公道仕様は27台のみ製作 35年前に登場した青いジャガーがオークション登場 走行わずか300キロ “タイムカプセルで保管”されていたような「XJR-15」とは
カーボン&ケブラー製ボディを世界で初採用したスーパーカー
米国カリフォルニア州モントレーで2026年8月に開催されるRMサザビーズ主催のオークションに、1991年式ジャガー「XJR-15」が出品されます。
XJR-15は、わずか50台しか生産されなかった希少なスーパーカーで、そのうち公道仕様として完成したのは27台だけです。
今回の個体はシャシーナンバー029。しかも新車時から一度も登録されておらず、カタログ作成時点の走行距離はわずか191マイル(約307km)です。
XJR-15を語るうえで欠かせないのが、ジャガーのモータースポーツ活動です。
1980年代半ば、ジャガーはトム・ウォーキンショー・レーシング(TWR)と提携して「ジャガースポーツ(JaguarSport)」を設立。世界スポーツカー選手権への参戦を本格化させました。
その成果として誕生したレーシングカーが「XJR-9」です。XJR-9は1988年のル・マン24時間レースで総合優勝を果たし、さらに1990年にもXJR-12がル・マンを制覇しました。
こうしたレーシングカーの技術とイメージを公道へ持ち込んだモデルとして開発されたのがXJR-15です。
搭載されるのは、レーシングカーから受け継いだ6リッターV型12気筒エンジンです。大幅なチューニングによって最高出力450馬力を発揮し、車両重量は約1040kgに抑えられています。
つまり、XJR-15は単なる高性能なロードカーではありません。ル・マンを戦ったXJR-9の血統を色濃く受け継いだ、まさに公道仕様のレーシングマシンでした。

XJR-15のもうひとつの大きな特徴が、その軽量な車体です。
中央にモノコック構造のシャシを配置し、ボディとシャシにはカーボンファイバーとケブラーを組み合わせた複合素材を採用しています。
これは公道走行可能な量産車として世界で初めて、ボディとシャシにカーボンファイバーを用いた例とされています。
ボディデザインを手がけたのはピーター・スティーブンス氏。後にマクラーレンF1のデザインも担当する人物であり、XJR-15には1990年代のスーパーカーを象徴する独特のスタイルが与えられました。
足回りもレーシングカーそのものです。前後ともXJR-9をベースとしたサスペンションを採用し、4輪にはAPレーシング製4ポットキャリパーとディスクブレーキを装備しています。

今回のシャシ029は1991年8月8日に完成し、シンガポールのコレクターへ新車で納車されました。
その後は空調管理された専用施設で保管され、ほとんど走行することなく30年以上を過ごしています。
2015年にオーナーが手放した時点で走行距離は150マイル未満。その後オーストラリアを経て2017年にアメリカへ渡り、現在のオーナーのコレクションに加わりました。
現在も一度も登録されておらず、走行距離は191マイル(約307km)にとどまっています。
ボディにはカーボンの織り目が透けて見え、透明なエンジンカバーからはV12エンジンを確認できます。3ピースのOZレーシング製ホイールやレーシングシート、ナルディ製ステアリングなど、室内もレーシングカーの雰囲気を色濃く残しています。
50台しか存在しないXJR-15のうち、公道仕様はわずか27台。そのなかでも今回の個体は、未登録かつ走行191マイルという極めてオリジナル度の高い1台です。
ル・マンを制したジャガーのレーシングカーをルーツに持ち、450馬力のV12エンジンとカーボン&ケブラー製ボディを備えたXJR-15。1990年代スーパーカー史に残るこの希少車が、今回のオークションでどのような評価を受けるのか、注目が集まります。
この新車同様の1991年式ジャガー「XJR-15」、落札予想価格は100万ドルから140万ドル、日本円で約1億5000万円から2億1000万円とされています。
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