東京23区内を走る“超ローカル線”は なぜいまも残っている? 全長わずか1キロの“盲腸線” が誕生した「幻の計画」とは
地域に愛される運行形態と、長年続いた「無改札駅」の歴史
こうして大震災の影響から2駅だけで開業した大師線ですが、現在では2両編成のワンマン列車がほぼ終日にわたり10分間隔で運行されており、短いながらも高い利便性を保っています。

同社担当者によると、主な需要は「通勤・通学をはじめとした普段使い」とのことですが、これに加えて重要なのが「西新井大師(總持寺)」への参拝客です。
江戸時代から信仰を集める名刹への参詣ルートとしての役割が、このローカル線を存続させる大きな原動力となりました。特に正月三が日は、多くの初詣客で大変な賑わいを見せます。
また、東武大師線は非常にユニークな特徴を持っていたことでも知られています。
かつて終点の大師前駅には自動改札機や自動券売機が一切なく、東京23区内で唯一の「無改札駅」として有名でした。
同駅から乗車する際は切符を持たずに列車に乗り、乗り換え駅である西新井駅の「連絡改札」でまとめて運賃を精算するという、全国的にも極めて珍しい合理的なシステムが長年採用されていました。
しかし、この独特な運行形態も時代の変化を迎え、2026年3月に大師前駅へ自動改札機と券売機が新設されました。これに伴い、西新井駅にあった連絡改札は撤去され、現在は一般的な他の路線と同じように、大師前駅の改札を直接通って乗り降りする方式へと変わっています。

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かつて大師線では「東武8000系」という昭和レトロを感じさせる車両が長年活躍し、緑や黄色といったリバイバルカラーが鉄道ファンを楽しませていました。
しかし現在は車両の世代交代が行われ、ステンレス製の「東武10000系」の2両編成がワンマン列車として運行を担っています。車両や駅の設備がアップデートされたことで、路線の安全性や快適性はさらに向上しています。
西新井と上板橋を結ぶはずだった壮大な計画。その一部だけが形を変えて生き残った東武大師線には、かつて描かれた夢の跡が今も息づいています。
長年の名物だった「連絡改札」や旧型車両は役割を終えましたが、都心とは思えない素朴さと独自性に溢れたこの路線は、片道運賃(切符160円、ICカード157円)で、日常の中のちょっとした非日常を今も味わわせてくれます。
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