メルセデス-AMG「GT 4ドアクーペ」は、直列6気筒モデルを狙え
直6ならではのエキゾーストノートに酔いしれる
GT 53の最高出力は435馬力、最大トルクは520Nm。一方のGT 63 Sは、最高出力639馬力、最大トルク900Nm。V型8気筒エンジンではなく直列6気筒エンジンを搭載しているGT 53は、AMGの名を語るにふさわしいポテンシャルを持っているのだろうか。
ドライバーズシートに座ると、「GT クーペ」と同じく高いセンターコーンソールでナビシートとはっきりと分断されている。センターコンソール上のスイッチやタッチパッド、そしてステアリングホイールなど、GTクーペと同じなので、既視感のあるコクピットだ。
しかしGT 53は、最新のメルセデス・ベンツと同じく、メーターパネルとインフォテイメントディスプレイが、高詳細の12.3インチワイドディスプレイとなり、1枚のガラスカバーでフラットに収められている。また、タービンエンジンを想起させるエアアウトレットは、GTクーペほど主張せず、全体としてエレガントな仕上がりだ。
着座したときに、GTクーペに比べるとずいぶんとゆったりした印象を受けるのは、後席の存在に加えて、シートそのものがGTクーペのスポーツシートとは違い、ゆったりしているからだろう。
エンジンを始動すると、V型8気筒エンジン「M177」の低いサウンドとは異なり、甲高いサウンドが心地よく室内に入ってくる。GT 53に搭載されるのは、直列6気筒エンジン「M256」だ。
じつはこの吹け上がりのよいM256が奏でる乾いたサウンドが、新世代AMGを象徴しているかのようで、エレガントなGT 53のコクピットにマッチしているのだ。このM256には、インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(以下ISG)が組み合わされている。
ISGはエンジンと9速ATのトランスミッションの間に配置され、最高出力21馬力、最大トルク250Nmを発生する電気モーターで、オルタネーターとスターターの機能も兼ねている。
GT 53の技術的トピックはこのISGで、48V電気システムによって回生ブレーキによる発電をおこない、約1kWhの容量のリチウムイオンバッテリーに充電がなされる。この電力を利用した動力補助と電気スーパーチャージャーとの組み合わせで、あらゆる回転域で俊敏なエンジンレスポンスを発揮するのである。
アクセルペダルを踏み込むと、小気味よくシフトアップして加速。減速のためにパドルシフトでシフトダウンしても、シフトチェンジによるショックはほぼ皆無だ。
このようにGT 53は、エンジンの回転によどみを感じることが一切ない。これはISGがシフトチェンジの際にも利用され、理想的なエンジン回転数に達するまでの時間を最小限に抑えるためのアシストをおこなうためだ。
GT 53は、GT 63よりも実際のパワーは204馬力も劣るものの、直列6気筒エンジンのサウンドは、V型8気筒エンジンよりもむしろスポーティで若々しささえ感じてしまう。AMG製V型8気筒エンジンの熱烈なファンでなければ、直列6気筒のM256が奏でるサウンドはオススメに値すると断言しよう。
GT 53は、紛れもなく「ワンマン・ワンエンジン」のAMGの魂が宿ったクルマなのだ。
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