耐久レースに勝つために生まれた“赤いフェラーリ”を発見 70年代に25台のみが作られた“ル・マンを狙った怪物”「512BB/LM」の気になる予想価格とは
フェラーリが再び耐久レースへ「512BB」から生まれたレーシングカー
アメリカ・カリフォルニア州モントレーで開催されるRMサザビーズ主催のオークションに、1979年式フェラーリ「512BB/LM」が出品されます。
このモデルは、フェラーリが耐久レースへの復帰を目指して開発した本格的なレーシングモデルで、わずか25台しか製造されなかった希少車です。
今回の個体は25台のうち7台目にあたるシャシーナンバー「29507」。フェラーリ・クラシケによる認証を受けており、エンジン、トランスアクスル、ボディがマッチングナンバーであることも確認されています。オークションでは200万~350万ドル、日本円にして約3億円前後の落札予想価格が提示されています。
512BB/LMのルーツは、1976年に登場した「512BB」です。
512BBは、フェラーリ初の量産ミッドシップ12気筒モデルとして知られる「365GT4 BB」を発展させたモデルで、排気量を4942ccへ拡大するとともに、ドライサンプ式の潤滑システムを採用しました。
フェラーリは1970年代前半にスポーツカーレース活動を縮小していましたが、1978年になると再び耐久レースへの参戦を模索します。そこで512BBをベースに、IMSAのレギュレーションに対応したレーシングカーを製作しました。
軽量化によって車重を約1100kgまで削減し、5リッターの水平対向12気筒エンジンは約460馬力までパワーアップ。さらに大型のフロントスポイラーや巨大なリアウイングを装着し、レーシングカーとしての性能を追求しました。
しかし初期型ではトランスアクスルが強大なエンジンパワーに耐えきれず、1978年のル・マン24時間では4台すべてがリタイアする結果となります。
そこでフェラーリはさらなる改良を実施。燃料噴射システムを採用して最高出力を約480馬力まで高め、トランスアクスルを強化するとともに、オイルクーラー、ブレーキ、サスペンションなども改良しました。
さらに車体を軽量化し、ピニンファリーナが風洞実験を行って開発した専用ボディを採用。この特徴的なスタイルから「シルエット」と呼ばれることもあります。

今回出品されたシャシーナンバー29507は、1979年11月に完成した25台中7台目の個体です。
完成後はスイスの著名なフェラーリコレクター、アルベルト・オブリストのコレクションに収蔵され、その後アメリカへ渡りました。1980年代にはサーキットイベントやクラブレースにも参加し、リバーサイドやラグナ・セカなどを走行しています。
1981年には「オートウィーク(Autowee)k」誌でも紹介されるなど、当時から注目を集めた車両でした。
その後も複数のコレクターによって大切に維持され、2000年代にはアメリカ国内のヒストリックレースにも参加しています。
2008年にはフェラーリ・クラシケに持ち込まれ、2009年にかけてメーカー監修によるレストアを実施。2010年にはフェラーリ・クラシケの認証を取得し、専用のレッドブックも発行されています。
512BB/LMは単なる希少なフェラーリではありません。フェラーリが再び世界の耐久レースへ挑戦するために生み出した、まさにレーシングカーそのものです。

1979年のデイトナ24時間でデビューした後、1980年のル・マンではクラス3位、総合10位を記録。翌1981年にはクラス優勝、総合5位という成績を残しました。
わずか25台という生産台数に加え、フェラーリ・クラシケ認証、マッチングナンバー、そして長年にわたるレースとコレクションの履歴を持つ今回の個体。その価値を考えれば、約3億円という評価も決して大げさではありません。
ロードカーの512BBとはまったく異なる、サーキットで勝つための512BB/LM。その希少性と歴史的価値から、今回のオークションでも大きな注目を集めそうです。
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