1888年築、取り壊し危機を越えた水色の洋館で紅茶を。世田谷「旧尾崎テオドラ邸」で味わうヴィクトリアケーキ
1888(明治21)年建築。1933(昭和8)年に港区から世田谷区・豪徳寺へ
小田急線、豪徳寺駅から徒歩約9分、東急世田谷線の宮の坂駅からは徒歩約5分。住宅街の中にある、水色の木造2階建ての建物が「旧尾崎テオドラ邸」です。

憲政の神様と呼ばれる政治家、尾崎行雄の旧宅として長らく伝えられてきましたが、実は、尾崎行雄の妻である、尾崎テオドラ英子がイギリスから日本に来る頃、父親である尾崎三良男爵が現在の港区・六本木に建てた洋館です。
尾崎テオドラ英子は、1870年、尾崎三良と英国人女性バサイア・モリソンの長女としてロンドンで生まれました。日本の詩や昔話を英語で紹介し、のちに夫となる尾崎行雄と共に、国際交流や民間外交に尽力した女性です。
そしてこの建物は、尾崎三良男爵が、娘が来日してすぐの1887年に建て始め、翌年には、当時枢密院議長だった伊藤博文らを招いて新築祝いを開いたとのこと。男爵が建てて初代総理大臣が新築祝いに訪れた麻布の洋館。古さだけではなく来歴もすごい!
その後、この洋館を譲り受けた英文学者、岡田哲蔵が1933(昭和8)年に世田谷区豪徳寺に移設し、現在に至ります。
2019年には老朽化による取り壊しの危機に直面しましたが、漫画家・山下和美さんが発起人となり、保存プロジェクトを設立。2024年3月に、ギャラリーと喫茶室のある建物へと生まれ変わりました。この取り壊しの危機から復活・再生までの怒涛のストーリーは山下和美さんの「世田谷イチ古い洋館の家主になる」(集英社)で読むことができます。この洋館を100年後まで残していけるよう、今も活動は続いています。

「下見板コロニアル」と呼ばれる様式が今もなお美しい建物
二階建ての洋館の建築様式は19世紀後半に日本に流入した「下見板コロニアル」と呼ばれる様式が基盤となっています。
外壁の「下見板張り」は、板を横方向に重ねて張る仕上げです。
コロニアル様式の洋館らしい、木造の壁や大きな窓。ギリギリで取り壊しにならずに済んだこと、修復によって昔の佇まいを今も見られることは素晴らしいと感じさせられます。

天井の高い喫茶室で味わう、こだわりの紅茶とスイーツ
旧尾崎テオドラ邸は、1階に記念撮影スポット、喫茶室、ショップがあり、2階はギャラリーになっています。ギャラリーでは人気漫画家の原画展が行われ、2026年は「カワイイ界隈! 陸奥A子・松本かつぢ展」、「成田美名子原画展」、「坂本眞一 クロニクル:Past 展」などを開催。多くのファンが建物の雰囲気と共に作品を楽しみに訪れています。
そして、喫茶室では東西の文化をつないだテオドラにちなみ、彼女が生きた時代の英国の食文化に着想したオリジナルのお菓子、そして紅茶を中心としたこだわりのメニューを楽しむことができます。
紅茶は、松陰神社前のインド紅茶専門店「Pure Tips」のセレクトティー。この紅茶が気に入って、茶葉を購入するのも楽しみに訪れるという常連さんも。そして厳選した紅茶葉を練り込んだスポンジ生地に、季節のジャムをはさんだヴィクトリアケーキは、19世紀のヴィクトリア朝時代に、女王が愛したイギリスの伝統的なお菓子です。
古き良き喫茶店のコーヒーを思わせる、深煎りのクラシックな味わいの、オリジナルブレンドコーヒーもおすすめ。ホットとアイスが選べます。フレンチプレススタイルの提供にあわせた、苦味をやや抑えた軽やかな後味です。
他にも、サンドイッチ&ティーセットや、事前予約で楽しめる季節限定のアフタヌーンティー、展示会によっては限定コラボメニューが登場することも。建物や展示を満喫したのち、ここで一息入れつつ、穏やかな時間を過ごすのがおすすめです。
1888年築の旧尾崎テオドラ邸では、明治の洋風建築の美しさや優雅さを感じられます。入場チケットは事前購入がおすすめ。水色の外観、中に入ると真っ白な壁に高い天井、木枠の窓、風合いのある床板や階段を見るにつれ、かつての人々がどのように暮らしていたのかを思い浮かべてしまいます。
とても静かで、穏やかな空間が心地よい場所でした。
店舗情報
「旧尾崎テオドラ邸」
住:東京都世田谷区豪徳寺2丁目30-16
開館時間:10:00〜18:00
休:木曜
入館料・喫茶室予約:展覧会やプランによって異なるため、公式チケットページで確認。
全館キャッシュレス決済。喫茶室のみ・ショップのみの利用は不可。
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