーブンから出てきたのは、いかにも“オーブン料理”らしい洋食ではなく、串カツ、冷や汁、夏野菜のサラダという、日本の普段の食卓でした。

 この事実が、何より説得力を持っていました。電子レンジほど速くなくても、揚げ物やパンを食感よく温め直したい日もあります。少量だから使わないのではなく、少量でも気軽に使うことが、オーブンを日常化する第一歩でしょう。

オーブンで焼いたアジの干物と香ばしく焦げ目をつけた味噌を使い、冷や汁を仕上げる。火を使う工程をオーブンに任せたあとは、だし汁、豆腐、きゅうり、薬味を合わせるだけだ
オーブンで焼いたアジの干物と香ばしく焦げ目をつけた味噌を使い、冷や汁を仕上げる。火を使う工程をオーブンに任せたあとは、だし汁、豆腐、きゅうり、薬味を合わせるだけだ

家電を増やす時代から、暮らしを一台へ集約する時代へ

 日本の家電市場は、用途を細分化することで成長してきました。炊飯器、トースター、ノンフライヤー、電気圧力鍋、低温調理器。専用機ならではの完成度がある一方、家電が増えれば、置き場所、コンセント、手入れ、操作方法も増えていきます。

調理に使ったトレイやボウルは、食器洗い機へ。油で揚げないことでコンロ周りの飛び散りや油処理を減らせるだけでなく、後片づけまで含めて家事負担を軽くできる
調理に使ったトレイやボウルは、食器洗い機へ。油で揚げないことでコンロ周りの飛び散りや油処理を減らせるだけでなく、後片づけまで含めて家事負担を軽くできる

 高価な設備の価値は導入価格だけでは判断できません。重要なのは稼働率です。年に数回、ロースト料理を作るだけならぜいたくに見えても、炊飯、焼き魚、ノンフライ調理、温め直しまで日々引き受けるなら評価は変わります。

 油を使わないことでコンロ周辺の飛び散りや油処理が減り、庫内やトレイの焦げ付き防止加工によって手入れもしやすい。複数の道具、作業時間、収納、後片づけまで含めれば、ビルトインオーブンは単機能家電ではなく、キッチン全体の調理プラットフォームになり得ます。

 ミーレの大容量オーブンは、決して万人向けの安価な製品ではありません。設置には200V電源や造作も必要です。それでも新築や改修で長く使う調理設備を選ぶなら、「たまのごちそうを焼けるか」だけで判断するのはもったいない。

 毎朝のパンを温め、昼には残り物を焼き直し、夜には米、肉、魚、野菜をまとめて任せる。高価なオーブンを特別な日に丁寧に使うのではなく、冷蔵庫の残り物を見ながら毎日カジュアルに使う。

 これまでの固定観念を覆す使い方こそ、猛暑と家事負担に向き合いながら、キッチンで過ごす時間をもっと快適に、もっと自由に変えていく新たな発想なのだと思います。

完成したのは、串カツ、冷や汁、夏野菜のグリルサラダという日本の普段の食卓。いかにも“オーブン料理”らしい洋食ではなく、日常の献立を一台で支えられることに、今回の体験の説得力があった
完成したのは、串カツ、冷や汁、夏野菜のグリルサラダという日本の普段の食卓。いかにも“オーブン料理”らしい洋食ではなく、日常の献立を一台で支えられることに、今回の体験の説得力があった

製品概要
ミーレ ビルトインオーブン(庫内容量76リットル/5段)
価格:37万4000円~100万1000円 ※モデル・仕様により異なる
設置タイプ:ビルトイン
電源:200V
主な調理機能:焼く、煮る、炊く、揚げる、解凍、低温調理、発酵、乾燥
主な機能:熱風加熱プラス、多段調理、AirFry、TasteControl、庫内カメラ、Mieleアプリ連携
特徴:大容量の庫内と均一な熱循環により、主菜、ご飯、副菜を同時に調理できるビルトインオーブン。ロースト料理や焼き菓子だけでなく、炊飯、焼き魚、ノンフライ調理、野菜のグリル、温め直しまで幅広く対応する。猛暑時のキッチンで火の前に立ち続ける時間を減らし、毎日の食事づくりをより快適に変える一台。
※搭載機能はモデルにより異なります。

Gallery 【画像】ミーレの「大容量ビルトインオーブン」のスゴみを写真で見る(35枚)
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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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