780馬力の自然吸気V12をフロントに搭載 フェラーリ最後の“V12ベルリネッタ”「F12tdf」がいま改めて注目される理由
ピニンファリーナとのデザイン協業を締めくくるモデル
フェラーリの歴史において、自然吸気V12エンジンを搭載したフロントエンジン・ベルリネッタは、特別な存在です。
そのなかでも、ひときわ過激なモデルとして知られるのが「F12tdf」です。
F12tdfは、F12ベルリネッタをベースに2015年10月に発表された限定モデルです。車名のtdfは、1950年代から1960年代にかけてフェラーリが圧倒的な強さを誇ったフランスの公道耐久レース「ツール・ド・フランス・オートモビル」に由来します。
その名にふさわしく、F12tdfはサーキット走行も視野に入れた徹底的な高性能化が図られています。

搭載するのは排気量6262ccの65度V型12気筒自然吸気エンジンです。最高出力はベースモデルの740馬力から780馬力へと引き上げられ、最大トルクは705Nmを発生します。組み合わされるのは7速デュアルクラッチトランスミッションで、0-100km/h加速はわずか2.9秒、0-200km/h加速も7.9秒という性能を誇ります。
注目したいのはエンジンだけではありません。軽量化に加え、フロントタイヤのワイド化や空力性能の見直しを実施。さらに、フェラーリ独自の後輪操舵システム「バーチャル・ショートホイールベース」を採用しました。
後輪を操舵することで、コーナリング時の俊敏性と高速走行時の安定性を両立させています。まさにロードカーでありながら、レーシングカーに近い性格を与えられたモデルなのです。
生産台数はわずか799台。しかも、フェラーリの長い歴史を支えてきたピニンファリーナとのデザイン協業を締めくくるモデルとしても知られています。こうした背景から、現代の限定フェラーリのなかでも高いコレクターズバリューを持っています。
今回、ブロードアローオークション主催の「チューリッヒ・オークション2026」に出品されるのは、2017年式です。
スイスで新車登録され、これまでのオーナーはわずか2人。ボディカラーはマット仕上げのアッルミニオ・オパコで、ブラックのアルカンターラ内装にカーボンパーツやイエローのアクセントを組み合わせた個性的な仕様です。
走行距離は1万3601km。整備記録も残されており、2026年5月にも整備を受けています。
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