「エボII」ったって三菱じゃない! 派手なエアロパーツがカッコいい伝説のホモロゲモデルがオークションで落札 36年前に登場したメルセデス「190E 2.5 16エボリューションII」ってどんなクルマ?
全部で500台が作られたホモロゲーションモデル
2026年7月にドイツ・テーゲルンゼー湖畔で開催されたで開催されたRMサザビーズ主催のオークションに、1990年式メルセデス・ベンツ「190E 2.5 16エボリューションII」が出品され、落札されました。
どんなクルマなのでしょうか。
1980年代後半から90年代前半にかけて、ドイツツーリングカー選手権(DTM)の舞台は自動車メーカー各社が持てる技術のすべてを注ぎ込む激戦区となっていました。
その過酷なレースシーンで勝利を掴むためのホモロゲーション(車両公認)モデルとして、メルセデス・ベンツが1990年に世界限定500台のみを世に送り出した伝説のモンスターマシンが「190E 2.5-16 エボリューションII」です。
通称「エボ II」と呼ばれるこの歴史的名車がオークションに登場し、世界中のコレクターたちの間で大きな話題となりました。その圧倒的な存在感と希少価値は年々高まり続けており、オークション会場でも熱い視線を集める主役の1台となりました。

このモデルの最大の特徴は、見る者すべてを威圧する圧倒的なスタイリングにあります。
コンパクトなセダンである190Eのボディをベースにしながら、ツェンダー社が手がけた巨大なリアウイングや、大きく張り出した前後フェンダーフレア、フロントスプリッターといった過激なエアロキットが全身に纏われています。
これは単なるドレスアップではなく、風洞実験を繰り返して導き出された本物の空力兵器であり、超高速域での圧倒的なダウンフォースを発生させます。ボディカラーは500台のほとんどに採用された伝統の「ブルーブラック(コード199)」で塗装され、足元にはオリジナルの17インチアルミホイールが美しく収まっています。
心臓部には、名門コスワースが開発に関わった2.5リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンが搭載されています。
エボIIへと進化するにあたってさらなるチューニングが施され、最高出力235馬力を発生。高回転域まで一気に吹け上がる官能的なレーシング特性が与えられました。
パワーを受け止めるシャシまわりには、車内から3段階に車高を調整できるハイドロニューマチック・サスペンションが標準装備されており、足まわりの剛性もレース仕様へと徹底的に強化されています。駆動方式は後輪駆動で、変速機にはドッグレッグ式(左下が1速となるレーシングパターン)の5速マニュアルトランスミッションが組み合わされ、ドライバーへダイレクトな操縦の快感をもたらします。
今回出品されたシリアル番号「321」の個体は、新車時からの極めて低い走行距離と、非の打ち所がないコンディションが維持されている奇跡的な1台です。
記録によると、これまでに熱心なコレクターの手によって徹底的な温度管理のもと大切に保管されてきました。総走行距離はわずか2万400km(約1万2600マイル)を刻むのみで、室内のスポーツシートの質感や、ダッシュボード、スイッチ類にいたるまで新車当時のクオリティを完璧に保っています。
電子制御が完全に主流となった現代のスポーツカーとは異なり、ドライバーの五感をダイレクトに刺激する純粋なメカ特性を持つこの時代のホモロゲーションモデルは、二度と作ることができない歴史的遺産として世界的な再評価を受けています。
メーカーの栄光と情熱がそのまま凝縮されたようなエボIIですが、最終的に27万5000ユーロ(日本円で約4675万円)という金額で落札され、新たなオーナーの元へと引き継がれました。
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