特別な「80スープラ」が8700万円で落札!? 世界35台 米国仕様は1台のみのモンスター「TRD3000GT」はなぜ高額落札された?
JDMチューニング文化を代表する1台
1994年式のトヨタ「TRD 3000GT」が、米国カリフォルニア州で開催されたブロード・アロー・オークションの「ザ・クエイル・オークション」に出品され、58万2500ドル(約8700万円)で落札されました。
事前の予想落札価格は50万ドルから80万ドルだったため、予想レンジ内ではあるものの、日本円で9000万円近くという落札価格は、あらためてこのクルマの希少性を印象づける結果となりました。
TRD 3000GTは、トヨタのモータースポーツ部門であるTRDが、全日本GT選手権(JGTC)に参戦するA80型スープラをイメージして製作したロードゴーイングモデルです。
1994年の東京オートサロンで発表され、ファクトリーメイドのコンプリートカーとして、生産されたのはわずか35台。通常のスープラにTRD製エアロパーツを装着しただけのモデルではなく、モータースポーツ直系の特別な存在だったことが最大の特徴です。
フロントを60mm、リアを50mm拡幅したワイドボディに、専用フロントバンパーや4連ダクトを備えたボンネットを採用。ベースとなったのは3リッター直列6気筒ツインターボの2JZ-GTEを搭載するスープラです。
出品車にはHKS製のECUチューニングパーツやブーストコントローラーなども装着され、最高出力は約500馬力に達するとされます。さらにレカロ製レザーシート、デフィ製追加メーター、カーボントリムなど、当時のチューニング文化を感じさせる装備も備えています。

今回の落札価格を押し上げた最大のポイントは、単純な「35台限定」という数字ではありません。
この個体は35台のなかで21番目に製造された個体であると同時に、唯一となる北米仕様のスープラをベースにTRD 3000GTへ仕立てられたクルマだといいます。
6速MTとエアロトップを備えた米国仕様車として生まれ、東京のオーナーによって日本へ持ち込まれ、その後TRD 3000GTとして完成。さらに2000年代にはデンマークへ渡り、現地のモーターショーにも出展されました。日本、デンマーク、そして米国へと渡った履歴そのものが、この個体の価値を高めています。
そして、もうひとつ見逃せないのが、A80スープラそのものの世界的な評価です。
映画やゲーム、そしてJDM(ジャパニーズ・ドメスティック・マーケット=日本国内市場専用モデル)チューニング文化を通じて、いまやA80スープラは日本車を代表するアイコンのひとつとなっています。
そのなかでもTRD 3000GTは、後からパーツを装着したチューニングカーとは違い、TRDがモータースポーツのイメージをそのまま公道へ持ち込んだ「メーカー公認の特別なスープラ」です。
つまり今回の58万2500ドルという価格は、単なる「希少なスープラ」の価値だけで説明できるものではありません。
JGTC、TRD、2JZ、JDM、そして世界35台という希少性。さらに唯一の北米仕様ベースという個体固有のストーリーが重なったことで、コレクターにとって代替のきかない1台となったことが、高額落札につながったと考えられます。
かつての日本製ハイパフォーマンスカーが世界のコレクターズカー市場でどこまで評価されるのか。その現在地を象徴する落札結果と言えそうです。
VAGUEからのオススメ
海と向き合い、自らを再起動する――プロセーラーが語る、シチズン「プロマスター」で“限界を超える”意味とは【PR】