家電は最後に置くものではない。インテリアのプロ・窪川勝哉氏が軽井沢アトリエで実践した「空間から逆算する家電選び」とは?
「白が嫌い」なのではない。空間と無関係な白を置きたくない
軽井沢の国有林沿いに立つアトリエは、周囲の森に溶け込むように、低く水平に伸びています。室内へ入ると、土を思わせる壁、ウォルナット系の床、黒いスチール、深い色のタイルが連なり、新築特有の光沢とは異なる落ち着きがあります。

窪川氏は、この建物について「傾斜地を掘り進めたら、穴蔵のような家が現れたイメージ」と話します。最初から磨き上げられた豪邸ではなく、自然の中に以前から存在していたような温かさをつくりたかったのでしょう。
アトリエを案内されて、まず気づいたのは、一般的な住宅で目につく白い設備がほとんどないことでした。インターホンやスイッチプレートは黒。給湯や浴室乾燥のリモコンも、視線から外れる位置へ収めています。
「白いものがあると、そこだけ目立ってしまうんです」

窪川氏が問題にしているのは、白という色そのものではありません。壁や家具、照明と関係なく、「メーカーの標準色だから」という理由だけで白い設備が突然現れることです。
火災報知器やインターホンは機能上必要でも、常に存在を主張する必要はない。だから背景に退かせる。一方、形や素材に意味を持たせられる家電は、隠さず見せる。この判断がアトリエ全体を貫いています。

軽井沢の森でも、室内の空気は別に考える
「これだけ森に囲まれているなら、空気清浄機はいらないのではないか」
アトリエを訪れる前、そんな疑問もありました。
しかし窪川氏の答えは明快です。
「外は森があって、きれいな空気が流れています。でも、今の建物は気密性が高い。家の中の空気は、外とは別に考えたほうがいいと思いました」
自然環境が豊かであることと、閉じた室内の空気が常に快適であることは同じではありません。冬の軽井沢では暖房を使い、窓を閉めて過ごす時間も長くなります。
そこでBlueairを選んだのは、高い空気清浄性能に加え、部屋ごとの過ごし方に合うデザインと機能がそろっていたからでした。
ダイニングに置かれたのは「Blueair 2-in-1 Pro 加湿空気清浄機 DH5i」。室内だけで約3mあり、屋外へも延びる大きなダイニングテーブルは、料理好きの奥様が家族やゲストをもてなすための場所です。

「人が集まる広い空間を整えたいし、冬は加湿もしたい。でも、加湿器と空気清浄機を別々に置いて、家電をパラパラと増やしたくはありませんでした。素敵なインテリアの中に、素敵な風をプラスしたかったんです」
空気清浄と加湿を一台にまとめることは、機能上の合理性だけでなく、視覚的なノイズを減らすことにもつながります。
ラウンジには、円筒形の「Blue Signature SP4i」を選択しました。ベージュ系のソファとカーペット、丸いテーブルで構成したコンパクトな空間です。

「円筒形のフォルムが、丸いテーブルと相性がいいと思いました。家具と同じように、形から選んでいます」
さらにプレフィルターを、標準色から「Light Taupe Archipelago」へ交換。ピンクベージュ系の色が、ラウンジの柔らかなトーンをつないでいます。

寝室とゲストルームには「Mini Restful 空気清浄機 and Sunrise Clock SC9i」を一台ずつ配置しました。主寝室には落ち着いたMidnight Dark Blue、フロアの高い位置にあり、明るめに整えたゲストルームにはCoastal Beigeを選んでいます。
主寝室で窪川氏が重視したのは、空気清浄に加えて、光と音で目覚めを支える機能でした。
「自宅では、季節によってカーテンを開ける幅を変えて、朝の光で起きるようにしています。でも、ここは森があるので、同じように朝日が入るとは限らない。日の出のような光で起きられる機能が、この寝室に合うと思いました」
一方のゲストルームは、現時点ではテレワーク用のデスクが中心です。いまは間接照明として使い、将来ベッドを入れれば、眠りと目覚めを整える空気清浄機になる。現在だけでなく、空間の用途が変わることまで見越しています。

冷蔵庫を「木の分量」で選ぶ
キッチンでひときわ印象的だったのが、AQUAの冷蔵庫「TZシリーズ」です。ダークウッドブラウンの扉が、床やカウンターの木と呼応しながら、タイルやダークカラーの面材の間に静かに収まっています。

窪川氏は「木目が好きだから選んだ」とは言いませんでした。
「タイルがあって、キッチンがあって、床にも木がある。その全体を見たときに、もう少し木の要素を入れたかったんです。木の“分量”のバランスですね」
この「分量」という言葉に、インテリアスタイリストの選び方がよく表れています。
木を多く使えば温かくなるとは限りません。石、金属、布、土のような壁との比率を見ながら、どこにどれだけ木を置くかを決める。その役割を冷蔵庫にも担わせたのです。
造作キッチンは、ハンドルやノブを目立たせず、扉の手掛け部分から開ける設計。TZシリーズも、取っ手を大きく見せない水平基調のデザインです。形のルールが共通しているため、冷蔵庫だけが異質なプロダクトとして飛び出しません。
AQUAのドラム式洗濯乾燥機「まっ直ぐドラム」は、造作扉の内側へ収めました。閉じれば存在は消えますが、扉を開けたとき、そこだけ白い塊が現れることも避け、濃色のモデルを選んでいます。

「収納の中とはいえ、ここだけ急に白くなるのは違うと思いました」
隠すなら何でもいい、ではありません。日常的に扉を開き、洗濯物を出し入れする瞬間まで空間の一部です。生活感を消すのではなく、生活の道具にきちんと居場所を与える。冷蔵庫と洗濯機には、その思想が異なる形で表れていました。
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