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「ゴミ捨ての面倒」はどこまで消せる? 日立の新掃除機“らくメンテスティック”が隙のない一台だった理由

吸引力を保ち、本体のお手入れもラクにする「フィルターケア」

 そして、PV-BG1000Rで見逃せないのが、本体側の「パワー長もちフィルターケア」である。

 コードレススティック掃除機は、使い続けるうちにフィルターへ微細なチリが付着し、空気の通りが悪くなる。結果として吸引力が落ちたり、フィルター掃除の頻度が増えたりする。日立はここに対して、ドックに戻した際、空気の力で本体フィルターに付着した微細なゴミやチリを落とす仕組みを搭載した。

透明モデルで示された「パワー長もちフィルターケア」。本体をドックに戻すと空気の力でフィルターに付着した微細なゴミやチリを落とし、吸引力の持続とお手入れの軽減を狙う
透明モデルで示された「パワー長もちフィルターケア」。本体をドックに戻すと空気の力でフィルターに付着した微細なゴミやチリを落とし、吸引力の持続とお手入れの軽減を狙う

 実演では、粉を付着させたフィルターの状態では吸引力が落ち、ボウリング球を持ち上げられなかった。その後、本体をドックに戻してフィルターケアを行うと、再びボウリング球を持ち上げる。もちろん家庭でボウリング球を吸うことはないが、吸引力の持続を視覚的に伝えるには非常にわかりやすいデモだった。

発表会では、ボウリング球を使ってフィルターケア前後の吸引力を実演。目詰まりしたフィルターをドックでケアすることで、吸引力が回復する様子をわかりやすく示した
発表会では、ボウリング球を使ってフィルターケア前後の吸引力を実演。目詰まりしたフィルターをドックでケアすることで、吸引力が回復する様子をわかりやすく示した

 つまり、「らくメンテ」は単なるゴミ捨ての簡略化ではない。ドック側でゴミを圧縮して捨てやすくし、本体側ではフィルターの目詰まりを抑える。掃除機全体のメンテナンスをラクにしている点に、この製品の価値がある。

 もちろん、掃除機としての基本性能も抜かりない。PV-BG1000Rの標準質量は1.4kg。自動ごみ収集ドック付きだからといって、本体が重くなりすぎていない。

 ヘッドには、前方だけでなく左右の見えにくいゴミも照らす「3方向ごみくっきりライト」、前後だけでなく左右からも吸引する「4方向吸引機構」、髪の毛が絡まりにくい「からまんブラシ」を搭載する。

ヘッドには、前方だけでなく左右の見えにくいゴミも照らす「3方向ごみくっきりライト」を搭載。掃除機がゴミを“見える化”してくれることで、掃除の納得感は大きく変わる
ヘッドには、前方だけでなく左右の見えにくいゴミも照らす「3方向ごみくっきりライト」を搭載。掃除機がゴミを“見える化”してくれることで、掃除の納得感は大きく変わる

軽さ・静音性・置きやすさまで磨いた“隙のなさ”

 日立の「ごみくっきりライト」は、一度使うと戻れないタイプの機能だ。掃除とは、吸う作業であると同時に、ゴミを見つける作業でもある。床に落ちた細かなホコリや髪の毛は、光の当たり方で見え方が変わる。掃除機がゴミを見える化してくれると、掃除の納得感が変わる。

付属のハンディブラシは、本体だけでなく延長パイプの先端にも装着できる。床掃除の途中で段差や家具まわりをサッと掃除できる、細かな使い勝手への配慮だ
付属のハンディブラシは、本体だけでなく延長パイプの先端にも装着できる。床掃除の途中で段差や家具まわりをサッと掃除できる、細かな使い勝手への配慮だ

 運転音への配慮も、今回の大きなポイントだ。自動ごみ収集ドック付き掃除機は便利な一方で、ゴミを吸い上げるときの音が気になることがある。日立はシリンダー掃除機で培った低騒音化技術を応用し、ドック内のモーターを気密性の高いケースで覆い、さらに外装で二重に包む構造を採った。

 自動ごみ収集ドックのスポンジと本体吸気口のハニカム構造により流体音を抑える工夫も入れている。夜など音が気になるときには、自動ごみ収集をオフにできるボタンもある。

自動ごみ収集時の運転音にも配慮。自動ごみ収集ドックのスポンジと本体吸気口のハニカム構造により流体音を抑えるなど、耳障りな高音や急な立ち上がりを抑える設計が採られている
自動ごみ収集時の運転音にも配慮。自動ごみ収集ドックのスポンジと本体吸気口のハニカム構造により流体音を抑えるなど、耳障りな高音や急な立ち上がりを抑える設計が採られている

 デザインも手堅い。カラーはナチュラルホワイト。自動ごみ収集ドック付きはどうしても存在感が大きくなりがちだが、PV-BG1000Rはスリムで、リビングや寝室にも置きやすい。

 コードは左右と後方の3方向から出せるため、コンセント位置に合わせて壁際へ寄せやすい。こうした配線への配慮は、実際の住空間では大きい。掃除機本体がきれいでも、コードが不自然に見えると生活感が出てしまうからだ。

 環境配慮も盛り込まれている。製品全体のプラスチック素材のうち、質量比10%以上に再生プラスチックを使用。白色の再生材は色味や黒点のような異物が課題になりやすいが、材料選定や調達を工夫したという。着脱式電池や塗装レス設計も、分別やリサイクルを見据えたものだ。

白色の再生プラスチックを用いた部品の一例。色味や黒点などが課題になりやすい白系再生材を、材料選定や調達の工夫でナチュラルホワイトの外観に落とし込んだ
白色の再生プラスチックを用いた部品の一例。色味や黒点などが課題になりやすい白系再生材を、材料選定や調達の工夫でナチュラルホワイトの外観に落とし込んだ

派手さよりも“面倒の少なさ”で選ばせる日立らしさ

 改めて振り返ると、PV-BG1000Rには、ひとつだけ突出した派手な機能があるわけではない。だが、ゴミ捨て、フィルターケア、吸引力、軽さ、ヘッドの使いやすさ、運転音、置きやすさ、環境配慮まで、掃除機に求められる要素が非常に高いバランスでまとまっている。

 まさに、隙がない。そして、その隙のなさこそが日立らしい。

ドックはコードを左右と後方の3方向から引き出せる溝が刻まれている設計。コンセント位置に合わせて壁際に寄せやすく、ドック付き掃除機にありがちな置き場所の悩みにも配慮している
ドックはコードを左右と後方の3方向から引き出せる溝が刻まれている設計。コンセント位置に合わせて壁際に寄せやすく、ドック付き掃除機にありがちな置き場所の悩みにも配慮している

 海外メーカーの掃除機には、強烈なデザインや圧倒的な吸引力、ブランドの思想で押し切る魅力がある。一方、日立の掃除機は、暮らしの中で起きる小さな不満を見つけ、それを一つずつ技術で潰していく。大胆な変化というより、積み重ねの精度で勝負する家電だ。

 掃除機市場はすでに成熟している。だからこそ、次の差別化は「どれだけ吸うか」だけではない。「どれだけ面倒を感じさせないか」「どれだけ自然に暮らしへ溶け込むか」が問われる。

 らくメンテスティックは、その問いに対する日立らしい回答だった。掃除はしっかりできる。軽く扱える。ゴミ捨てもラク。フィルターのお手入れもラクになる。音や置き場所にも配慮され、紙パックを買い続ける必要もない。

 使って派手に驚くというより、使い続けて「そういえば、面倒が少ない」と気づくタイプの家電。そこにこそ、これからの白物家電の価値があるのかもしれない。

標準質量1.4kgの軽さにより片手で持ち上げるのもラクラク。自走機能や付属ブラシにより、床だけでなく家具まわりや段差も掃除しやすい。メンテナンスのラクさだけでなく、掃除そのもののしやすさも磨かれている
標準質量1.4kgの軽さにより片手で持ち上げるのもラクラク。自走機能や付属ブラシにより、床だけでなく家具まわりや段差も掃除しやすい。メンテナンスのラクさだけでなく、掃除そのもののしやすさも磨かれている

製品概要
日立 らくメンテスティック PV-BG1000R
価格:オープン価格(店頭想定価格 税込8万8000円前後)
発売時期:2026年7月中旬予定
カラー:ナチュラルホワイト
タイプ:コードレススティッククリーナー(自動ごみ収集ドック付き/紙パックレス式)
本体標準質量:1.4kg
連続使用時間:強 約8分/自動 約8〜30分/標準 約40分
充電時間:約2時間
主な機能:自動ごみ収集ドック、ごみダッシュ、パワー長もちフィルターケア、3方向ごみくっきりライト、4方向吸引機構、からまんブラシ、カセット式リチウムイオン電池、ARおそうじ(別売対応)
付属品:ハンディブラシ、2WAYすき間ブラシ、自動ごみ収集ドック

Gallery 【画像】日立の新掃除機「らくメンテスティック」のスゴみを写真で見る(30枚以上)
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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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