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時速349.4キロは当時の“世界最速”市販スーパーカー 走行わずか2645キロの極上ジャガーが高値落札 なぜ人は「XJ220」に惹かれるのか

推定落札価格は65万ドルから75万ドル(日本円で約9500万円〜1億1000万円)

 わずか277台しか生産されなかった伝説のスーパーカー、ジャガー「XJ220」が、2026年8月14日に米国カリフォルニア州モントレーで開催されたブロードアロー・オークション主催の「ザ・クエイル・オークション2026」に出品され、72万ドル(約1億円)で落札されました。

 事前の予想落札価格は65万〜75万ドルだったため、ほぼ上限に届く結果となっています。

 今回のXJ220は、シャシナンバー「SAJJEAEX8AX220682」を持つ1993年式。

 ボディカラーは、1988年に発表されたコンセプトカーと同じ「スパ・シルバー」で、インテリアにはスモーク・グレーのレザーを組み合わせています。走行距離はわずか2645km。左ハンドル、5速MTという仕様も含め、オリジナルコンディションを保った非常に希少な個体です。

 XJ220の魅力を語るうえで外せないのが、その誕生の経緯です。1988年のバーミンガム・モーターショーで公開されたプロトタイプは、ジャガーの有志エンジニアたちによる活動「サタデー・クラブ」から生まれました。車名の「220」は、目標とした最高速度220mph(約354km/h)に由来します。

 市販化にあたってはジャガーとTWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)が開発を担当。アルミハニカム構造のシャシとアルミ製ボディを採用し、3.5リッターV6ツインターボを搭載しました。

 最高出力は542馬力。実測最高速度は349.4km/hに達し、当時は世界最速の量産車として大きな話題を集めました。

オークションに出品され、72万米ドルで落札された1993年式ジャガー「XJ220」(c)2026 BROAD ARROW Auctions
オークションに出品され、72万米ドルで落札された1993年式ジャガー「XJ220」(c)2026 BROAD ARROW Auctions

 それでもXJ220が現在まで特別な存在であり続ける理由は、単純な速さだけではありません。むしろ、このクルマには「予定調和ではない魅力」があります。

 もともとのコンセプトカーはV12エンジンと4WDを備えていました。

 しかし、市販モデルではV6ツインターボ+後輪駆動へと大きく変更されています。つまり、発表時に世界を驚かせた夢のスーパーカーが、そのまま市販されたわけではありません。それでも完成したXJ220は、低く伸びたボディ、巨大なリアウイング、サイドのエアインテーク、そして長いリアオーバーハングを持つ独特のスタイルを獲得しました。

 この「完璧すぎないところ」こそ、XJ220に惹かれる理由なのかもしれません。フェラーリやランボルギーニとは違う英国車らしい知性と、当時の技術者たちが速度を追い求めた熱気が、一台のなかに同居しているのです。

 しかも生産台数はわずか277台。現代のスーパーカーのように大量の限定モデルが存在するわけでもなく、1990年代初頭という時代にこれほど大胆なクルマをジャガーが作ったこと自体が、いまでは大きな価値になっています。

※ ※ ※

 今回の72万ドルという落札価格は、単に「速いから高い」というものではありません。希少性、保存状態、歴史的背景、そして何より、二度と同じ時代には生まれないであろうXJ220という存在そのものが評価された結果といえるでしょう。

 発表から38年を経ても、見る者を惹きつける。その強烈な個性こそが、XJ220がいまなお人気を集める最大の理由なのです。

Gallery 【画像】超カッコいい! 33年前の“世界最速”スーパーカー「ジャガーXJ220」を写真で見る(23枚)
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