いい意味でレコルトらしくない! 焼き魚も照り焼きも揚げびたしも作れる「エアーオーブン 4L」の料理を実食
エアフライヤーを「揚げ物家電」から解放する
今回取り上げるのは、レコルトの新製品「エアーオーブン 4L」。唐揚げやフライドポテトを油で揚げずに作るだけではなく、焼き魚や照り焼き、野菜の焼き浸しまで、日本の食卓に並ぶ定番料理を手軽に仕上げる“おかず家電”です。

エアフライヤーと聞いて、多くの人が最初に思い浮かべるのは唐揚げやフライドポテトだろう。高温の熱風を食材に当て、少ない油で表面をカリッと仕上げる。健康志向と手軽さを両立する家電として、いまや国内外のメーカーから数多くの製品が登場している。
一方で、購入後に何度かポテトを作っただけで、キッチンの隅に置かれたままになる製品も少なくない。理由は単純だ。揚げ物以外に何を作ればいいのかが、生活者に十分伝わっていないからである。
レコルトの「エアーオーブン 4L」が面白いのは、この課題に真正面から向き合ったことだ。会場には「油いらず、火加減いらず、手間いらず」という言葉が掲げられ、発表会そのものも「おかず食堂」という和食店のような空間に演出されていた。

試食として並んだのは、焼きサバ、豚ロースのみそ焼き、皮パリ照り焼きチキン、彩り野菜の焼き浸し、枝豆ペペロンチーノ、唐揚げなど。そこには、海外のエアフライヤーでよく見る大量のポテトや肉料理とは違う、日本の夕食の風景があった。

本機は約4Lのバスケットを備え、鮭なら4切れ、鶏肉なら2枚程度を一度に調理できる。自動メニューは「からあげ」「ポテト」「焼き魚」「温め直し」「冷凍食品」の5種類。
温度と時間を自由に決められる「Air Oven」も備える。消費税込みの価格は1万6500円で、2026年8月27日の発売が予定されている。
いちばん驚いたのは、ナスの“揚げびたし”だった
今回、実際に食べて最も印象に残ったのは、唐揚げでも冷凍食品でもない。ナスやパプリカなどを使った「彩り野菜の焼き浸し」だった。
エアーオーブンのレシピとして、野菜の揚げびたしをイメージする人は多くないだろう。ところが、これが実においしい。熱風で野菜の余分な水分を飛ばしてから調味液に浸すことで、短時間でも味が入りやすい。
揚げ油をたっぷり吸わせた料理とは違い、軽やかでありながら、野菜の味は薄くない。むしろ水分が適度に抜けたことで、旨味と甘味が凝縮されているように感じた。

この一皿には、今回の製品の本質が凝縮されている。エアフライヤーの価値を「油を減らせる」だけで終わらせず、水分を飛ばす力を、味を染み込ませるために使う。既存の家庭料理を、熱風調理に合わせて再設計しているのだ。
一方、冷凍焼きおにぎりや冷凍エビ、ブロッコリーなどの仕上がりは、もちろん水っぽさが抑えられ、十分おいしかった。ただ、個人的には想像を大きく超えるほどではなく、そこは比較的オーソドックスな印象である。
だからこそ、この製品を「冷凍食品をおいしく温める家電」として語るのはもったいない。価値があるのは、これまでエアーオーブンで作ろうとは思わなかった料理にまで、活用の幅を広げたことだ。
“誰でも再現できる”ところまで設計する
発表会でレシピを監修した料理研究家・管理栄養士の前田量子氏は、定番料理について「長い時間をかけて生き残ってきたレシピ」と表現した。いま求められているのは、奇抜な新料理を作ることではなく、その定番をどれだけ手間なく、おいしく再現できるかという発想である。

例えば唐揚げでは、油を完全に使わないことに固執していない。鶏もも肉500gに対してサラダ油は小さじ1。そして衣には水を加え、水分が蒸発するときに空気の層を作ることで、カリッとした食感を狙っている。
照り焼きチキンでは、鶏もも肉1枚に対してしょうゆ大さじ1という、覚えやすい基準を設定。市販の合わせ調味料でも代用できるよう、レシピ側の味のバランスまで検証したという。

冷蔵と冷凍、食材の重量差、1人分と家族分。そうした家庭で起こる細かな違いを、できる限り製品とレシピの側で吸収しようとしている。
操作も同じ思想で作られている。パネルは見下ろす天面ではなく正面にあり、メニュー名はアイコンだけでなく日本語で表示。ライト付きの窓からは、バスケットを引き出さずに焼き色を確認できる。予熱も不要だ。

家電の価値は、最高温度やヒーターの出力だけで決まるものではない。生活者が迷う回数を減らし、失敗する可能性を小さくし、「また作ろう」と思わせるところまで含めて製品設計である。
本体というハードウェアと、レシピというコンテンツを一体化させた点も興味深い。
性能が似通いやすい市場ほど、最後に差を生むのは、利用者が価値を体験するまでの導線だ。本機では35品のレシピブックが、説明書の付録ではなく、製品価値の半分を担っている。実際、焼き魚や照り焼き、冷凍食材、朝食、菓子まで幅広いレシピが用意されている。
いい意味でレコルトらしくない“魔法の箱”
これまでレコルトには、一人暮らしや少人数世帯に向けた、コンパクトでデザインのいい家電という印象を持っていた。キッチンに置きたくなる親しみやすさは魅力だが、どちらかといえば料理への入り口を軽くする製品が多かったように思う。
「エアーオーブン 4L」は、そのレコルトらしいデザイン性を残しながら、いい意味でレコルトらしくない。
4Lの容量はファミリー家庭にも十分で、肉、魚、野菜を日々の主菜として作れる。高級機のように多機能ではないが、エアフライヤーを初めて買う人が、その便利さと調理の広がりをきちんと実感できる、完成度の高いエントリーモデルだ。
そして何より、この製品には「健康的な料理は我慢して食べるもの」という空気がない。油を減らすことを目的にしながら、おいしさを削らない。料理を簡略化しながら、食卓を貧しくしない。窓から料理が焼けていく様子を眺める楽しさまで残している。
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