“左ハンドルのまま”国内市場に復活! 待望のプレミアムSUVは日本の道でも快適か? 日産 新型「ムラーノ」の印象とは
左ハンドルのまま正規導入! 新型「ムラーノ」が日本に復活した理由
再建のステップを着実に進めている日産自動車ですが、直面している課題のひとつは「国内ラインナップの手薄さ」でしょう。なかでも、人気のSUVカテゴリーにおいては、「キックス」や「エクストレイル」、そして電気自動車の「アリア」などを展開しているものの、「エクストレイル」の上位を担う大型プレミアムSUVは不在でした。そのため、より上級なモデルを求めるユーザーを他社に奪われてしまっていたのは紛れもない事実です。
販売現場からも長らく「『エクストレイル』の上のクラスを担う兄貴分が欲しい」という声が上がっていたなか、北米市場で世代交代を果たしたプレミアムクロスオーバーSUV「ムラーノ」が、ついに日本市場へ正規導入されることになりました。2015年に2代目の販売が終了して以来、実に約11年ぶりとなる日本復活です。
今回の導入劇における最大のトピックであり、同時に、大いなる驚きをもって迎えられたのが、米国テネシー州スマーナ工場で生産されるモデルを、ほぼ米国仕様そのままの“左ハンドル”で販売するという大胆な決断です。
その背景には、いわゆる通商上の“トランプ問題”に端を発する日米間の貿易摩擦への配慮があります。日産は、自動車分野における対米不均衡を是正する一手として、国土交通省が2026年2月に創設した「米国製乗用車の認定制度」をいち早く活用。「ムラーノ」の迅速な国内導入を実現させました。
もちろん、日本向けにはヘッドランプの配光変更や“プロパイロット”を始めとする一部運転支援機能の設定変更などが施されています。一方、ハンドル位置やインフォテインメントといった基本仕様は米国向けのまま。日本語表示には対応せず、国内で使用できない機能もあります。

今回試乗したのは、セミアニリンレザーやパノラミックルーフ、21インチタイヤを備えた上級グレードの開発車両でしたが、日本へ導入される正規カタログモデルは20インチタイヤや合成皮革シートを採用した「SV」グレード(消費税込796万4000円)となります。
実車を目の前にすると、単体では伸びやかなプロポーションゆえに大きさを忘れさせますが、周囲のクルマと並ぶと圧倒的なスケール感に、思わず「デカいな」とひと言。
エクステリアは、初代が提示した「彫刻が走り出すような美学」を現代の解釈で再構築した、極めてデザインコンシャスなたたずまいです。
フロントマスクは、薄型LEDシグネチャーと緻密に計算された幾何学パターンのグリルがシームレスに連続し、ワイド&ローの安定感を強烈に印象づけます。
サイドセクションは、過度なキャラクターラインを排したクリーンな面構成でありながら、リアへと視線を移すと一変。豊かに張り出したリアフェンダーの抑揚と、全幅いっぱいに光を放つ立体的なコンビネーションランプが有機的に結びつき、アバンギャルドでツヤやかなリアエンドを描き出しています。
この大胆な造形は、見る人によって好みが分かれるところかもしれませんが、街の風景に埋もれない存在感は唯一無二です。

ドアを開けて乗り込むと、そこには心地いい開放感に満ちた、モダンリビングのような空間が広がっています。ダッシュボード上には12.3インチのデュアルディスプレイが水平に美しくレイアウトされ、温もりを感じさせるマットな木目調パネルには、起動とともにアイコンが静かに浮かび上がる“ハプティックスイッチ”が組み込まれています。
デジタルガジェット然とした冷たさを排し、素材の質感とミニマリズムを両立させた仕立ては見事。全幅約2mのボディがもたらす横方向のゆとり、たっぷりとしたシートサイズ、そして、左右シートの間隔が生み出すパーソナルな居心地は、まさにグランドツアラーの風格です。
日産が培ってきた最新のインテリアデザイン思想が、堂々たる車格によって最も伸びやかに表現された空間といえるでしょう。
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