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自動ごみ収集なのに圧倒的にスリム! シャープの新「ラクティブエアステーション」が変える掃除機の常識

物理的に薄いステーションが、掃除機の居場所を変える

 今回取り上げるのは、シャープのコードレススティック掃除機「RACTIVE Air STATION(ラクティブエアステーション)EC-CR1」です。

 EC-CR1の最大の特徴は、なんといっても薄型スリムステーションだ。

 シャープによれば、ステーション部分の奥行きは154mm。従来機と比べて奥行きを約47%、設置面積を約28%削減したという。数字だけを見ると、単なる小型化のように思えるかもしれない。しかし、実機を目の前にすると、この“薄さ”の意味がかなり大きいことに気づく。

 従来の自動ごみ収集ステーション付き掃除機は、どうしても床に置かれた家電の塊に見えた。便利ではあるが、リビングの中では少し主張が強い。メーカー各社も、その存在感を抑えるために、ステーションの形状を工夫したり、曲線を使ったり、色で目立ちにくくしたりしてきた。

 だが、今回のEC-CR1はアプローチが少し違う。存在感を視覚的にごまかすのではなく、物理的に薄くしている。

自動ごみ収集ステーションを備えながら、家具の横にもすっきりと収まる「RACTIVE Air STATION EC-CR1」。ホワイト系は明るい空間になじみ、掃除機特有の存在感を抑えている
自動ごみ収集ステーションを備えながら、家具の横にもすっきりと収まる「RACTIVE Air STATION EC-CR1」。ホワイト系は明るい空間になじみ、掃除機特有の存在感を抑えている

 この違いは大きい。壁際に沿わせたときの圧迫感が少なく、家具の横や部屋の角、ソファの背後、玄関近くのちょっとしたスペースにも置きやすい。

 実機を見た印象で言えば、これはもはやステーション付き掃除機というより、かなり“ほうき”に近い。ほうきは、しまい込む道具ではない。玄関や部屋の隅に立てかけておき、気づいたときにサッと使う。EC-CR1は、自動ごみ収集機能まで備えながら、その感覚にかなり近づいている。

 しかも、ただ薄いだけではない。掃除機本体とステーションの面を合わせた段差の少ないデザイン、水平垂直を基調としたフォルム、家具を思わせるローレットテクスチャなど、リビングに置いたときの“佇まい”まできちんと考えられている。

 家電は機能で選ぶものだ、という考え方は今も根強い。もちろん、それは間違っていない。だが、現代の住空間において、家電は単なる道具ではない。

 リビングに常に置かれるなら、家具や照明、観葉植物と同じように、空間の一部になる。EC-CR1の面白さは、掃除機をそのレベルで考え直している点にある。

壁際に置いたEC-CR1を横から見ると、奥行き154mmという薄さが際立つ。従来機と比べて奥行きを約47%、設置面積を約28%削減し、家具の横や部屋の角にも設置しやすくなった
壁際に置いたEC-CR1を横から見ると、奥行き154mmという薄さが際立つ。従来機と比べて奥行きを約47%、設置面積を約28%削減し、家具の横や部屋の角にも設置しやすくなった

デザインから始まり、技術で実現した日本的ものづくり

 発表会後、Smart Appliances & Solutions事業本部 副本部長 兼 清潔ランドリー事業部長の小森正憲氏に話を聞いた。

 そこで印象的だったのは、EC-CR1が単なる技術起点の製品ではなかったということだ。掃除機開発では、通常、モーター、吸引力、バッテリー、ヘッド構造といった技術要素から商品が組み立てられることが多い。

 もちろんEC-CR1も技術的な挑戦なしには成立しない。しかし小森氏の話から見えてきたのは、まず「生活空間に置ける掃除機とはどうあるべきか」という理想の佇まいがあり、それを実現するために技術側が内部構造を作り替えていった、という開発の流れだった。

 その象徴が「マルチ吸引構造」である。

従来機とEC-CR1の内部構造を比較した展示。EC-CR1は本体に搭載したひとつのモーターで、床掃除と自動ごみ収集の吸引経路を切り替える「マルチ吸引構造」を採用し、ステーション側のモーターをなくした
従来機とEC-CR1の内部構造を比較した展示。EC-CR1は本体に搭載したひとつのモーターで、床掃除と自動ごみ収集の吸引経路を切り替える「マルチ吸引構造」を採用し、ステーション側のモーターをなくした

 一般的な自動ごみ収集ステーション付き掃除機は、掃除機本体のモーターで床のごみを吸い、ステーション側のモーターで本体内のごみを紙パックなどへ移す。つまり、掃除機本体とステーションの両方にモーターがある。そのため、ステーション側にも一定の厚みが必要になる。

 一方、EC-CR1では、本体に搭載されたひとつのモーターで、床掃除と自動ごみ収集の両方を担う。掃除中は床のごみを吸い、ステーションに戻すと吸引経路が切り替わり、本体内のごみをステーション側へ移す。つまり、ひとつのモーターで二役を担う構造だ。

 これにより、ステーション側のモーターをなくし、薄型化を実現した。言葉にするとシンプルだが、実際にはかなり大胆な割り切りである。

 しかも、掃除後に本体のバッテリーを使い切ってしまうと自動ごみ収集ができなくなるため、停止後もごみ収集1回分の電力を残すように設計されているという。こうした細部まで考えられている点に、製品としての完成度を感じた。

 多くのプロダクトは、技術の足し算で進化しようとする。モーターを強くする、センサーを増やす、機能を追加する。しかし、ユーザーの暮らしに深く入り込む製品ほど、本当に重要なのは足し算ではなく、何を削ぎ落とすかだ。

 EC-CR1は、ステーション側のモーターをなくすことで、掃除機の居場所を変えようとしている。これはスペック競争とは異なる、かなり本質的な進化だと思う。

EC-CR1は、空間を引き締めるグレー系と、明るいインテリアになじむホワイト系の2色を展開。垂直・水平を基調としたフラットなフォルムと細かなローレットテクスチャにより、家具のような佇まいを目指した
EC-CR1は、空間を引き締めるグレー系と、明るいインテリアになじむホワイト系の2色を展開。垂直・水平を基調としたフラットなフォルムと細かなローレットテクスチャにより、家具のような佇まいを目指した

新開発「極吸ヘッド」は、日常の小さな不満に効く

 EC-CR1は、デザインや薄型ステーションだけで評価すべき製品ではない。掃除機としての基本性能も、かなりしっかり作り込まれている。

 今回、RACTIVE Airシリーズには新開発の「極吸ヘッド」が搭載された。名前だけ聞くと、いかにも吸引力を強調したヘッドのように感じるが、実際にはもっと生活者目線に近い。シャープが着目したのは、日常の掃除で不満になりやすい、壁ぎわのごみ、大きなごみ、髪の毛やペットの毛のからみである。

 まず「端までブラシPlus」は、ヘッドの両側で壁ぎわのごみを吸いやすくする構造だ。従来モデルでも片側は壁ぎわに強かったが、今回、反対側にも吸い込み経路を設けることで、ヘッドの向きに左右されにくくなった。

 実演では、壁ぎわに撒かれた重曹を、従来ヘッドが苦手としていた側からもしっかり吸い取っていた。

新開発の「極吸ヘッド」で壁際を掃除する実演。ヘッドの反対側にも吸い込み経路を設けた「端までブラシPlus」により、左右どちらの端でも壁際のごみを吸い取りやすい。緑色LEDライトは床の細かなごみを見つけるのにも役立つ
新開発の「極吸ヘッド」で壁際を掃除する実演。ヘッドの反対側にも吸い込み経路を設けた「端までブラシPlus」により、左右どちらの端でも壁際のごみを吸い取りやすい。緑色LEDライトは床の細かなごみを見つけるのにも役立つ

 次に「メガマウス構造」。掃除機は、風速を高めるために吸引経路を絞ると、大きなごみが詰まりやすくなる。そこで極吸ヘッドでは、風速を確保しながら吸引部の経路と開口部を広げ、大きなごみも吸い込みやすくしている。実演では猫砂のような粒状のごみもスムーズに吸い込んでいた。

 そして「からみにく〜いブラシPlus」。髪の毛やペットの毛は、回転ブラシの毛の奥や軸に絡みやすい。新ヘッドでは、毛の密度を高めて毛並みを寝かせたブラシ、回転ブラシ端部をカバーする構造、さらにブラシ表面の毛をそぎ落とすくし状リブによって、絡みつきを抑えている。

 実演では60cmを超える長い髪の毛でも、従来ヘッドより明らかに絡みにくい様子が確認できた。

EC-CR1に搭載された新開発の「極吸ヘッド」。壁際に強い「端までブラシPlus」、大きなごみを吸い込みやすい「メガマウス構造」、髪の毛やペットの毛が絡みにくい「からみにく~いブラシPlus」を組み合わせている
EC-CR1に搭載された新開発の「極吸ヘッド」。壁際に強い「端までブラシPlus」、大きなごみを吸い込みやすい「メガマウス構造」、髪の毛やペットの毛が絡みにくい「からみにく~いブラシPlus」を組み合わせている

  こうした進化は、派手なスペックにはなりにくい。しかし、実際の掃除では非常に効く。壁ぎわに少しだけ残るごみ。ヘッドの前で押されてしまう大きめのごみ。ブラシに絡んで後で取るのが面倒な髪の毛。そうした“小さなストレス”をひとつずつ潰しているところに、今回のRACTIVE Airの良さがある。

Next置きやすいだけでなく、動かしやすい
Gallery 【画像】シャープのコードレススティック掃除機「RACTIVE Air STATION EC-CR1」を写真で見る(18枚)
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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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