“左ハンドルのまま”国内市場に復活! 待望のプレミアムSUVは日本の道でも快適か? 日産 新型「ムラーノ」の印象とは
高速は上質、低速ではやや硬い! 21インチ仕様の“乗り心地の素顔”
走り出してまず感心させられたのは、シャシーの懐の深さとフラットな直進安定性でした。
新型「ムラーノ」は、プラットフォームこそ従来型の基本骨格を大幅改良したものですが、ワイドトレッド化や周波数感応型ダンパーの採用によって、フットワークの質感は一段と磨き抜かれています。
米国の道をハイスピードでどこまでも走り抜けるために鍛え上げられた足まわりは、速度域が上がるほどにしなやかさを増し、路面のうねりや段差を巧みにいなしてくれます。
英国のカントリーロードを思わせる、アンジュレーションのきつい荒れた路面に持ち込んで足の動きを確かめてみると、ダンパーがしっかりとストロークを確保し、突起の乗り越えでも重厚な車体をフラットに保ち続けてくれるのがよく分かります。
ただし、セッティングのスイートスポットが明らかにハイスピード域に置かれているため、日本の都市部にありがちなストップ&ゴーの繰り返しや低速での荒れた舗装路では、足まわりが路面の凹凸を拾ってややドタバタとした硬さをのぞかせる一面もありました。
ちなみに、試乗車が履いていた21インチタイヤ(255/50R21)は、見た目こそ迫力満点ですが、シャシーの許容量に対してタイヤの主張が強く、ややバネ下を重く感じさせる場面も……。
この街乗りでのドタバタ感について、日本導入仕様の20インチ(255/55R20)になれば解決するのかといえば、答えは半分イエスで半分ノーといったところでしょう。
20インチ化によってタイヤのサイドウォールが厚くなるため、段差を踏んだ瞬間の「ドンッ」という初期当たりの“カド”は丸くなるでしょうが、低速域ではダンパーの減衰が勝ち気味になるという、大陸生まれならではの減衰特性そのものが消えるわけではなさそうです。
街中での極上のフラット感を過度に期待するよりは、20インチ化による乗り心地の改善に期待しつつ、ハイウェイクルーズで真価を発揮するGT的なフットワークとしてつき合うのが正解といえるでしょう。

パワートレインは、従来モデルの3.5リッターV6から刷新された日産独自の2リッター可変圧縮比エンジン“VCターボ”で、日本仕様の最高出力は245ps(180kW)、最大トルクは352Nmを発生。トランスミッションには9速ATを組み合わせます。
大排気量V6に匹敵する豊かな低速トルクを備えており、アクセルペダルをわずかに踏み込むだけで、2トン前後の巨体をジェントルに前へとすべり出させてくれます。
とりわけ、高速道路でのクルージングに入ると、エンジン音はまるで遠くでささやいているかのように静まり返り、最新の“e-POWER”に匹敵する静粛性です。
一方で、クルマとしてのキャラクターを考えると、少し惜しいと感じる部分もありました。
ひとつは、追い越しの際などにアクセルペダルを深く踏み込み、回転数が4000rpmを超えた際に、直列4気筒特有のややガサついたエンジン透過音がキャビンに響いてしまう点です。
低回転域では見事なトルク感と静粛性を誇るだけに、深く踏み込んだ領域での吸遮音対策やサウンドチューニングには、もう一段の洗練を期待したくなります。
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