「EVは遠出に向かない」はもう古い? ボルボのフラッグシップSUV「EX90」で900kmのロングドライブでわかった“激変する価値観”とは
全長5m超、車重2.7トンの大型SUVを運転する感覚がない
諏訪湖畔にある「松倉」で、うな重のランチを頂いた後は、ちょっと推奨ルートを離れて、松本ICから美ヶ原高原美術館に向かう。ビーナスラインに入るまでの「アザレアライン」と呼ばれる道は急カーブが多く、道幅の狭い急坂が続く。
このワインディング路で思ったことは、クルマの巨体ぶりを感じなかったこと。このEX90、全長5m超え、全幅も2m弱、さらに車両重量は2.7トンというかなりの大型SUVなんだけれど、対向車とすれ違う時以外は、その大きさのクルマを運転している感覚にはならないのが不思議だった。
国宝松本城を横目で見て走る市街地走行の際は、ワンペダルドライブを「Auto」にしていたけれど、山道に入ってからはオフにして、走りを楽しむ。サスペンションフィールも硬めにしてみる。こういう自在さも、なんかいい。
いや、雨も降り、紅葉が始まりかけの山道はアスファルトの上に濡れた落ち葉が大量にあって、路面コンディションは良いとはいえない。それでもかなりのペースで走っていけるし、滑りやすい路面なのにタイヤが滑る感覚もない。おそらく走行する間にも細かな制御が入っているとは思うんだけれど、これがあまりにも自然すぎて、運転する側はまったく気づかない。
前後にモーターを搭載するAWDのEX90、システム出力は680馬力・870Nmあり、0−100km/h加速は4.2秒とスポーツカー並の加速力を誇る。スペックだけ見るとジャジャ馬的な印象もあるんだけど、実際はそうじゃない。イメージとしては「普段はあくまでもジェントル。ただ、踏めば底知れないチカラを発揮する」という感じだ。
美ヶ原高原美術館の標高はおよそ2000m。あまりの急坂を駆け上がるので、バッテリー残量がみるみる減っていくのにはドキドキしたけれど、ここまで標高が上がってもエンジン車じゃないから、パワーが落ちる、なんてこともない。

ビーナスラインに入り、上りきった場所にある美術館の駐車場で撮影。その後は上田市側に北に下りて行ったのだけれど、面白いのは35%まで減っていたバッテリー残量が、上田菅平ICに着く頃には38%に増えていたこと。回生によりバッテリーが充電された。「位置エネルギー」なんて、遠い昔、中学校で習った言葉をふと思い出す。
雨の高速道を走行。上信越道から更埴JCTを右に曲がり、上信越道を北に進む。取材時は9月下旬。18時前には日は落ち、インターチェンジのまわりくらいにしか連続照明のない上信越道は、あっという間に真っ暗になる。
そこで気づいたのが、EX90のオートハイビームの存在感。高速を走っていて、遠くの道路看板も明るく照らされているのがわかる。
リリースによれば「EX90のフロント・トールハンマーヘッドライトには、1.3メガピクセルの新しいハイディフィニション・ピクセルLEDヘッドライトを採用し、ロービームからハイビームまで配光特性を最適化します」とのこと。つまりは対向車や前方車には眩しさを感じさせず、それ以外の場所を自動的にハイビームでクリアに照らすというもので、これはありがたい。明るい都内の道ではわからないが、実際にこうやって暗い道を走るとかなり重宝する機能だ。
上信越道を北上する。今日の宿泊地、ロッテアライリゾートまでは15kmほど。このときのEX90の充電残量は10%台。

これだけ電気が残っていればホテルまで余裕で到着することができるんだけど、なんとなく、妙高SAで充電をしてみる。
妙高SAには50kWの急速充電器が1台あるのみだが、幸いなことに空いていた。充電をする間、30分のコーヒーブレイク。この30分の充電で、充電残量は38%に回復した。そうだ、EVのロングドライブってこんな感じだったよな。先を急がない余裕が必要なんだよな、と、過去の経験を思い出した。すぐに給油できるエンジン車の長距離ドライブとは違う、心の余裕が必要なんだ。
でもそれが、アップデートされていない「過去のEV長距離ドライブの記憶」だったということに気づくのは、また翌日の話。
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