「えっ、国指定の重要文化財の中でお風呂!?」日本の文化ってやっぱりイイ…伝統建築に浸り、歴史を紡ぐ名湯を楽しめる「温泉施設」3選
歴史的価値の高い建築と名湯を同時に堪能できる3つの施設
日本全国に有名な温泉地は数多く存在しますが、なかでも国の重要文化財に指定された建物で実際に入浴できる施設は限られています。
文化財としての価値を保ちながらも、現在まで公衆浴場や旅館として営業を続けている場所は、訪れる人々に特有の入浴体験を提供しています。
今回は、歴史ある建築の意匠を鑑賞するだけでなく、実際に湯に浸かってくつろぐことができる温泉施設を3か所取り上げます。
●上諏訪温泉「片倉館」
まず紹介するのは、長野県諏訪市の上諏訪温泉にある「片倉館」です。
片倉館は、製糸業で栄えた片倉財閥が地域住民のための厚生施設として建設したもので、昭和3年に竣工しました。東京帝国大学出身の建築家・森山松之助が設計を手掛け、平成23年には国の重要文化財に指定されています。

建物はゴシックリバイバルやロマンティックリバイバルの要素を取り入れた洋風建築で、窓や切妻、レリーフなどにさまざまな建築様式を見ることができます。
そして片倉館を訪れた際に外せないのが、大浴場「千人風呂」です。その名の通り大きな浴槽を備えており、一度に100人が入浴できるほどの広さがあります。
浴槽は大理石造りで、深さは約1.1m。底には玉砂利が敷かれているため、立った状態で入浴すると足裏に適度な刺激が伝わります。浴室の周囲にはステンドグラスや彫刻も施されており、湯に浸かりながら建物の装飾を眺められるのも特徴です。
●箱根湯本温泉「萬翠楼福住」
次に紹介するのは、神奈川県箱根町の箱根湯本温泉にある「萬翠楼福住(ばんすいろうふくずみ)」です。
寛永2年に創業した老舗旅館で、敷地内に建つ「萬翠楼」と「金泉楼」は、平成14年に現役の旅館として初めて国の重要文化財に指定されました。現在も旅館として利用されている建物で、歴史ある空間に滞在できるのが特徴です。

明治初期に建てられた建物は、伝統的な数寄屋造りと西洋の建築技法を組み合わせた擬洋風建築となっています。
館内には富士山や花を描いた48枚の天井画が残されているほか、障子格子にも視覚的な工夫が施されています。また、木の幹を大きく加工せず、そのまま柱として使用するなど、自然の造形を生かした意匠も見どころです。
歴史上の人物とのゆかりもあり、明治9年には木戸孝允が滞在した際に「萬翠楼」と名付けられたとされています。伊藤博文や福沢諭吉など、多くの文人墨客にも親しまれてきました。
温泉は、明治時代に横穴掘削によって開発された自噴式の源泉「湯本第三号」を使用しています。毎分100リットルを超える湧出量を持ち、透明度の高いアルカリ性単純温泉です。
大浴場の「一円の湯」と「扇の湯」は源泉かけ流しとなっており、露天風呂も用意されています。歴史ある建築を楽しんだあと、箱根の湯でゆっくり過ごせる施設です。
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