世界でただ1台の“マットブラックのエンツォ”がオークションに登場 ブルネイ王室に新車納入された 走行わずか5700キロの極上フェラーリの価値
カタログカラーにはない特別なボディ色
フェラーリ「エンツォ」といえば、ロッソ・コルサの鮮烈な赤を思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、今回RMサザビーズの「Sealed September」に出品される2004年型エンツォは、そのイメージとはまったく異なります。ボディカラーは、マットブラックの「Nero Opaco」。しかも、フェラーリが新車時にこの色で仕上げて納車したエンツォは、なんとこの1台だけです。
この特別な仕様をオーダーしたのは、ブルネイ王室のメンバーでした。
当時のフェラーリでは、現在ほどボディカラーの選択肢が豊富ではなく、エンツォの多くはロッソ・コルサ、ジアッロ・モデナ、ブラックなどで仕上げられていました。そんな時代に、ブルネイ王室は通常のカタログカラーではないマットブラックを指定。フェラーリはその特別な要求に応え、2004年6月に製造を開始、同年10月に完成させました。
インテリアも徹底してブラックで統一されています。ブラックのレザーにブラックのカーペット、そこへレッドのメーターを組み合わせ、大型シートを装備しました。
完成したエンツォはロンドンの王室の邸宅で保管され、ハムステッドやメイフェア、ナイツブリッジなどの街を時折走ったといいます。その後、アジア太平洋地域へ移されました。

エンツォそのものも、フェラーリの歴史において特別な存在です。
2002年に登場した同社のフラッグシップ・ハイパーカーで、6リッターV型12気筒自然吸気エンジンをミッドシップに搭載。最高出力は651馬力で、6速のF1タイプ自動マニュアルトランスミッションを介して後輪を駆動します。
カーボンファイバーとアルミニウムによるシャシやカーボンコンポジット製ボディなど、当時のフェラーリが持つ技術を惜しみなく投入したモデルでした。
さらに、この個体は2022年に大規模なリフレッシュを実施。総額は11万ユーロを超え、オリジナルと同じNero Opacoでボディを再塗装したほか、ヘッドライトやリアフードガラス、いわゆる「ベタつき」が発生するスイッチ類なども交換されています。2022年にはフェラーリ・クラシケの認証も取得しました。
現在の走行距離はわずか5763km。2024年にはクラッチや燃料ポンプなども交換され、その後の走行距離はごくわずかです。
400台が生産されたエンツォのなかでも、希少なボディカラーと低走行距離はコレクター市場で大きな価値を持つ要素です。そこに「ブルネイ王室が新車時にオーダーした」という特別な来歴が加わります。
赤いエンツォが「フェラーリらしさ」を象徴する存在だとすれば、この1台はその対極にある存在です。マットブラックという異例の仕様、王室のオーダー、そして世界でただ1台という希少性。まさに「唯一無二」という言葉がふさわしいエンツォです。
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